こさいたろうの視点・論点 0017
2017/09/24
「明確な旗を掲げてほしい …#衆議院解散総選挙」
安倍首相が衆議院解散総選挙を決断したようだ。明日、記者会見で発表するという。憲法7条を根拠にした解散の是非がにわかに論じられているが、今どうこうできるものでなく、不毛だ。野党は好機到来と全面対決の姿勢を示すのが筋。安倍政権に代わる新政権構想と政策を高らかに掲げるべきだ。
もちろん、臨時国会において安倍首相の所信表明もされず、喫緊の課題についての質疑や議論もなされず、いきなり解散してしまうのはおかしい。おかしいが、それが安倍政権の体質なのだからやむを得ない。受けて立つしかないではないか。その是非も含め、国民の信を問えばよい。
目下、野党最大の課題は小選挙区で自民党に対抗する候補者を、どうやって一人に絞るかにあるようだ。しかし、有権者が最も知りたいのは、仮に自公勢力が過半数割れした時、どんな政権ができるのか、だれが内閣総理大臣になるのか、ということではないだろうか。
つまり、どんな政権が何をやるのか。中身の問題だ。いくら安倍首相の政権運営に疑問を持っている有権者でも、安倍さんを退陣させた後に何が始まるのか、はっきりしていなければ簡単には投票できない。無理やり候補者を一本化すれば受け皿になる、なんていうのは有権者を馬鹿にした安易な発想だ。
僕は、安倍政権は終わってほしいと思っている。常に右翼的思想が見え隠れし、日本の戦争責任を受け入れないかのような歴史認識も相容れない。行政改革に不熱心で、バラマキ政治は改まらない。情報公開にも後ろ向きで、行政執行に情実が絡んでいる疑いも拭えない。
だから、旗印の明確な新しい政権への交代を強く期待しているのだが、今のままでは票を投じる先がない。山の中で一人、悶々と悩んでいる。かつて「票を入れたいと思える人が見つからない」と相談された時、「そういう時はよりましな人を見つけて投票はすべき」と答えていたことを恥じている。
そんな中、自民党を離れた若狭氏と民進党を離れた細野氏が新しい政党を作るという。小池東京都知事が積極参画するかが注目されている。それはひとえに、小池氏が参画しない場合、若狭・細野両氏だけでは何をする政党か全く見えない、ということに他ならない。旗印がないのだ。
現に、細野氏が出演したテレビ番組を見たが、「民進党では自民党の受け皿にならないので、新しい受け皿政党を作る」という主旨の発言を強調していた。政策的な方向性もいくらか述べてはいたが、安倍自民党政権とここが違う、という確固たる信念は、残念ながら伝わってこなかった。
新党は数よりも中身が大事だと思う。あるべき国家像、世界の中での立ち位置、目指すべき目標を明確に掲げ、真に志を同じくする人たちの輪を広げていく。一回の選挙で結果を出すなんて考えない。少しずつ、一歩ずつ、広げていけばよい。
「受け皿」などと言って大風呂敷を広げるから、覚悟なき者が混じり、目指すべき方向があやふやになる。自民党に代わる「受け皿」を作ることを捨て、自民党とは違う「明確な国家目標」を掲げ、国民に信を問うてほしい。時代の要請するものであれば、無理に数を揃えずとも、燎原の火のごとく広がるはずだ。
最後に、僕が望む新たな政治勢力の姿を記してみたい。・現行憲法の基本原則を堅持する(国民主権・基本的人権尊重・平和主義) ・過去の戦争について加害者としての責任を認識し、非戦・非核の姿勢を明確に示す ・先祖より引き継いできた美しい国土を守り、次世代に継承する →続く
・多様な民意を尊重する観点から、衆院小選挙区制度を改め、議席比例配分型の選挙制度を導入する ・多様で魅力あふれる社会を実現するために、地方分権型社会を作る ・消費税増税は凍結し、まず徹底した行政改革により簡素な政府を実現させ、財源の捻出を図る →続く
・人口減少を許容し、生産性を高める産業構造に転換させる ・原発事故を教訓とし、原子力発電を放棄し、自然エネルギー等の拡大を進める ・自由貿易を原則としつつ、最小限の国内産業保護を行う ・国土保全・食糧安全保障の観点から、農業振興を推進する →続く
・徹底した情報公開を進め、政治家等の口利きや情実を許さない社会を作る ・あらゆる人に自己実現の機会を与えるため、富の再分配機能を強める ・生活保護や年金制度を見直し、ベーシックインカム的な簡素な制度を目指す →続く
思うところを勝手に列挙させて頂いた。皆さんはどのようにお考えになられるだろうか。すべてが一致する人と出会うことは難しいとは思うが、少なくとも歴史認識や、あるべき政治・行政の形や進むべき社会の方向性を同じくする人たちで構成される政党の出現を心から願っている。
農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)
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