こさいたろうの視点・論点 0125
2020/01/08
東京五輪をキレイに仕上げてほしい
今年はいよいよ、東京五輪が開催されます。日本の選手や世界のトップアスリートたちがどんな活躍を見せてくれるのか、とても楽しみです。ただ、東京にいないので実感はほとんどありません。近くの体育館に隣接地がフランスのビーチバレーボールチームの練習場になるそうで、ゆっくり工事が進められているのを見ると、思い出すくらいでしょうか。
2006年に始まった東京五輪招致活動。2009年に一旦潰えたものの、再度挑戦し、2013年9月のIOC総会にて、2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催が決定しました。14年もの長きにわたって、日本は東京五輪開催に向けて走ってきたことになります。いよいよ本番目前。ここまでくれば、素晴らしい大会となることを願うばかりです。
僕は、素晴らしい大会になると予測しています。まじめで勤勉な日本人の力が結集され、つつがない大会運営がなされ、トップアスリートたちは力の限りを尽くした戦いを展開し、大きな感動とともに閉幕するものと確信しています。一方で、僕が大きく懸念するのは、偉い人たちのふるまいです。
大きな感動とともに幕が下りる「東京オリンピック・パラリンピック」。真にキレイに仕上げるには、偉い人たちのふるまい、行動にかかっていると思うのです。今の時点でさえ、招致に使われた海外コンサルタント費9億円余りの支出を裏付ける会計書類の所在が不明になっている、と報道されています。
招致の際の会計帳簿を焼却した長野五輪の時と同じ状態に見えます。長野五輪の際は、開催後に問題が浮上したが、結局うやむやになったと記憶しています。昨今の国政で起きている公文書の廃棄、改ざんなどの不祥事も頭をよぎります。日本ってこんな国なのか、こんな国でいいのか、偉いたちによく考えてもらわねばなりません。五輪関係文書の不明はあってはならない。
また、大会開催経費が激増していることも看過できません。責任ある人々には、きっちりと言い訳をしてもらい、責任を取ってもらう必要があります。金を稼ぐ経験をしたことのない政治家や役人が取り仕切ると、そういうことになるのは火を見るより明らか、過去にそんな実例はゴロゴロしています。大会組織委員会会長は元首相・森喜朗氏、事務総長は元大蔵事務次官・武藤敏郎氏。ついでに言えば、名誉会長は経団連名誉会長の御手洗冨士夫氏。
立候補ファイルでは、「世界一コンパクトな五輪」「世界一カネのかからない五輪」とするとしていたはずです。2013年1月にIOCに提出した立候補ファイルには、大会経費として8,299億円と予算が提示されているそうです。それが、組織委員会が公表している数字でも、1兆3500億円となっています。はっきり言ってザル予算です。さらに膨らむのは間違いないように僕には見えます。
さらには、昨年末に発表された会計検査院の調査報告書によると、大会の支出総額は約3兆円となることが分かりました。日経新聞の記事によると、内閣官房は「指摘は五輪との関連性が低いものまで一律に集計したものと受け止めている」としているようだが、それを説明する、あるいはさせるのが政府の責任です。やらないのは、やりたくないからではないでしょうか。
こちらも、長野五輪の時の報道を思い出します。会計に関するチェック機能が働かず、多額の赤字が生じ、結局は多くの税金が投入されたように記憶しています。新国立競技場建設のような金額が大きい案件に焦点が当たりますが、すべての内容を目を皿のようにして精査することが求められます。そのためにも、「書類を捨てた」はあり得ません。偉い人の最大の責務です。
2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会が、感動とともに素晴らしい閉幕を迎えた後、もしもキタナイ部分が見つかるならば、徹底的にさらけ出さなければなりません。「終わりよければすべてよし」などと言って、「まあ帳尻合わせておけばいい」などと言って、うやむやにしては絶対にいけません。・
五輪に至る日本に、もしもキタナさとともにあったのならば、どこがキタナかったのか、何がダメだったのか、だれが首謀者なのか、目を背けず白日の下にさらすべきです。それが、今までの日本を変える、未来に日本をつくる、真の糧になると思うのです。隠しちゃダメです。もしも、権力者が隠しにかかったら、その者たちを引きずり降ろさねばなりません。
そうなれば、国民にとって、2020年に東京五輪を開催した意味があったといえるようになると思うのです。僕は、五輪閉幕後の総括が、未来の日本を決定づけるといっても過言ではないと思っています。これも、うやむやにさせてはならない、という国民の意志が問われていると思います。
農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)
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