こさいたろうの視点・論点 0166
2020/12/23
東京五輪、本当にやる?できる?
僕はそもそも、2020年の東京五輪開催について積極的に賛成はしていませんでした。開催に賛成していないというよりも、招致活動を始めると聞いた時からモヤモヤしていました。一度落選後、再挑戦で開催決定。その時には「コンパクト五輪」がコンセプトで開催予算は7300億円だったのに、その後3兆円を超えるまでに膨れ上がっていきました。
明確な根拠があったわけではなく、後から言うのも気が引けますが、東京が再び五輪に手を上げると耳にした時から何となく予測できたことです。さらに言えば、開催決定後、大会組織委員会の会長に元首相・森喜朗氏、事務総長に元財務事務次官・武藤敏郎氏が就任した時点で、利権の匂いが一気に立ち込め、際限なき予算の膨張に進みました。
トップアスリートたちが集い、正々堂々と戦い、世界最高峰の技を競い合うというオリンピック、パラリンピック。青空が最もよく似合うわけですが、2020東京オリパラのトップ2は功成り名を遂げた二人のおじいさんで、再び表舞台に出てくるお歳でもなく、とても青空の下の清々しさが感じられないのは私だけでしょうか。
ただ、開催決定後は、ことさら「賛成でない」ことを口にすることはしないようになりました。政治家を離れ影響力も何もないということもありますが、そんなことよりむしろ、決まったのだからそれならば、多くの人が胸を躍らせ、成功するに越したことはないと考えるようになっていました。しかし、大会半年前、今年の冬から新型コロナウイルスが世界中に蔓延してしまったのです。
3月、安倍首相とバッハIOC会長との電話会議により開催延期が決定され(これも少しおかしいのですが)、遅くとも2021年夏までに開催することになりました。その後、菅内閣もこの決定を踏襲。12月21日、菅首相は「来年の夏に人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として東京で五輪・パラリンピックを開催する」との決意を改めて示したとの報道がなされました。
来年の夏に打ち勝てるのか。僕の素朴な疑問です。世界中からアスリートやお客様を呼べるのか。その準備ができるのか。もしかすると劇的に環境が好転することがあるのかもしれませんが、それならその青写真を示すべきではないのか。そもそもこの言い方なら、打ち勝てなかった場合は開催しないのか。きちんと、丁寧に、日本国民のみならず全世界に向けて説明する必要があります。
新型コロナの蔓延で会食も移動もままならない現状では、国民の声に耳を傾け、五輪開催の可否、是非を再考するべきです。
農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)