自然災害と補助金

 

こさいたろうの視点・論点 0036

2018/02/06

 

自然災害と補助金

 

雪が降ると、思い出します。先日、今シーズン二度目のまとまった積雪。車がないと何処にも出かけられないので、公道までの通路は朝一番に雪かき。山里で暮らすということは「雪とも共に生きる」ということ。諦観と言うほどでもなく、意外に自然に受け入れています。

でも、それも「程度」次第で。ここ山梨では四年前、未曽有の大雪に見舞われました。ネットに上がった画像を見ると山で囲まれた山梨県は全域真っ白に埋まっていて、衝撃を受けました。甲府で史上最高の114センチ、私の働く白州では2メーター越えの積雪で、4日間農場に缶詰めでした。

缶詰の夜には、テレビでソチ五輪。山梨は大変なことになっているのにテレビは何てノンキなのかと憤り、ツイッターで情報発信を続けていたことも、今は笑って話せますが、当時は本当に恐怖を覚えていました。日没史真っ暗な中の吹雪は方向感覚を麻痺させ、田畑の真ん中で遭難しかかったこともあり。

翌朝、明るくなり、深く積もった新雪をかき分けながら現場を確認。ほとんどの鶏舎と野菜用のビニールハウスは、雪の重みのため倒壊していました。以降、農場では可能な限りの出荷を再開するための応急復旧作業をしながら、長期間にわたり後片付けの日々が続きました。

そして、その農場は復旧しました。…

 

(中略)

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困っている人たちを助け、支える。もちろん、この大義を否定するものではありません。できる限りのことはすべきだし、共に支えあう心は日本人の精神だとも思います。しかし、こんな手厚い対応が未来永劫続けられるはずはないし、まじめに頑張る人間がバカを見るようなこともあってはならないと思うのです。

また、国家による国民の管理を強めつつ、国民の歓心を集める大盤振る舞いの税金の使い方を拡大させている現在の安倍政権。税を配る部分では、できるだけいい人の顔をしたいという権力者のありようが、災害対策にも表れます。国家社会主義的色彩を強める現政権への懸念も拭えません。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

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明治150年に思う 〈礼賛ではなく、省みることの必要性〉

 

こさいたろうの視点・論点 0035

2018/01/30

 

明治150年に思う 〈礼賛ではなく、省みることの必要性〉

 

政府の「明治150年」関連施策各府省庁連絡会議/内閣官房「明治150年」関連施策推進室ホームページには、次のような記載があります。

 

〈 「明治150年」に向けた関連施策の推進について平成30年(2018年)は、明治元年(1868年)から起算して満150年の年に当たります。明治150年をきっかけとして、明治以降の歩みを次世代に遺すことや、明治の精神に学び、日本の強みを再認識することは、大変重要なことです。このため、「明治150年」に向けた関連施策を推進することとなりました。〉

 

これを受けて、多額の予算を投じ、全国各地でさまざまな取り組みがなされているようです。また、安倍首相は1月22日の施政方針演説で「明治という新しい時代が育てたあまたの人材が、技術優位の欧米諸国が迫る『国難』とも呼ぶべき危機の中で、我が国が急速に近代化を遂げる原動力となった」と明治維新を礼賛しています。

 

でも、明治維新の功績はゼロとはいわないまでも、省みなければならないことの方が多くあるのではないかと思うのです。「明治の精神に学び」「日本の強みを再認識する」ということでなく、負の側面を直視し、未来の日本のための変革に繋げていくことこそ重要だと思います。

 

太平洋戦争では、日本は破滅的な危機でした。もし、当時の軍部が主張していたように、玉砕、本土決戦まで駒が進んでいれば、今の日本は存在していなかったことと思います。この最終決戦とも称された悲惨な戦争の源流は、明治維新にあったともいえると思います。

 

遅れてきた帝国主義国家、統帥権を政府から独立させ軍事優先国家を作った長州藩閥政治。「蝦夷を開墾し、カムチャツカ・オホーツクを奪い、琉球を参勤させ、朝鮮を攻めて朝貢させ、満州の地を割き、台湾・ルソンを収め、漸次進取の勢いを示せ」と海外侵略の必要性を説いた吉田松陰の薫陶を受けた維新の志士といわれる人たちが、革命によって権力を奪取し、その後、明治以降の日本は、松蔭の薫陶が具現化されていきました。北海道開拓、樺太領有、琉球処分、台湾・朝鮮植民地化、満州事変、フィリピン占領。ぴったり符合します。

 

天皇を神格化し、その権威を利用する政治風土を醸成してきたことも、触れない訳には行きません。そもそも、明治維新自体、内戦必至だったかどうか議論の分かれるところです。薩長の下級武士たちが権力を奪取するために天皇を利用して引き起こしたものともいえます。したがって、権力奪取後の国づくりも、必然、天皇の権威を利用することとなりました。革命で権力を奪った田舎侍が、その権力を維持するために天皇を頂点とする新たなヒエラルキーを作った訳です。天皇の軍隊、天皇の官吏、政治権力を巧みに天皇と繋げて、その権威を維持しようとしました。

 

戦争に負け、表面上は主権在民の日本国憲法ができましたが、明治以降に醸成された風土は一朝一夕で変わるものではなく、現代社会にも根強く残っているのではないでしょうか。天皇から与えられる勲章、未だに役人に手厚いのもその一つの残滓かと思います。

 

明治150年、本当にこのような風土が続くことが日本にとって望ましいのか、考える機会にすべきではないでしょうか。

 

中央主権的な国家体制も、明治期に作られた体制です。今でこそ県知事は選挙で選ばれますが、中央省庁の役人が就くことが少なくありません。戦前、天皇の官吏が各県に派遣されて知事職に就いていた流れと思います。国が自治権を制約し、地方自治をコントロールしている実態が未だに残っていることを表していると言えます。本当にこのままでよいのか、明治150年を契機として、改めて考えるべきではないでしょうか。

 

明治50年の時、長州軍閥の代表格、寺内正毅が首相でした。明治100年は、同じく長州出身の佐藤栄作が首相。そして、本年、明治150年も、長州が故郷の安倍晋三首相で迎えることとなりました。薩長史観という言葉があるそうです。いわば、戊辰戦争で勝利した勝者の歴史観。その方向から見れば、「明治の精神に学び、日本の強みを再認識する」ということになるのかもしれません。しかし、そこには、日本を破滅寸前まで追いやった負の側面があることを忘れてはいけないと思うのです。政府が大々的に「明治150年キャンペーン」を行なおうとしているのを横目に見ながら、明治維新の失敗に学んでみたいという思いをさらに強くしている今日この頃です。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

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政局と原発ゼロ

こさいたろうの視点・論点 0034

2018/01/21

 

政局と原発ゼロ

 

野党がまた迷走していますね。懲りずに、くっつくとか離れるとか。もういい加減に分かってほしいと思うのですが、無理なんでしょうね。目指す方向をそっちのけにして大きな固まりを作っても、何も成し遂げられないということを。

 

立憲民主党がなぜ一定の支持率を保っているのか、よく考えてみてほしい。本音を押し殺して自民党に対抗するためだけに大きな固まりを作る、っていうことをやめたからだと僕は思います。奥歯にものの挟まった言い方をする必要がなくなって、国民に分かりやすくなった訳です。

 

枝野さんは、排除されて気付いたんだと思います。自らの主張を曖昧にしたままでは、国民の心に思いを届けられないということを。もしかすると、小池さんに学んだのかもしれません。逆に小池さんは、大きな固まりを目指す曖昧路線に舵を切ったのは皮肉ですね。

 

結局、小池さんの作った希望の党は民進党別働隊が仕切ることとなり、大きな固まり路線に逆戻りですよ。民進党と一緒になろうとか、やっぱり立憲民主党とまず交渉すべきとか。言葉が汚くて恐縮ですが、間が抜けているとしかいえません。

 

野党の政治家は、今一度自らの信ずる道を一人の政治家として歩むべきではないでしょうか。一時的に野党が細分化されてもやむを得ないと思います。そこから主張をぶつけ合いながら、新たに政党を再構築していくしかないと僕は思います。

 

今の時点で一強多弱と言われている政界です。多弱の「多」がもっと増えたって大した影響はありませんよ。真に理念を共有できる人たちで政党を作る。小政党乱立でいいじゃないですか。その方が国民には分かりやすいと思います。

 

その上で、実現すべき政策が同じならば、協力・共闘すればいい。日本の未来を左右する重要政策はいくつもありますが、その一つに原発政策があります。党内に異論を抱えながらどっちつかずというのではなく、本心から原発ゼロ実現を目指す人たちが共闘する。

 

政党が細分化されれば、はっきり言えるはずです。そして、国民にもはっきり見えるはずです。私はそう思うのだけれど所属政党が、などという言い訳を通用させていてはダメなんです。小泉純一郎さんは明快じゃないですか。一人で始めているから、明快なんですよね。

 

大きな固まりでいたいのは、国会議員がバッジをつけ続けたいからとしか思えません。次の選挙で落ちようとも必要な政策実現を図るんだ、という気概を見せられないのか。大きな固まりを作る労力を、政策を実現させる労力に振り替えられないのか。

 

自民党が政権をおりて、取って代わる政治勢力が何をやるのか全く見えないところに国民の不信があります。何も変わらないなら、あるいはとんでもない方向に変わってしまうのなら、自民党のままでしょうがないな、ということになります。

 

そんな中で、小泉さんは池に石を投げ入れてくれたのではないでしょうか。明確な原発ゼロ社会の実現を目指そうと。その波紋を大波にするかどうかは、野党の政治家にかかっていると思います。野党でも電力労連系や偏狭な右翼系は反対でしょう。

 

そういう人たちは無理に協力してくれなくていいんです。本気でやろうという政治家だけでいい。スクラムを組めば大波になるはずです。とにかくこれを実現させる。それまでは、憲法改正も消費税増税も凍結、外交の基本姿勢は継続、と。

 

これだけはやり遂げるという政治家の信念が伝わって初めて、国民の心は動くのだと思います。立憲民主党も、真価が問われます。連合に気兼ねするようなそぶりを見せれば、終わりですね。野党が次の選挙など目もくれず邁進すれば、必ず展望が開けると僕は見ています。

 

原発ゼロ社会の実現は、日本社会の未来を大きく変える、日本社会の可能性を引き出す極めて重大な政策変更。既得権勢力は大反対を展開するはず。この既得権に真っ向から勝負を挑める政治家の出現を、僕は心から待望していますが、果たしてこの先やいかに。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

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原発なき日本に

こさいたろうの視点・論点 0033

2018/01/15

 

 

原発なき日本に

 

 

1月10日、僕は目を覚まされたような気がしました。小泉純一郎さんは訴えていました。「原発ゼロのハードルは高くない」。そして、「金がかかっても原発を維持したい勢力に蹂躙されているのが悔しくてたまらない」と。全く同感でした。でも、政治の現場を離れた僕は何の行動もしてきませんでした。

 

小泉さんの発表していた「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」。「原発は極めて危険かつ高コストで、国民に過大な負担を負わせる」との基本姿勢の下、原発の即時停止、核燃料サイクル事業からの撤退、原発輸出の中止、自然エネルギーの電力比率を2050年までに100%、などの内容。

 

すべて賛同しています。もうやらなきゃいけない、小泉さんもそう思っているのだと思います。日々の生活に追われ何の行動もしてこなかった僕ですが、何の影響力を与えられずともできることを探さねばと、この日、勝手に目を覚まされた気持ちになったわけです。

 

「原発は安全」「コストは他の電源に比べて一番安い」「CO2を出さない、永遠のクリーンエネルギー」。専門家の意見を信じていたが、あの原発事故を見て勉強し直し、全部ウソだったと気づいた。「過ちを改むるに憚ることなかれ」。小泉さんは、この思いで原発ゼロ運動を始めたと話しています。

 

首相だった小泉さんとは全く立場は違いましたが、僕も原発の危険性やコストなどに深く思いを致さず、資源のない日本では一定の原子力発電は許容せざるを得ないだろうと考えていました。しかし、福島の事故を目の当たりにし、僕の思いは一変しました。

 

よく考えてみれば、絶対事故を起こさないなんてあり得ませんよね。しかも、ひとたび事故が起きれば、自動車や飛行機の事故とは桁違いの大きな被害を及ぼし、それは世代を超えて続いていきます。現に今、住民は故郷を失い、放射能汚染の不安の中で生きていかねばならない状況が続いています。

 

事故を起こした原子炉はいまだに処理の目途も立たない。周辺への長期的影響も誰もわからない。汚染水は増え続け、海への流出も懸念され、ある程度処理したら流しちゃえという暴論もある。原子炉を動かした際に出る使用済み核燃料の処理方法も、廃棄物の最終処分も確立されていない。

 

また、事故発生直後、「東電をつぶさない」という大前提で「電気料金値上げや税金投入」を行う法律を民主・自民の水面下の取引で成立させてしまいました。役職員の報酬カットはもとより、送電網等資産の整理売却、株式減資等で賠償金支払いをさせるべきだったと思います。

 

その結果、当初10兆円といわれた処理費用は21.5兆円に膨れ上がり、さらに増える可能性が高いと思われます。ここには僕たちの税金が投入され続けるのです。しかし、今や原発事故は風化してしまい、税金投入のみならず、原発事故が及ぼす社会への影響も議論されなくなってしまっています。

 

このような日本社会に、粘り強く脱原発社会の必要性を説き続け、法案作成にまで至った小泉さん、僕は心から敬意を表したいと思います。これをきっかけとして、改めて、日本のエネルギー政策についての国民的議論を再開させねばならないと強く思うのです。

 

しかし、1月15日に報じられた共同通信の世論調査では、小泉純一郎元首相らが主張する全原発の即時停止に賛成49.0%、反対42.6%とのこと。驚いています。あの事故を目の当たりにしてなお、原発を動かすべきなのか。僕が間違えているのでしょうか。わからなくなってしまいます。

 

安倍自民党政権、経団連、電力労組、日本社会の指導層は一貫して原発の必要性を訴えています。政府は「原発を重要なベースロード電源」と明言し、「安全性の確認された原発は再稼働を進めるという政府の一貫した方針は変わらない」と強調し続けています。

 

あの事故を受けてなお、無理やり「再稼働」でしょうか。事故後、ほとんどの原発が動かない中、電力は不足していません。あの事故を起こした日本が「原発輸出」すべきでしょうか。安易な金儲けにしか見えません。しかも、純粋な民間事業でなく、政府保証付き。事故が起きれば税金投入という甘やかしぶりです。

 

僕には、既得権益の維持温存としか見えません。自分たちのためだけ。これら指導層は、家族ともども原発の隣に住んでくれと言ったら、住むだろうか。もし事故が起きれば、子や孫も含めて事故処理作業にあたってくれと言ったら、快諾するだろうか。そんなことを思ってしまいます。

 

少し脱線しますが、戦争も同じだと思います。戦争遂行の指導者層は、最前線にはいきませんよね。その子どもたちも最大限守られることと思います。過酷な場面に投入されるのは、名もない庶民。庶民の過酷さに思いを致せない指導者を持つ国民はあまりに悲惨ではないでしょうか。

 

戦争と関連させて言えば、原発は原爆に変わり得る危険性も無視できません。テロリズムによって原発が破壊されれば、まさに原発は日本国民に向けた兵器ともなり得てしまいます。北朝鮮情勢が緊迫する中、特に日本海沿岸に集中立地する原発は極めて危険ではないでしょうか。

 

僕は今こそ、政治によって方向転換を図るべきと思います。日本は民主主義の国です。国権の最高機関は国会、国会を構成する議員は国民が選びます。福島の事故を受けてなお原発が必要だという指導層を取り換えるには、国会を変えるしかありません。

 

今回の小泉さんの動きが、原発に頼らない新しい日本をつくる第一歩になってほしいと期待しています。山里に住まう僕にできることはほとんどないのですが、小泉さんが顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」と、発起人をされている「自然エネルギー推進会議」の会員になろうと考えています。

 

 

原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟:http://genjiren.com/

自然エネルギー推進会議:https://janfre.com/

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

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大事にすべきと思うもの

こさいたろうの視点・論点 0032

2018/01/07

 

大事にすべきと思うもの

 

あけましておめでとうございます。

 

昨年6月より、この「こさいたろうの視点・論点」をお送りし始めまして半年が経過致しました。皆々様のお支えにより続けることができておりますこと、年頭に当たり、改めまして厚く感謝と御礼を申し上げます。

 

時々の社会や政治の動きを捉えて、拙い政治経験も踏まえながら、私なりの論考をお伝えして参りました。本年も、しばらくの間は同じようなスタイルで配信させて頂く所存です。何卒、引き続きましてお付き合い賜れば幸いです。

 

政治の現場を離れて4年以上が経ち、政治の最前線に身を置く立場ではなく、日々山河を眺めながら畑仕事をし、その自然の中で子どもと育ち、野菜やたまごを育む生産者の仲間に囲まれ生活する者として、過去の経験を加味しながら文章を書き続けております。

 

もともと政治家として、演説することと同じ意味で文章を書き、私の思いや考えを皆さんに伝えて参りました。したがいまして、現場から離れた立場から時事問題を論説することにまだ慣れません。ぜひ皆様に忌憚なくご批評頂く中で、質を高めて参りたく思っております。

 

田舎におりますと、朝日が昇り、夕方暮れ、また朝が来る、一見変化のない単調な毎日が繰り返されているように錯覚致します。しかし、世の中は確実に僅かずつ変化しています。今何が変わりつつあるのか、これからどのように変わるべきなのか、常に念頭に置いて発信しようと思います。

 

この半年は、私から一方通行の発信となりがちでありました。お忙しい皆様からご意見やご感想のご返信を頂くことを強くお願いはできませんが、できましたらたまに、皆様のお声も頂戴できると有り難く存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。

 

さて、当地、元日より今日までほぼ晴天、毎日抜けるような青空が広がっております。朝晩の冷え込みは厳しく、零下10度に迫るような気温で布団から出るのは億劫ですが、美しい八ヶ岳の姿を眺めながら、清々しい新年を過ごしました。

 

山梨に移って4年あまり、農業労務者としてほぼ毎日、美しい風景の下で農作業労働をしてきました。昨年4月からは住まいをこちらに移し、自ら小さな畑を耕しながら、新鮮な野菜やたまごを販売しながら生活を営んでいます。

 

このような生活の中で、私たちは何を大切にして、何を目指して進むべきなのか、いつも思いを巡らせています。確固たる答えには到底辿り着いていません。その答えを探し続けることが人生なのかもしれないとも思います。

 

ただ、ほんの少しですが、これを大事にしなければと確信することもあります。土も凍てつく厳寒の季節もやがて去り、新たな草木が芽吹き始め、緑映える季節を経て暑い夏を迎え、実りの秋を喜び、また厳しい冬に移る。我が日本はこの四季が毎年繰り返されてきました。

 

このような気候風土が、四季の移ろいが、日本の美しい景色を生み出しています。そして、そのような自然に寄り添い、敬い、畏れ、私たちの先祖は田畑を耕し、森林を手入れし、代々その景色を継承してきました。

 

それは単に見た目の景色でなく、日本人の「心」をも形成しているように感じます。日本の風景。大事にしなければ、必ず次の世代に受け継いでいかなければ、と私は強く感じるようになりました。

 

昨今、農地の有効活用と称し、畑が潰され太陽光パネルが目立つようになりました。農業の成長産業化の一環で、山林が切り開かれ、また古い畑が集約され、巨大ビニールハウスによる生産活動も増えてきています。

 

すべてダメとは言えません。ただ、全部こうなってしまっていいのかと先行きを懸念しています。大地の力を借り、太陽の力を借り、自然と共に生きながらその恵みを頂く、このような営みが全くなくなってしまえば、日本人が日本人でなくなってしまうのではないか、という懸念です。

 

年末、我が家に初のスマートスピーカーがやってきました。AIです。しゃべりかけるといろいろなことに対応してくれます。私が子どもの頃漫画で見た、未来の生活のようで少し恐ろしいです。これから急速に、社会に導入されていくとニュースで盛んに報じられています。

 

人類の発展です。これからどんな技術革新が進むか、楽しみでもあります。ただ、発展を歓迎しつつも、日本人として守っていくべきものを忘れてはならないと私は考えています。自然と共に生きること、これは世界に誇るべき日本の財産だと、強く思います。

 

こんなことを考えながら、4度目の年男となった新年を過ごしました。本年もよろしくお願い申し上げます。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

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あけましておめでとうございます

農夫 こさいたろう だより

北巨摩〈きたこま〉の今

あけましておめでとうございます。

当地は、お正月から素晴らしい天気が続きました。写真は元日の八ヶ岳です。抜けるような青空が広がりました。もう一枚は2日の十六夜のお月様です。東の空から悠然と昇り、この夜はうっすら明るく照らされました。照明のない田舎では、月の満ち欠けによって夜の明るさが全く違います。星の見え方も変わります。そんな田舎の景色がだんだん日常になりつつある新年を迎えています。

朝晩の気温は氷点下が当たり前となり、少し辟易するところもありますが、無駄遣いしないように灯油ストーブを焚きながら、春の到来を夢見る毎日です。

引っ越して初めての正月、味噌づくりやら漬物の仕込みやら自然農法的肥料づくりやら、やってみたいことはあるものの、全く準備ができず、来年に向けてじっくり計画を練ろうと思っています。

※ 南アルプス・八ヶ岳山麓のエリアは町村合併を経て今は北杜市〈ほくとし〉の地域になりますが、昔は北巨摩と呼ばれていました。この響き、僕は何となく好きなので、使わせて頂きます。

 

〈実験農場〉 Kosai Farm

いずれは僕自身の野菜も皆さんに届けたい、そんな思いで畑づくりをしています。冬の間は景色がほとんど変わらないので、写真はありませんが、小麦、にんにく、ほうれん草、ともに寒さに耐え、生きております。無事冬を超え、暖かくなるとともに成長することを願いつつ、見守っています。

 

こさいたろうよりご連絡やお願い

1-4 「平飼いたまご」をお送りします

冬の間は厳寒のため野菜がほとんどとれませんので、平飼いたまごをお送りします。ご注文頂いた皆様には、心より感謝申し上げます。「野菜たまご定期便」は、5月より再開致しますので、お楽しみにお待ち下さい。

自然栽培的「大豆」はいかがですか?

昨年初収穫致しました「大豆」は、引き続きお届けすることができます。『お送りいただいた大豆、とってもおいしかったです。煮汁が、呑んだ翌朝にぴったりで。。。大豆も固めに茹でて、歯ごたえと風味を楽しんでます。』という嬉しいお声も頂いております。たまごとご一緒にお送りできますので、ぜひ一度お試し下さい。

今年は「マイ田んぼ」でお米づくりに挑戦する予定です

お米づくりにご関心のある方を探しています。ご一緒にいかがですか?

 

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大相撲を考える

こさいたろうの視点・論点 0031

2017/12/26

 

大相撲を考える

 

横綱による下位力士に対する暴行事件。当事者はモンゴル出身の力士。暴行を受けた力士の師匠は日頃から反協会執行部的立場の大横綱。事件直後、何事もなかったかのように横綱出場で九州場所が始まった。そして、場所中の事件発覚。

 

僕がまず思うのは、暴力を振るうことはあってはならないこと。特に相撲取り、その中でも最高位の横綱。どんな理由があったとしても、このことを外しては行けないと思う。ワイドショーなどでは貴ノ岩の態度を取り上げていたが、どんな態度だったとしても情状酌量の余地はない。

 

その意味で、日馬富士が自ら責任をとる形で引退を選んだことはやむを得なかったことと思うし、それは潔かったことと思う。むしろ涙を見せながら会見に同席し、未練を感じさせた師匠の姿は、事の重大性を軽んじているようにも見えた。相撲界の将来に不安を感じる。

 

そもそも、九州場所が始まる前に、日馬富士自身が暴行を認め謝罪の意を表すべきではなかったか。同席した力士の中に、それを促す者は一人もいなかったのか。貴ノ岩が不自然に休場しているのに、当日の暴行を知っている者たちが、何事もなかったかのように土俵に上がっていた訳だ。

 

相撲協会の執行部も、少なくとも何かおかしいぞ、ということくらい分かっていたはず。表沙汰にならなければいい、くらいの思いがあったのではないかと勘ぐってしまう。自分たちの地位や立場を守ることを優先させたのではないか。人として正しかったか、胸に手を当ててほしい。

 

さらに問題を複雑にしているのが、貴乃花親方の存在。ほぼ無言を貫き、今に至っている。協会内部での問題解決でなく、警察に被害届を出し、捜査を委ねた。その結果、書類送検となり、示談がなされなければ、日馬富士には刑事罰が与えられる可能性が高そうだ。

 

僕は、心情的には、貴乃花親方の行動を理解しない訳ではない。相撲協会に問題解決を委ねれば、問題が矮小化されたり、ことによってはもみ消されることも危惧したのではないだろうか。元力士が集まる閉鎖的な組織だけに、その可能性がないとも言えない。

 

ただ、貴乃花親方の態度や立ち振る舞いは全くいただけない。無言を貫くにも、その理由の説明が一言二言あっていい。歩き方や椅子の座り方も、もう少し謙虚さがあっていい。いくら正しいことを主張しようとしても、あのような態度では多くの人は耳を傾けてくれないはず。

 

誰か助言・忠告するような人はいないのだろうか。それとも貴乃花親方が耳を傾けないのだろうか。側聞するところによれば、貴乃花親方は、相撲の原点を見つめ直しながらもっと開かれた相撲界を作りたいと思っているようだ。いいことを言っている。だからこそ、今の態度が残念。

 

僕は、小さなころから相撲が好きだった。相撲の世界に近かった父親の影響も大きい。父親と相撲観戦しながら、相撲はスポーツとは違うということを感じてきた。まず、姿格好が違う。ちょんまげを結い、まわし一本。知っているから変ではないが、現代社会と比較すると、異様とも言えなくない。

 

これは古来、相撲が神事の意味も担ってきたことに由来し、連綿と継続してきたことによる。いわば、日本の歴史と伝統を体現している。競技であるスポーツとは異なるのだと思う。だからこそ、神事としての相撲は江戸時代に娯楽的様子を加え、興行として発展してきた。

 

誤解を恐れずに披歴すれば、40年位前には、私の父親は「ごっつあん相撲」なる言葉をよく使っていた。八百長のことだ。片方がちょっと手を抜いたような相撲の取り組みを見た時に言っていたが、確かにそんな感じがあったように子ども心に覚えている。千秋楽、七勝七敗の力士同士の対戦はあまりなかったようにも記憶している。

 

ただ、父はそれに本気で憤っているというふうでもなかった。今と違って、大相撲にはそういうこともあると、多くの人が許容していたのではないか。力士の側も、程度をわきまえていたのではないか。これは想像でしかないが、そういったハンドルの遊びのような部分が大相撲にはあったような気がする。

 

それは、大相撲がオリンピック競技になるようなスポーツ種目でなく、日本独特の神事であり、そこから発展した興業が今の大相撲だからだと思う。この数十年、人々が大相撲を見る見方が少しずつ変化してきて、様々な問題を生じているように感じる。ハンドルの遊びが徐々になくなってきたと。

 

一部のテレビのコメンテーターが、もっと言えば横綱審議委員会の委員でさえも、一般社会との整合性や大相撲のスポーツ的側面を強調しがちで、大相撲の歴史や伝統に基づく特殊性や他のスポーツとは違う大相撲のありようを軽視しているようにも見える。

 

繰り返しになるが、いくら説諭であっても、暴力による解決は許されない。僕はそう思う。その上で、このような事件を受けて改めて、大相撲とは何か、今後大相撲はどのように存在していくべきなのか、真剣に考える時が来ているのではないだろうか。

 

僕は、日本の文化や伝統を守り、継承するという大相撲本来の存在意義を再認識すべきだと思う。競技スポーツとは違うということをはっきりさせるべきだと思う。その上で、人並み外れた体格の力士たちの力くらべ、興行としての大相撲を庶民が楽しめばいいのだと思う。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

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「農の雇用事業」という政策

こさいたろうの視点・論点 0030

2017/12/16

 

 

「農の雇用事業」という政策

 

 

これまで「青年就農給付金」「地域おこし協力隊」という政策を取り上げました。いずれもかなり多額の税金が投入され、ある程度の効果はあるのかもしれませんが、最終的な到達目標がどこに設定されているのか、いろいろ調べても定かではありません。

 

とにかく、一人でも田舎で農業に携わる人が増えればいい、というだけのようにも見えます。そのような政策に巨額の税金が投入され続けていいのでしょうか。いつまでやるのでしょうか。現場に身を置く者として感じるのは、補助金が当たり前の環境になりつつあるということです。

 

つまり、補助金なしでは農業経営が成り立たないような構造になりつつあるように感じています。今回取り上げる「農の雇用事業」という政策も、本来は雇用確保と定着促進のための研修がその主旨ですが、単に支払う賃金の一部を補助するだけになってしまってはいないでしょうか。

 

私は、私自身の体験しか分かりませんが、少なくとも私が実感したのは、「農の雇用事業」という政策は、当該農業生産法人の労働者確保とその賃金負担を抑制するという、農業生産法人への経営支援政策でしかないのではないかということです。

 

この政策では、研修生一人あたり最大で年間120万円の補助金を受給できます。助成期間は最長二年なので、農業生産法人が研修生一人を受け入れれば、240万円の補助金を受け取ることができます。研修生は、いわゆる正社員の雇用契約であることが条件です。

 

私の事例。私は月給額面15万円ボーナスなしで雇用されていました。農業は労働基準法の適用除外項目があるため、休日は週一日のみでした。なので、会社は私に年間180万円の賃金を支出していたことになります。その賃金のうち、120万円の補助を受けていたことになります。

 

そして、二年の受給期間が満了すると、会社は私に満額の賃金を支出しなければならなくなります。仮に、補助金を背負った研修生を単なる労務者として考えるならば、二年経った者は辞めてもらい、新たな研修生を労務者として働かせた方が経営的には得になります。

 

これは現場を実体験した者の肌感覚でしかありませんが、補助金をもたらす研修生期間を終えた者の多くは、その後何となく阻害され、居心地が悪くなり、多くが職場を離れていきました。そして、新たな労務者が研修生として補助金と共にやってくる。

 

さらに言えば、二年間の中身が研修と言えるものだったのか。確かに、全くの農業未経験の者が毎日現場で作業すること自体、研修と言えるかもしれません。ただ、体系的な研修体制がある訳でなく、補助金受給のための報告書も実態を正しく反映しているか疑わしいものがあります。

 

あくまで私の実体験に基づく論評につき、制度の趣旨に基づき、正しく活用している法人もあるのかもしれません。ただ、このような実情があることも考えると、制度が正しく運用されているのか、税金のムダづかいになっていないか、厳しく精査する必要があると感じます。

 

本当に新規就農者を増やすのであれば、その数値目標を明確に示し、本当にやる気のある者を直接応援し、定着を促すような政策を実施すべきです。既存の農業生産法人の経営を助けるだけの政策に多額の税金を投入してもその目的は達成されないと思います。

 

今日本では、巨額の財政赤字が膨らみ続けています。実感はなくとも数字上、経済指標が好転を見せ始めている中で、政権は増税の方向に動き始めています。ただ、増税の前にやるべきことがあるはずです。このような政策を一つずつ点検し、支出を精査すべきです。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

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「地域おこし協力隊」という政策

 

こさいたろうの視点・論点 0029

2017/12/09

 

「地域おこし協力隊」という政策

 

先日、仕事をしながらラジオを聴いていると、「地域おこし協力隊」の隊員として岡山の山村に移住し、そのまま残って事業をしている青年が出演していた。東京で生まれ育ったというその青年は、やりがいを感じて過疎地域で暮らしている様子が伝わった。

 

「地域おこし協力隊」、移住者として山梨で暮らしているとよく耳にする制度だ。僕の周辺にも隊員やその経験者が結構いる。その多くは制度の趣旨を理解し、隊員の期間が終わったあとも定住して、その地域で暮らしている。

 

地域おこし協力隊の制度は、総務省所管の事業で、「人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に誘 し、その定住・定着を図ることは、都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化にも資する取組(要綱より)として実施されている。

 

具体的には、地方自治体から委嘱を受けた人が地域協力活動に従事するもので、期限は1-3年、上限で200万円の給料と200万円の活動経費が与えられる。地方自治体は、この費用を特別交付金で措置されるので、自主財源を充てる必要はない。

 

また、同制度は、「地方自治体が自主的・主体的に取り組むものであり、 総務省はその取組実績を事後的に調査のうえ財政上の支援措置を講じる…国に対する事前の申請等の特段の行為を要しない(要綱より)」とされている。

 

特別交付税措置、制度上は地方固有の財源だが、国が集めて配分するという実態を考えると、国の補助金のようなものだ。一体、全国で年間どのくらいのお金が使われているのか。しかし、ネット検索では簡単には出てこない。

 

一人あたり400万円として、平成28年度は全国で約4000人が委嘱されていて任期は上限三年なので、ざっと480億円が費やされている計算になる。

 

平成26年、安倍首相が山陰視察の際、地域おこし協力隊にいたく感激して、隊員数を三倍にしろと総務大臣に指示したそうで、安倍政権が続く限りは毎年このくらいの税金が投入されそうだ。

 

仮に20年この制度が続けば、総投入額は一兆円近くに達することになる。隊員数は8万人。平成28年度調査によると、この制度により任期を終えた隊員の定住率は60%とのことなので、この率を掛け合わせると4.8万人ということになる。

 

あくまで独自の推測ではあるが、20年で一兆円をかけて、都会から全国の過疎地域へたった5万人を移動させるという政策ともいえる。僕には、その場しのぎ、焼け石に水、問題の本質から目をそらしている政策というふうにしか見えない。

 

前述の、ラジオに出演された方や僕の周辺にいる人は、まじめに活動に取り組み、その後もその地域に住み、仕事をしている訳で、制度の成功事例と言えなくはない。しかし、一方で住民票だけ移動させて居住実体がないなど、不正とも言える事例も僕は知っている。

 

何もしないよりはよいのかもしれない。ただ、こんな税金の使い道で本当にいいのだろうか。真の費用対効果を測ろうという政治家や役人はいないのか。

 

日本全体の急速な人口減少、ともに進行する急速な過疎化、限界集落の激増にどう対応していくのか、そしてこの先どんな日本を作っていくのかという国家ビジョンを作ることがまず必要ではないのか。この政策からは、本質的に課題を解決する糸口は残念ながら見えない。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

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農業への補助金を考える

 

こさいたろうの視点・論点 0028

2017/12/02

 

農業への補助金を考える

 

先日、作業をしながらラジオで国会中継を聴いていると、かつての同志である井出庸生さんの声が聞こえてきた。井出さんはいくつかのテーマを取り上げていたが、そのうちの一つが青年就農給付金と呼ばれる農業分野の補助金についてだったので、作業の手を止めてじっくり聴いてみることにした。

 

井出庸生さんとは、みんなの党の公認候補として同じ時期の衆院選を戦った同志。僕は落選したが、彼は当選し、現在三期目。祖父は三木内閣の名官房長官・井出一太郎氏、叔父は新党さきがけのチャーターメンバーの一人、元厚生大臣の井出正一氏。

 

いわば政界のサラブレッドで、僕のような北海道原産の無名の駄馬とは血統的に比較にならず。さらに、東大野球部出身でNHKの敏腕記者を経ての国政入りというのも、地べたを這いずる地方議員出身の僕とは、これまた比較対象外とも言えるのだが。

 

叔父上の井出正一さんには、僕が新党さきがけ在籍の時代、本当に目をかけて頂いた。井出一太郎さんから井出正一さん、新党さきがけの流れを汲み、リベラルな思想に寛容な保守主義に足場を置いていると思われる井出庸生さんには、勝手に政治家として近しい気持ちを感じていた。

 

また、八ヶ岳を逆に北側から眺めるところにいる井出庸生さん。甲斐と信州で国は違うが、信州往還という古来からの街道で繋がる同じ農村地帯に生活する者としても、これまた勝手な親近感がある。ちなみに、盟友・柳田清二君が佐久の市長をしていることも縁の深さを感じている。

 

さて、井出庸生さんが取り上げた青年就農給付金事業(大臣によると今は農業次世代人材投資事業と改名しているようだが)は、新しく農業を志す人や家業としての農業を承継する人、個人に給付されるいわゆる補助金。

 

就農時の経営確立を支援する資金として5年、就農前の研修期間2年の支援制度もあり、年間150万円、最大で7年間1050万円の補助金が個人に給付される仕組み。平成24年から始まっていて、平成33年まで継続の予定。これまで予算額は年間200億円で、来年度は250億円の要求とのこと。

 

僕のまわりでも、この給付金を受け取っている人を何人か知っている。少なくとも彼らは、まじめに農業に取り組み、制度の趣旨を理解し、5年以内には独立して生計が成り立つように懸命に取り組んでいる。僕が見える極めて限定的な範囲では成果が上がっているとは言える。

 

でも、みんなが同じようなのか、疑念が拭えないのも事実だ。補助金支給の途上であえなく離農してしまうような事例も耳にする。さらに、今は制度開始から5年で、来年から初年度受給した人が補助金なしでの農業経営を始めることとなる。本格的な成果検証ができるのはこれからだ。

 

一人に、生計費用も含めた1050万円もの補助金が給付される政策はほとんど例がない。それだけ農業を職業とする人が減り続けているからなのだとは思うが、5年の受給期間を終えてすぐに離農してもペナルティーはない(29年度からは終了後5年の就農義務が課されるようにはなったが)。

 

つまり、ある人の5年間の生計費用を援助する、それだけの政策にもなりかねない訳だ。どんな事業を始めるにせよ、自ら資金を貯め、あるいは集め、借りてリスクを背負って開業するのが当然だ。産業としての農業に人材が集まらないからと言ってお金を与えることで解決に繋がるのか。

 

井出庸生さんは、このような政策が「ずっと続けられるのか」とも指摘していた。もっともな指摘だ。ずっと税金をバラまかなければ人材が集まってこない産業には、別の理由が存在しているはず。農産物の価格が安すぎる。農地を所有するハードルが高い。地域の受け入れ体制の課題…

 

井出庸生さんは質疑の中で、こんなことも言っていた。新規就農者の90%は補助金を受け取っていない。成功する人は、自らリスクをとり、事業計画を立て、目標に向け努力しているはず。成功する人もいれば、失敗する人も残念ながらいる。どんな事業でも同じことではないか。

 

井出さんの質問に対し齋藤農水大臣は「(政策の)実の上がるように努力していく」と言っていたが、典型的な役所答弁。どういう結果が得られれば「実の上がる」状態なのか、全く答えなかった。税金の使い道という政治の根幹、井出さんにはもっともっと突っ込んでほしかった。

 

僕は、農地の所有のあり方にもっと切り込むべきだと思っている。本気で地域に根を張って、いわば死ぬまで農業に取り組むことを約束する人が農地を所有できるように。補助金含みで農産物が生産され、その分販売価格が安くなっている現状にもっと政治は目を向けるべきだ。

 

今回取り上げている補助金以外にも、農業関連には無数の補助金が存在している。いずれ取り上げたいと思うが、一部の農業生産法人に食い物にされている感も否めない。政策を複雑に絡み合わせて、いったいどれだけの補助金が農政に投入されているか分からなくしているようにも見える。

 

民主党政権時代、農家への直接支払いによる戸別所得保障制度の政策が公約され、自民党政権に交代後も名称は変わったが政策は引き継がれた。この政策を基盤に、各種補助金を整理し、シンプルに農業の継続、新規就農の促進を目指すことが望ましいのではないだろうか。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

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小麦、出揃ってきました (^^)/

農夫 こさいたろう だより

〈実験農場〉 Kosai Farm

いずれは僕自身の野菜も皆さんに届けたい、そんな思いで畑づくりをしています。

霜が降りることが増え、寒い日が続いているものの、小麦は芽が出揃ってきて、少しずつ大きくなっています。きれいに並んだ小麦の子どもを毎日見るのが楽しみです。ほうれん草も元気です。

12月の半ばまでには、新米を皆さんにお届けするための精米作業を少しずつ行います。農機具の整備もやらなきゃです。

 

北巨摩〈きたこま〉の今

我が家のまわりでは、時折雪が舞ってきました。「舞ってくる」というのは、背後の山の上で降っている雪が風で運ばれてくる感じで、雪が降っているわけではないのですが、やはり「冬が来たなぁ」と実感させられます。雪が舞っている時に写真を撮ってみたのですが(横の写真)、さすがに写りませんでした(笑)

八ヶ岳にも雪がかぶり、富士山も雪の厚みが増してきました。

※ 南アルプス・八ヶ岳山麓のエリアは町村合併を経て今は北杜市〈ほくとし〉の地域になりますが、昔は北巨摩と呼ばれていました。この響き、僕は何となく好きなので、使わせて頂きます。

 

 

 

野党の分裂に未来はあるか… 総選挙が終わり思うこと4.

 

こさいたろうの視点・論点 0027

2017/11/27

 

 

野党の分裂に未来はあるか… 総選挙が終わり思うこと4.

 

 

先の総選挙前夜、まず小池百合子氏が希望の党を電撃的に立ち上げ、「排除します」の一言から、枝野幸男氏が立憲民主党の結党を決断。参議院の民進党はそのまま残ることとなり、民進党の重鎮衆院議員は選挙後に無所属の会という院内会派を結成。

 

野党が細分化されたことで、ますます安倍自公政権一強多弱が深まったようにも見える。しかし、僕は、民進党という、自民党の受け皿であることだけが求心力の、基本政策の一本化も図れない野党第一党が存在していたことの方が、不健全な状態であったと考えている。

 

つまり、受け皿政党・民進党が四分五裂したことで、各野党の立ち位置が以前よりもわかりやすくなったものと僕は考えている。政権交代至上主義の旧民進党の重鎮を中心に、また改めて大きな野党の塊を作ろうとしているように見えるが、僕は違うと思う。

 

新しくできた野党各党は、ますます旗幟を鮮明にすべきだ。どんな日本を目指すのか、国際社会の中で日本はどう生きるのか、現在の政治の何が問題でどのように変えるべきと考えているのか、堂々と明らかにして、世に問うべきだ。

 

権力を国民から託されるのは目的ではなく、結果であるはず。自らの政見を偽りなく示し、国民の賛同が得られれば、権力が与えられる。これが民主主義政治の根幹。考え方が大きく異なる者が単に現政権打倒だけで集まっても、その欺瞞は国民に見透かされる。つまり勝てるはずはない。

 

僕は、日本の政治が健全に機能するためには、最終的には自由民主党という政党が解体され、思想信条に基づいていくつかの政党が誕生することが必要だと常々思っている。冷戦時代、保守・革新の二大政党の一翼としてできたのが自由民主党で、官僚との二人三脚でほぼ一貫して政権政党として存在してきた。

 

しかし、国際政治の環境は激変し、対抗する革新勢力はほぼ退場する結果となり、自民党という政党の存在理由がよくわからなくなっているとはいえないだろうか。また、長期にわたり権力を握っていることの弊害も顕著になってきている。森友・加計問題などわかりやすい事例だ。

 

したがって、単に安倍自民党を倒せばバラ色の未来、的な薄っぺらい行動をとるのではなく、つまり、自民対反自民・非自民のための数合わせはもう卒業して、自民党という政党のその歴史的役割を終わらせるくらいの覚悟を持ってこそ、今回の野党分裂が未来への扉を開くことにもなりうると思う。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

※ 今回は全文掲載いたしました

 

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憲法の理念の積極的な展開を… 総選挙が終わり思うこと3.

 

こさいたろうの視点・論点 0026

2017/11/18

 

 

憲法の理念の積極的な展開を… 総選挙が終わり思うこと3.

 

 

先の総選挙は、北朝鮮情勢が緊迫する中で行われました。米国のトランプ大統領の強硬な言動に呼応するように、安倍首相は圧力の強化を強く主張。日本の安全保障政策は以下にあるべきかも争われたといえます。

 

今、日米同盟なくして日本の安全保障は成立するのか。共産党や社民党の皆さんであっても、「明日」日米同盟をなくす、などということは想定していないはずです。

 

日本国憲法の文言を厳密に読み取れば、日本は「戦力を保持しない」ことになっており、無法者が攻めてきた時に対処する術がありません。しかし、現実には自衛隊という実力部隊を保有し、専守防衛は憲法の許す範囲内と解釈されています。

(中略)

※ 省力部分、ご購読の上、読み進めて頂ければ幸甚に存じます
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※ 連絡先:http://www.kosaioffice.com/contact-me/

 

 

 

僕は、太平洋戦争という猛烈に反省すべき歴史を踏まえ、「オーバーシーの軍隊を持たない」ということが、日本の安全保障政策の根幹にあるべきだと思っています。この言葉は、自民党の代議士だった後藤田正晴氏が強く唱えていました。後藤田氏は自民党に所属した代表的な保守政治家でした。僕は深く共感しており、本当の保守はここにあると今でも強く信じています。

 

また、僕が初めて所属した政党、新党さきがけの結党理念は以下のように唱っています。

 

一、私たちは日本国憲法を尊重する。憲法がわが国の平和と繁栄に寄与してきたことを高く評価するとともに、時代に応じた見直しの努力も続け、憲法の理念の積極的な展開を図る。

二、私たちは、再び侵略戦争を繰り返さない固い決意を確認し、政治的軍事的大国主義を目指すことなく、世界の平和と繁栄に積極的に貢献する。

(以下略)

 

25年前にできた新党の目指すものを記したものですが、僕は全く色あせていないものと思っています。むしろ、今こそ高らかに掲げるべき旗であると感じます。

 

 

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憲法改正は喫緊の課題か… 総選挙が終わり思うこと2.

 

こさいたろうの視点・論点 0025

2017/11/13

 

憲法改正は喫緊の課題か… 総選挙が終わり思うこと2.

 

先の総選挙では、憲法改正に対する各政党や各候補者の姿勢も争われました。安倍首相の悲願ともいわれる憲法改正。賛成か反対か、改憲か護憲か、と二者択一で色分けされがちですが、そんな単純ではないような気がしています。

 

僕は、国会や内閣のあり方や地方自治の規定など、憲法ができて70年ほどが経過し、この間の運用を顧み、変更してもいい部分があるとは思います。その意味では改憲派に色分けされるのかもしれません。一方で、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義(戦争放棄)という現行憲法の三大原則は変えるべきではないと思っています。ここに焦点を当てると、いわゆる護憲派の皆さんに近い立場ともいえます。

 

そして、そもそも、今すぐに憲法の内容を変更しなければならないのでしょうか。僕は、今すぐにやることはないと思うのです。

※ 以下、ご購読の上、読み進めて頂ければ幸甚に存じます
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農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

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ようやく稲刈り&脱穀 (^^♪

北巨摩〈きたこま〉の今

10月の土日はほぼ雨が降っていたことになります。何度かの台風が行き過ぎると、風は冷たくなり、一気に晩秋の様相です。山の木々は色付き始めています。今年は、夏も雨が続き夏らしい日は数日で秋に移り、気分の良い秋晴れも非常に少ないまま、季節は進みそうです。少し悲しい気分です。ただ、そんな中でもようやく「稲刈り」を終え、はざかけ〈天日で干すこと〉をし、十分乾燥したところで脱穀までたどり着きました。現在籾のついた状態で保管中です。この後、籾摺り〈玄米にする〉、必要に応じて精米〈白米へ〉します。

※ 南アルプス・八ヶ岳山麓のエリアは町村合併を経て今は北杜市〈ほくとし〉の地域になりますが、昔は北巨摩と呼ばれていました。この響き、僕は何となく好きなので、使わせて頂きます。

 

〈実験農場〉 Kosai Farm

いずれは僕自身の野菜も皆さんに届けたい、そんな思いで畑づくりをしています。

無農薬・無肥料のにんにく栽培。芽が出てくるかがまず心配でしたが、ほぼ出揃って参りました。自宅敷地南側には、同じく無農薬・無肥料でほうれん草を越冬させる予定。こちらも、かわいい芽が顔を覗かせ始めました。

さらに、11/1には、小麦の播種を終えました。大豆と小麦を交互に栽培することで、土の力が高まり、肥料なしでの作物栽培に適した環境となります。

いずれも、冬が来るまでにある程度大きくなり、冬を越して、春以降に再び成長を始め、6月に収穫することをもくろんでおります。結果やいかに。

 

民意を反映しない小選挙区制… 総選挙が終わり思うこと①

こさいたろうの視点・論点 0024

2017/11/07

 

民意を反映しない小選挙区制… 総選挙が終わり思うこと①

 

先の衆議院解散総選挙。結局は自民党・公明党、安倍内閣与党勢力圧勝の結果で終わった。自公合計で313議席。引き続き、衆議院全議席数の三分の二を超えた。しかし、比例代表選挙の結果を見ると、自民党の得票率は33.2%、公明党12.5%。二党を足しても50%には届かない。また、小選挙区の得票は自民党48.2%。この得票率で75.4%の議席を占有、これが圧勝の背景だ。小選挙区制という選挙制度が、自民党圧勝の最大の要因といえる。民意を反映した選挙結果とはとても言えない、と僕は思う。国権の最高機関である国会を構成する議員を選ぶ選挙の制度が小選挙区制度で本当によいのだろうか。

(以下、ご購読の上、読み進めて頂ければ幸甚に存じます)

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

※ 今の社会や政治に対して思うことを書き、発信する活動「こさいたろうの視点・論点」を始めています。

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討幕の薩長連合が必要だったのではないか

こさいたろうの視点・論点 0023

2017/10/29

討幕の薩長連合が必要だったのではないか

 

衆議院総選挙が終わりました。安倍首相の解散の意向が示された後、小池都知事による新党結成の表明、民進党の小池新党への丸ごと合流が決まったものの、丸ごとは受け入れないという排除表明と続き、排除された勢力による新党誕生。結局は野党分裂により自民党圧勝。

 

小池新党は民進党と合流したことが大失敗でした。合流により数を確保し、一気に過半数、政権を目指すと息まきましたが、数合わせは国民に受け入れられるはずはありませんでした。当初からの急激拡大など志向せず、明確な旗を掲げて、数より質で勝負すべきでした。

 

一方で、枝野さんたち、一定層の受け皿にはなりましたが、そもそも丸ごと合流は民進党全会一致で承認していたところ、排除されてできた政党です。旧民主党政権の戦犯が揃い、左派寄りの思想は僕としては全く相容れませんが、分かりやすい固まりができたとは思います。

 

そもそも、自民党から権力をはがすために、それ以外のところがなるべく大きな固まりになる、ということそのものが間違っていると思っています。信念と志、理念と政策に基づきいくつかの政党ができればいい。その上で、安倍一強政治に大きな弊害があるから、立場を超えて団結して倒そうと、そうなればいい。

 

今回で言えば、小池さん、枝野さん、ここに共産党の志位さんあたりで直接会談し、今回は、思想信条を超えて多くの問題を抱える安倍政権を打倒しよう、とやればよかった。できるはずです。かつてチャーチルが、ドイツ・ファシズムを倒すには悪魔とでも手を結ぶ、といって大嫌いなソ連共産党と手を結びました。

 

そういう仕掛けができる人、いないんですよね、たぶん今の永田町には。どうなんでしょうか。若いときからぬくぬく永田町的な人には無理なのかもしれません。言ってみれば、薩長同盟のときの坂本龍馬的な人。

 

とにかく、自民党という与党であることが目的の政党を敵にして、政権交代させるための受け皿を作る、政権交代が目的の、頭数だけがたくさんの政党を作ってもダメだということに、もうそろそろ気付かなければなりません。

 

だから、今回の野党分裂再編は、今後の布石として一定の評価をしつつも、安倍政権を終わらせるための動きがあまりにも幼稚だった、と捉えています。

 

選挙が終わって、またぞろ負けた野党が「バラバラでは勝てない」などといって右往左往し始めています。そんなことに国民が期待しているのではないこと、この結果を受けてもまだわからない様子です。この点、永田町の数合わせに与しないと公言する枝野さんは見えているのかもしれませんが。

 

幕末期の我が国、長州も薩摩も当初はいがみ合っていました。しかし、幕藩体制を打倒しなければ日本の将来は拓けないという点で一致し、明治維新は成し遂げられました。

 

これに重ね合わるとするならば、自由民主党の存在を前提とした政治体制そのものを終焉させ、新しいいくつかの政治潮流を新たに生み出していくことが、真に新たな時代を拓くことにつながるのではないでしょうか。

 

そもそも、社会党の左右合同による社会主義革命勢力の伸長を危惧して、保守合同による自由民主党が結党されました。世界は冷戦真っ只中。アメリカかソ連か、自由主義か社会主義か、今とは世界情勢が全く異なる中の二大政党誕生でした。

 

したがって、冷戦構造の崩壊とともにその役割は終えたともいえる存在だと、自民党のことを僕は見ています。現に、もう一方の社会党は社民党と名前を変え、もはやあの時代の社会党は消滅したといってもよいのではないかと思います。本来なら自民党もそうなって然るべきです。

 

自民党と、自民党の受け皿として政権を担えるもう一つの大きな政党、政権交代可能な二大政党が必要という考え方は、自民党という政党の存在を認めることに他なりません。ぼくは、このそもそもの考え方が誤っていると思わざるを得ないのです。

 

自民党という政党の存在を所与のものとしない、全く新しい政治的潮流を作り上げていく。先の見えない今の日本の未来を拓くための、明確な針路を示す、いくつかの新しい政治勢力の出現。既存政治家の本性丸見えとなった今回の野党分裂劇でしたが、民進党の分裂によって、かすかな期待も感じます。

 

しかし、今までと同じような野党の「数合わせ劇場」が続くようなら、国民の願いむなしく、日本は極めて厳しい茨の道に進んでしまう可能性が高いと、残念ながら悲観せざるを得ません。

 

今の政治家に任せられないならば、主権者である国民は、新しい政治の担い手を送り込まねばならないと思うのです。思うのですが、どんなふうにすれば、それができるのか。雲をつかむようなことを、空を見上げながら考えたりする今日この頃です。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

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台風一過 (^^)/

北巨摩〈きたこま〉の今

このお便りを執筆している今日、10月23日の月曜日、記憶では10日以上ぶりの青空が広がっております。台風一過の晴天です。久しぶりの美しい八ヶ岳の姿が嬉しいです。まだ風は強いですが、周辺は大きな被害もないようで一安心しています。

やむなく手が付けられなかった稲刈り、天日干し、畑を耕耘して小麦の種まき、田畑の水がもう少しひいたら、急いでやらなきゃです。

それにしても、地元生まれ育ちの方も「あまり記憶にない」という秋の長雨に、遅れてきた猛烈な台風になすすべなしの農民。お天道様、ここしばらくは雨はお休みで、ぜひともお願い致します <m(__)m>

※ 南アルプス・八ヶ岳山麓のエリアは町村合併を経て今は北杜市〈ほくとし〉の地域になりますが、昔は北巨摩と呼ばれていました。この響き、僕は何となく好きなので、使わせて頂きます。

 

〈実験農場〉 Kosai Farm

いずれは僕自身の野菜も皆さんに届けたい、そんな思いで畑づくりをしています。

台風一過の今日、試験的に植え付けた「にんにく」の畑に参りますと、いくつかの芽が力強く顔を出しておりました。鶏糞など動物系肥料を使ったにんにく栽培の経験はあるのですが、無農薬・無肥料の栽培は初体験。土の力を借りて何とかすくすく育ってほしいです。冬が来るまでにある程度大きくなり、冬を越して、春以降に再び成長を始め、6月に収穫することをもくろんでおります。結果やいかに。乞うご期待です。

敷地南側にある小さな畑には、ほうれん草を播いてみました。これも越冬させ収穫できればと思っています。まだ芽は出ていません。ちゃんと芽が出るか、から心配です (;^_^A

小選挙区制度の限界

こさいたろうの視点・論点 0022

2017/10/22

 

小選挙区制度の限界

 

季節外れの台風が襲来、しかも超大型でかなりの勢力、直撃も想定されるうちのまわりもだんだん風雨が強まってきました。まさに嵐の選挙戦となってしまいました。選挙後の激動を予感させます。

 

今は午後7時過ぎ、あと数十分で、テレビ画面に選挙結果概要が大写しされます。国民の判断をじっくり見定め、後刻改めて、僕が思うことを書いてみたいと思います。

 

結果が判明する直前の今、感じることを書き留めておきます。それは、衆議院議員を選ぶしくみとして、小選挙区制度は国民の意志を反映させるにはふさわしくないということ。

 

僕もその昔、小選挙区制度の衆院選に立ちました。負けは負けなので言い訳はしたくありませんが、当時自民でも民主でもない勢力が分裂、票が分散しました。結局は、得票率3割に満たない候補者がたった一つの議席を得ることになりました。

 

全国でそんな結果が積み重なって、自民党は圧勝しました。43%の得票で79%の議席を得たのです。2005年の小泉郵政選挙以来、ほぼ同様の結果です。

 

今回の選挙でも、大きく分けて三つの勢力から一つを選ぶ。それで小選挙区の当選者が一人だけ決まる。落選者に投票した主権者の意志は、切り捨てられる。別枠で比例代表制もありますが、やはり小選挙区での結果が大きなウエイトを占めます。

 

民意の多様化ももちろんですが、重要な政策課題が多岐にわたる中、AかBか、AがダメならB、という選び方では課題の本質的解決にはつながらないと思うのです。

 

さらに言えば、AかBかという所属政党によって国会議員が選ばれてしまうことで、多様な人材、真に能力ある人材が国政に参画しにくくなっていると思います。

 

自民党の受け皿が必要、小選挙区制度下で政権交代を実現させる枠組みづくり、なんていう動きのなれの果てが、今回の選挙ではなかったでしょうか。

 

希望の党にみんなで合流できないことがわかり、その救済の意味合いでできたはずの立憲民主党でしたが、筋を通しているというような評価と期待が与えられたのも、受け皿論への批判とも受け取れると僕は感じます。

 

選挙の結果どのような議席構成になるとしても、選挙制度の変更、小選挙区制度をやめることを重要な政治課題としなければならない。新たに選出される国会議員各位に、強く求めたい気持ちでいっぱいです。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

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「希望の党、失速… とはいえ…」

こさいたろうの視点・論点 0021

2017/10/16

 

「希望の党、失速… とはいえ…」

 

希望の党失速、むべなるかな。小池さんが単騎出陣、旗を掲げて走るべきだった。明確な公約を出す前に、民進党を受け入れるべきでなかった。順番が違った。国民に対する公約を明確にした上で、「この指とまれ」をやれば大きく展開が変わったのではないか。

 

そもそも民進党の面々が、これまでの活動との整合性を問われかねないような誓約書にサインし、当選第一で合流に走ったことが、希望の党の信頼を大きく損ねたと思う。新しい政党が立ち上がるという期待が崩れ去り、政権交代が目的の民主党・民進党の焼き直しになってしまった感がある。

 

逆に、自らの信条に従い、戦況の不利を覚悟して結成された立憲民主党に支持が集まっているのは、政治家としての信頼が感じられるからだと思う。僕は、理念・政策的に積極応援はできないが、安倍自公政権を終わらせる必要があるという本気度は、立憲民主党からより強く感じる。

 

さらには、元日本のこころの中山夫妻に代表される「右過ぎる面々」を引っ張り込んだことも、僕が思想的に相容れないということは横においても、政党としての「幅」を極端に狭めてしまったように思う。しかも、この方々はまさに、バッジをつけるために駆けつけていると見透かされている。

 

いずれにしても希望の党は、結局は過去の新党同様に失速を始めてしまっている。しかも、あっという間に。自民党の受け皿を目指す姿勢、そのための数優先の拡大志向、急速拡大を目指すゆえの候補者の粗製乱造。この数十年の間で、国民も十分に学習済みなのだ。

 

小池さんが公約づくりまで一人でやり、一人で発表し、その上で「この指とまれ」をやり、賛同し集まったメンバーで走り出せば、相当の支持が得られたはずだ。今回政権が取れずとも、影響力を行使できる数を得て、安倍自公政権からの転換が図れたはずだ。残念至極。

 

とはいえ、新党・野党の動きがふがいないからと言って安倍自公政権継続の国民意志が示されれば、これまでの政権運営を是認することとなる。何かおかしいな、と多くの国民が感じていた政治が続くこととなる。本当にそれでいいのか。僕は、自らの心に改めて問い直したい。

 

選挙の構図は、自公 対 希望 対 左派勢力の三すくみとなっている。これは、どの勢力にも絶対的な信頼を寄せられない中、国民にとってはむしろ好都合ではないか。小選挙区制度ゆえ難しい選択を迫られるが、いずれの勢力をも圧勝させないことで新しい政治状況を生み出せるのではないか。

 

安倍自公政権にこれまでの政権運営を大いに反省してもらいつつ、左派による急転回も望まない。それぞれの勢力に自らを見つめなおしてもらい、主義主張の異なる勢力にも耳を傾け、選挙を通じて明らかになる国民の声を踏まえ、独善を排した抑制的な熟議の政治をしてもらう。

 

例えば、モリカケ問題への国民の疑念は相当大きいのでしっかり真相究明を国会の場で進める。これは二野党連携できるはず。配分のためには成長が必要、財政再建のためには行革による歳出削減が急務。これは希望グループが自公を引っ張れるはず。一勢力に圧勝を与えてはならない所以。

 

小池さんが一人で記者会見をした時、新しい政党の結成を大いに期待した者の一人だが、様相は急激に変化を続けた。まさに一寸先は闇。「希望が失望に変わる」というような辛辣な声も聞こえるが、僕は一貫して「安倍首相信任か不信任か」を国民が決める選挙であるという考えに変わりはない。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

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