改革はチェックし続けないと逆戻りする

 

こさいたろうの視点・論点 0122

2019/12/15

 

 

改革はチェックし続けないと逆戻りする

 

 

先日、港区議会議員をしている友人のSNSが目に留まりました。

 

「ただいま、神奈川県の指定管理者制度につき、魅力的な発表を聞いています。神奈川県議会の常任委員会では、指定管理者の募集に際して、募集条件案や選定基準の考え方が、事前に担当委員会に報告されています!港区もぜひ!」と書いてありました。

 

「あれ、昔はやっていたはずだけどなぁ」、と僕は思いました。僕が港区議だったころ、4期目の任期では「指定管理者制度」の適正な運用、健全な発展をテーマにしていましたから、気になったのです。

 

この港区議は、石渡幸子さんという方です。私と同じ歳、大学も一緒、僕が25歳の初出馬の際にも港区に住んでいて、応援してくれました。その後も、港稲門会という同窓会組織の立ち上げをご一緒したり、縁の深い方。その後、司法試験を受けて弁護士になられました。ただ、去年、港区議選に出ると連絡がきたときは、さすがに驚きました。

 

全国的に話題となった「青山に児童相談所を作る」という計画に賛成の立場で、それはメインの公約として立候補を決意したそうです。僕は今や、田舎のおっさんなので何の手伝いもできませんでしたが、石渡さんを応援してくれそうな何人かの方に手紙を書く位はしました。そして、その結果、なんと当落線上、一票の差で最下位当選を果たしたのです。

 

どこに行っても、「自分の一票で石渡さんは当選した」と言われるそうです。何かを「持っている」と思います。

 

話が脱線してしまいましたが、僕は石渡さんに伝えました。「昔はやってましたよ。総務委員会に。そして、指定の議案審議の際には、どっさり資料要求して、審議してたけどなぁ。すっかり緩んじゃったんだなぁ。」

 

すると、石渡さんからは、「保健福祉では審議に際して、第三者評価や経理関係の元資料について、請求したら出してくる、式ではなくて、最初から委員会資料で寄越して欲しいと行政に伝えています。総務ですか、、、聞いてみようっと。」と返事がきて、

 

「あ、所管の委員会だったかも、です。いずれにしても、要求しなくても出してくれだと、都合のいい奴しか出てこないので、最後は要求した方がいいと思います。募集前の報告ももちろんですし、選考の過程、議事録や採点結果なども「原則すべて公開」が当然だと思います。頑張ってください (^^)/」、と返しました。

 

「うん、確かに所管の常任委員会に丁寧に報告されていたはず」。やり取りをしながら、記憶がよみがえってきました。

 

そこで、港区議会議事録検索システムをあたりました。検索画面の発言者欄に「小斉太郎」を、キーワード欄に「指定管理者」を入力し、「検索実行」をクリック。やはり、昔は丁寧に報告されていましたよ。時間がなくて全部は調べられませんでしたが。

 

H21.10.26 建設委員会(閉会中審査):ここで、指定管理者を公募する報告が行われています。

H18.4.28 保健福祉委員会(閉会中審査):指定管理者を公募するという報告

H18.7.28 同委員会(閉会中審査):公募を経て運営事業者が決定したことの報告

 

石渡さんには、「制度が始まったころには、丁寧に所管の常任委員会に報告されていたものと推察されます。調べてみて下さい。」と、伝えました。さらに、僕が水面下で情報収集して、委員会で取り上げている事例も見つかったので(H20.5.21 総務委員会)、以下のようなアドバイスもしました。

 

「・ 常にアンテナを張って、その都度報告を求める ・ 正副委員長を通じて毎回報告するよう役所に求める ・ 本会議で区長答弁をとる、など、必ずその都度報告させるために、いろいろな方法が考えられるかと思います。僕は現場にいないので、議会の雰囲気や情勢を見ていろいろやってみて下さい。」

 

「これを書きながら思ったのは、最も高い壁は、実はこういうことにほとんど関心がない「議会の議員」かもしれません。また面倒なことを言いやがって、というような感じで。さらに、報告なんかしたくない役人がいわゆる「与党議員」に取り入って、潰しにかかるとか。ホント、バカらしいんですが。」

 

指定管理者制度は公の仕事を民間が担える画期的な制度なので、疑念を持たれる事業者の決定や運営内容を徹底的に排すべきと、当時の僕は考えていました。それには、徹底的な情報公開を行い、説明を尽くすことが不可欠だと考え、議会での質疑に相当のエネルギーを注ぎました。役所にもひそかに理解者や賛同者がいました。たった10年ほど前の話です。

 

それが、たった10年の間に、時計の針は逆回転し、議会への報告もなされなくなってしまったようです。もちろん、チェック役を託せる議員を残せなかったことを反省していますが、それにしても、残念ですし、悔しくもあります。

 

政治風土を変えなければなりません。国民主権の国の政治にしなければなりません。なのに、今は国政も時計の針・逆回転の様相です。国民の意志がどこにあるのか、それともないのか、あらためて問われていると思います。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

 

 

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消費増税と主夫

 

こさいたろうの視点・論点 0121

2019/12/11

 

 

消費増税と主夫

 

 

僕は主夫です。息子は中学生のため、日々の食事づくりに頭を悩ませます。なるべく安く、できれば簡単に、わかる範囲で栄養も考えて、日々の食材を買い物します。

 

比較的、食材の単価が安いザ・ビッグというスーパーでは、キャッシュレス・ポイント還元がないので低所得者向け政策で購入することができたプレミアム商品券を使い、

 

比較的、食材の質が高いオギノというスーパーでは、スーパー独自のコジカというプリペイドカードを使えば独自の5%即時還元があるので、そのカードを使い、

 

コンビニなどでは、現金は使わないようにして、2%の還元を受けるようにしています。

 

食料品は、そもそも軽減税率適用で8%のままなので、かなり得をしているのではないかと思います。雑事に追われ、計算はできていませんが。苦しい家計を考えると、どうしても踊ってしまいます。踊らされてしまいます。

 

でも、この「ポイント還元まつり」は、来年の6月で終わりです。ポイント還元施策には約2800億円が予算計上されていて、1786億円が還元原資分だそうですが、不足する恐れもあるようです。報道によると、不足しても上乗せするようですが、いずれにしても、ジャブジャブ税金を注ぎ込むのは終わります。

 

軽減税率という名の二重税率は続くので、食料品にかかる消費税は増税前と同じですが、その他の買い物にはほぼすべて10%の消費税がそのままのしかかります。考えてみれば、余裕のない貧しい家庭にとってはかなりの負担増です。消費税の逆進性、実感しています。食料品の軽減税率、「貧乏人はメシだけ食ってればいいということなのか」、などと思ってしまいます。

 

さらに、偉い人の筋から聞こえてくるのは、「さらに高齢者が増える」、「子どもの数は増えない」、「社会保障費は膨らむばかり」「よってさらなる増税が必要」という、「消費税はもっと高税率にすべき論」です。1979年、財政再建のために一般消費税導入を閣議決定してから40年、1989年消費税3%、1997年5%、2014年8%、2019年10%、今に至ります。

 

増税の実現、つまり、財布にお金を集める目論見は、紆余曲折もありながら、40年の間に着実に実現を見ています。予算を配る元締めである財務省の悲願とも言われます。

 

最近ではIMF専務理事が2030年までに15%が必要と言い出しました。僕の拙い経験では、IMFに影響力のある財務省が言わせている可能性、否定できません。

 

増税前の9月、政府税調の中期答申には「消費税の役割一層重要」と記されたが、答申をまとめる議論の中では「10%がゴールではない」という意見もあったようです。

 

11月には、自民党・岸田文雄政調会長がBSの番組で消費税について、「10%で線を引くことは考えない。上げると言っているのではなく、(社会保障の)財源や給付と負担の問題をしっかり考えていかないといけない」と述べたそうです。

 

また、経団連も11月19日、「将来世代に社会保障制度を持続可能な形で引き継ぐために、消費税率を10%からさらに引き上げることも有力な選択肢の一つとして国民的な議論を行うべきだ」との提言を発表しました。

 

消費税が10%に上げられたばかりなのに、すでに「もっと上げるべきだ」との大合唱となっているのです。政治、経済、行政の中枢部分からその声は上がっているのです。先述のとおり、過去を振り返れば、「着実に」さらなる増税の方向に進んでいくことでしょう。

 

消費税増税での増収分、実は法人税減税や高額所得者層の所得税減税の穴埋めになっているともいえるのです。そして、否定することのできない消費税の逆進性。消費税のあり方はこのままで本当によいのでしょうか。一部の野党が5%に戻すことを共通政策に、などと言っていますが、そんな中途半端な、カネと手間ばかりかかる政策に実現性はあるのでしょうか。

 

あえて、今や貧困層の僕は言いたいのです。今の消費税制度はやめるべきだと。軽減税率も入れて、後戻りできないように複雑化されてしまいました。一旦やめなきゃ、さらなる増税しか道がなくなるように設計されていると思うのです。

 

低所得諸対策の切り札である給付付き税額控除の導入、財務省の影響力を排除する消費税の地方税化、課税の簡素化など、消費税をゼロベースで設計し直すことが必要なはずです。さらには、日本の税制の設計し直しも必要になります。徹底した行政改革、歳出削減〈無駄排除〉、徹底した地方分権化も伴わねばなりません。

 

足りなければ取りやすい税金の税率を上げればいい、出ていくお金の話なんて減らさなくていい、エスタブリッシュメント〈既成の支配階級、特権階級〉の既得権を守ること優先、といった流れを変えなければならないと思うのです。

 

とめどなく続く負担増の社会を目指すかのような政治。残念です。もう一度、そういう政治を変えられるでしょうか。国民に問われています。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

     

 

 

 

 

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必要なのは選択できること〈この秋からの幼保無償化は正しいのか〉

 

こさいたろうの視点・論点 0120

2019/12/10

 

 

必要なのは選択できること〈この秋からの幼保無償化は正しいのか〉

 

 

この10月から「幼児教育・保育の無償化」がスタートしました。内閣府のホームページには、「幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳児クラスの子供たち、 住民税非課税世帯の0歳から2歳児クラスまでの子供たちの利用料が無料になります」と書かれています。

 

多くの保護者は歓迎しているものと思います。保育園や幼稚園の保育料がタダになるわけですから。僕も、その年齢の子どもを持つ身なら、少しでも家計の負担を軽くできるという意味で、とても有難いと思うと思います。というか、思います、絶対に。ただ、深く考えてみると、ここに欺瞞といいますか、ある種の仕掛けがあるようにも思います。

 

タダになるのは嬉しんですけれど、それは誰かが無償労働をするようになったわけではなく、自分で出していた分を誰かが肩代わりしているわけですね。つまり、税金で。誰かは自分の場合もありますね。足りなくなれば、どこからかお金を持ってくる必要があるわけですね。税金を上げて。例えば、消費税の増税とか。

 

まず、そこのところをよく考える、というか忘れてはならないと思います。タダとは、タダでないということ。さらに言えば、年収360万円未満世帯の例外、第3子以降の子たちの例外、住民税非課税世帯の0-2歳児の例外等々、相当煩雑な事務作業が発生するはず。施設と地方自治体のやり取り、自治体と国のやり取りは複雑化、相当な行政事務経費が掛かることが想定されます。

 

僕は、もっともっと十分に検討すべき政策だったのではないかと思っています。消費税増税とセットで、増税の負担感を軽減させるためだけに、無理やり、急ぎ足で導入が決まったのだと思っています。どういう日本国を目指すための「幼保無償化」なのか、僕には見えないんです。タダにすれば嬉しいでしょ、っていう感じしか受けないのです。

 

この「幼保無償化」の政策によって、その恩恵を受けるには役所の認可など、実質的なお墨付きが必要になります。今の政治や行政には認められなくても、利用者に支持され独自の教育や保育をする施設やサークルは存続しにくくなる懸念があります。報道によれば、実際に影響が出ているようでもあります。

 

独自の取り組みをする教育や保育の中から、普遍性を持つ方法が生まれることが多いことは歴史が証明しています。例えば、シュタイナー教育のよいところを公教育が取り入れたり、オランダの公教育で普及しているのイエナプランはもともとドイツで実験的に始まった教育モデルでした。

 

僕は、教育を選ぶのは利用者であるべきだと確信しています。役所が一律にお墨付きを与えるものではないと思います。多様な教育を多様な国民が支え、多様な人材が活躍する社会を目指す、そんな未来の日本の姿を僕は夢見ます。だから、保育園や幼稚園、学校は、利用者が、つまり保護者が、子どもが選ぶのが最も望ましいと思うのです。

 

はっきりいうと、今回導入された「幼保無償化」の制度は、幼稚園や保育園を役所の支配下に置くような制度のように僕には見えてしまいます。高等学校も無償化により同じようになることで、日本の子どもの育ちの環境が一貫して「単色」になってしまうような気がしてなりません。多様な色彩が消えていくような気がするのです。

 

難しいことはありません。子どもたち一人一人に「利用券」のようなもの(バウチャーという)を渡せばいいのです。日本国民には等しく同じ価値のものを。それを使って、生きたい、行かせたい施設、共感できる教育などを選べばいいのです。幼稚園や保育園、学校はそのバウチャーを集めて、保育や教育活動を行えばいいのです。

 

極めて公平です。ホームスクールも可能です。集まらなければ、運営はできません。役所は、最低限の基準を満たしているかどうかのみチェックすればいいのです。僕が考える「選択する教育・保育」です。この秋からの制度とは似て非なるものです。

 

ネットで調べると、同じような思想性で活動している組織もあるようです。単にタダにするのではない、選べる教育・保育という社会を実現することはできるでしょうか。これから、国民に問われます。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

     

 

 

 

 

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政府の情報は私たちのもの 〈桜を見る会問題を受けて〉

 

こさいたろうの視点・論点 0119

2019/12/09

 

 

政府の情報は私たちのもの 〈桜を見る会問題を受けて〉

 

 

現場を知る由もない一国民から見ると大事な臨時国会は、公職選挙法違反が疑われた「閣僚辞任」に始まり、首相や与党議員の後援会行事と化したかのような「桜を見る会」の問題で終わってしまったように見えます。

 

国会召集直後の日本経済新聞の紙面によれば、この臨時国会では以下のような重要法案が審議されたはずです。

 

日米貿易協定案:牛肉や豚肉の輸入関税をTTP並みに下げるなど

会社法改正案:上場企業などに社外取締役設置を義務付け

教職員給与特別措置法改正案:教員の長時間労働是正を目指す

外為法改正案:原子力関連企業などへの外資の出資規制強化

情報処理促進法改正案:デジタル分野に特化したガバナンス・コード作成

 

これらはどうなっただろうか、じっくり新聞を読めばわかるのだろうけれど。与党が圧倒的多数の国会なので、最後は多数決で可決するのでしょう。でも、普通に暮らしていて、全く耳に入らないのもどうかと思います。日米貿易協定において日本製自動車への追加関税が将来的にどうなるのかなど、徹底した審議を行い、深掘りすべきだったはずです。今の野党の決定的にダメなところ。

 

ただし、だからといって、「桜を見る会」の問題は大したことではない、とは決して言えません。

 

桜を見る会は、首相や閣僚、与党議員の後援会行事ではありません。後援会の旅行会のメインイベントのように扱うべき行事ではないはずです。それだけでもう問題です。いや、後援会行事であっても最低限実費をもらうのが当たり前で、飲食をふるまうことがあってはなりません。しかも、桜を見る会では、それを税金でやっているということがほぼ明らかになっているわけです。

 

今年の予算は5500万円、参加者1.8万人、一人あたり3000円程度、飲食やお土産代1000円程度は儀礼の範囲、などと公式発信している識者もいますが、僕は全く納得できません。金額の多寡の問題ではありません。今を生きる政治家の本質を露わにしているからです。支援者への特別サービス当たり前、しかも与党議員は税金でやっても問題ない、そういう本質を。

 

いつの間に、そういう政治に逆戻りしてしまったのでしょうか。

 

少なくとも、僕が政治を志した1990年代前半、そういう政治を変えねばならないという空気は政治の世界にありました。自民党にも、若手や良識派の中にあったように思います。そういう国民の思いが、2009年の政権交代という形で具現化したのだと思います。でも、最高潮に高まった期待はあっという間に裏切られました。そして、安倍政権の誕生により逆戻りが始まったように見ています。

 

逆戻りと言っても、昭和の政治では奥ゆかしさというか、自己抑制というか、そんな雰囲気があったようにも思います。いいことではありませんが。でも、今は、やって当然、何が悪いのか、という空気が一部にあるようです。

 

安倍首相の元秘書である下関市長・前田晋太郎氏は、「何十年も応援した代議士がトップを取り、招待状が届いて、今まで応援してきてよかったなって、いいじゃないですか」と述べたそうです。首相が地元支援者を招待することをよしとしています。このような言動が、今の日本社会の一部の空気を物語っていると僕は思うのです。もう一度、そういう政治を変えられるでしょうか。

 

前置きが長くなってしまいましたが、桜を見る会について、最も大きな問題点は簡単に公文書が破棄されてしまうという点です。誰の推薦で、どんな人たちを、何人招待したのか。そして、実際に参加した人は誰で、何人か。菅官房長官による政府公式見解では、もう検証できないということになっています。これが大問題だと僕は思うのです。

 

公文書。これは役所・役人の所有物?与党議員だけのもの?違いますよね。国民主権の国である日本では、公文書は間違いなく国民のものです。勝手に廃棄や改竄することは許されません。原則、すべての国民に閲覧の権利があります。

 

これらの考え方も、平成前期から政治の世界で声高に叫ばれていたものの、その実現を期待された政権交代の失敗で国民は幻滅。安倍政権に移ってからは抑え込まれていた権力者が解き放たれるが如く、時計の針が戻されていきました。森友学園決裁文書改ざん事件や防衛省日報隠蔽問題、厚労省の毎月勤労統計の改竄などが次々と発覚しているのがその証左です。

 

国民の財産ともいえる公文書・政府の持つ情報が、いとも簡単に捨てられたり、書き換えられたりする政治。それに蓋をしてしまうような政治。残念です。もう一度、そういう政治を変えられるでしょうか。国民に問われています。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

     

 

 

 

 

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日本の贈答文化と政治

 

こさいたろうの視点・論点 0118

2019/10/29

 

日本の贈答文化と政治

 

前回、菅原一秀代議士の「モノ・カネを配る」という件について取り上げましたが、思い出したことがあるので、記そうと思います。それは、政治家とその家族についてです。

 

僕は、24歳で区議会議員選挙に立候補しようと決意した時から、カネやモノを配ることはもちろん、それらを贈るといった一般社会ではごく当たり前に行われていることも、やらないことを心に決めました。そして、それを家族・親族に厳しく求めました。

 

選挙区内の有権者への贈り物は公職選挙法によって禁じられていますのでもちろんのこと、私は選挙区外の方に対しても「お世話になったから金品を贈る」ことをしないでほしいと家族・親族に求めました。それをし始めると線引きができなくなり、限りなく金がかかることになると思うからでした。

 

今、振り返ると、家族・親族には相当の負担をかけていたのだと感じます。近所の人たちと持ちつ持たれつ、モノをあげたり、もらったり。お世話になったあの方に、季節のご贈答。地域社会に暮らすものとして、応分の負担を。普通に暮らしていれば、モノ・カネのやり取りはごく普通にあり。

 

しかも、日本社会においてそれらのやり取りは、人間関係の潤滑油であり、むしろ「やりたい」気持ちが心の中にあるともいっていいのだと思います。逆に、それらを制限されることで、大きなストレスを感じることになる。僕は、政治から離れる頃になってようやく、家族・親族のストレスをはっきり意識するようになりました。

 

僕が政治の世界を離れて間もなく、妻は高級な調味料を取り寄せ、ご近所さんに配ろうとしました。実母は、引越し先のご近所に配りなさいと東京の高級和菓子をたんまり持参してきました。二人は奇しくも同じような行動をとったのです。

 

僕は、そんな贈答のお付き合いを継続させられないことが分かっているので、配ることを諦めてもらいました。でも、その時それぞれ、大いに不満の様子でした。僕は、政治家の家族にさせてしまったことで、相当の我慢を強いてしまったことを知りました。

 

妻も実母も、間違ってはいないと思います。理解してくれていたから、我慢もしてくれたのだと思います。でも、そこには、とてつもないストレスがかかっていたのだと思います。申し訳なかったという気持ちはあります。それでも政治家は、モノやカネを配る、贈ることをやめねばならないとも思うのです。

 

最も身近な家族・親族と、なぜダメなのか、なぜ自分がそのように取り組むのか、もっと丁寧に説明し、議論し、その意味や思いを共有するよう努力すべきでした。あとのまつりなのですが。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

     

 

 

 

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「モノ・カネ」を配る政治家がいまだにいること

 

こさいたろうの視点・論点 0117

2019/10/28

 

「モノ・カネ」を配る政治家がいまだにいること

 

世は「令和」となるも、いまだに「モノ・カネを配る政治」が堂々と行われていることを知り、愕然としている。しかも、メロン・カニの贈答について週刊誌報道され、国会でも追及されている最中であるにもかかわらず、選挙区内での葬儀に秘書が香典を持参したとのこと。

 

自民党・菅原一秀代議士。いつもやっていることだから、世の中で大ごとになりかけていても気付かなかったとしか思えない。こんな状況を目の当たりにすると、メロンやカニの事件は時効が成立しているようだが、各方面への「贈答」がなされていたと疑わざるを得ない。

 

モノやカネを配って投票してもらう。もらって投票する有権者、それはそれで問題だが、配る政治家の責任はより重い。政治家が賄賂で動く社会を許容しているに等しい。さらには、「配る」ためには「カネ」が必要で、より多くの「カネ」を集める必要が生じる。必然、グレーな「カネ」にも手を出すことになるはずだ。

 

菅原一秀氏は経済産業大臣を辞めて責任をとるとし、安倍首相は任命責任は自分にあり国民にお詫びするという言葉のみをもって幕を引こうとしているが、そんな軽い問題ではない。「モノ・カネ」を配っていたことが事実なら、議員を辞すべきだし、自民党は菅原氏を除名処分にすべき。

 

     

私が政治家を志すきっかけとなった体験の一つに、「口利き」への憤りがあった。いわゆる交通違反のもみ消し。政治家が役所に口を利いて、その対価を受け取る、こんなことが許されていいのかと、二十歳そこそこの若造は思った。今から30年近く昔の話。

 

私が政治を志そうと決めた時、長く政界に身を置いたある先輩がいろいろなことを教えてくれた。中でも、「これからの政治は、鉛筆一本配ってもいけない」、こう言ってくれたことをよく覚えている。心の底から、同感だった。そういう政治風土から変えねばならないのだ、と青臭く思い続けた。

 

区議会議員になった後、秋の祭礼の奉納金を出すように町会の方から言われた。その頃は、神酒所に酒を持参し、奉納金を置いて回る政治家がまだいた。だから、出す方も受け取る方も法律に触れます、と言う私に白い目を向けられることもあったが、毅然と対応することで少なくとも私の地元には浸透したように思う。

 

政治家である間、年賀状も出したことがない。自筆、答礼を除き、選挙区内の有権者に宛てて年賀状を送ることは公職選挙法で禁じられている。禁止でなければ、金さえあれば全有権者に出せる。あのライバルが出すなら、自分も。金持ちほど有利になる「金権選挙」になる。

 

ふつうに暮らしていれば、付き合いのある人に年賀状を出すのは当たり前だし、地域社会で生活していれば、何か世話になれば贈り物を贈り贈られるのも当たり前。お祭りの奉納金など、お金のお付き合いもちょくちょくある。それでも、政治家はやってはいけないと私は強く思っていた。

 

一つ例外を作ってしまえば、もう「蟻の一穴」となる。世話になった度合いを測り、あの人には贈って、あの人は贈らないなんてできない。また、地域社会の付き合いなのか政治家としての行為なのか、線引きは不可能。何より、一度やったらやめられなくなってしまうのだ。「モノ・カネ」の付き合いの方が当たり前だから。

 

これは、地域社会に根ざして政治活動をする、自民党をはじめとした保守政治家にとって特に悩ましい。「世間の当たり前」を実行できないということを、自ら説明し、理解してもらう必要が生じるからだ。でも、一線を越えれば、もう元には戻れない。

 

だからこそ、大臣にまでなる政治家が「モノ・カネ」を配っていたことが明らかならば、司法判断を待つまでもなく、党籍を剥奪し、議員辞職を促す責任が大・自民党にはある。大臣のみならず、国会議員から地方議員まで、こういうことをやっていいのか悪いのか、厳しく姿勢を示すべきだ。

 

正直に言って、私が政治の現場にいた6年余り前でも、ここまで露骨でないにせよ、グレーなことは見聞きしていた。山梨に来た後も、政治家の「カネ・モノ」にまつわる出来事を見聞きしたこともある。長期政権だからこそ、このように根深い悪しき政治風土を変える力を発揮してほしいと思うのだが。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

 

 

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水害について、Twitter上でのやり取り

 

こさいたろうの視点・論点 0116

2019/10/27

 

水害について、Twitter上でのやり取り

 

先にご紹介のとおり、水害を目の当たりにした私の思いをTwitterに載せましたところ、ご意見を寄せて頂きました。一件だけ、しかもとても短いやり取りですが、私にはとても嬉しいものでしたし、有意義な議論になったのではないかと思います。今号ではそのやり取りを紹介してみたいと思います。

 

     

 

【 こさいの一連のツイートを受けて(引用)】

 

(※ ご意見)それを諦める事は、立場の弱い者から順番に生存権を奪う事に他ならないと思います。不躾にすみません。

 

(こさい)いえいえ、ありがとうございます。治水を諦めろと申してはおりません。ただやみくもにもっともっと、ってダムを大きくしたり堤防を高くするのは違うんじゃないか、と思うのです。想定外はいつかきてしまうはず。自然と共存する道があると思えるのです。

 

(※ ご意見) 今回被害に遭われた各地が無策であったとは言えませんが、本格稼働前の八ッ場ダムや、春日部の外郭放水路といった対策を取れた利根川(江戸川)は氾濫を防げました(石田川など氾濫はあったようですが)限界はありますが、日本列島に人が住む以上、継続的な治水を怠ることはならないと思います。

 

(こさい)これもですね、そうではない、というつもりはありません。ただ、あと少しでも降雨量がませば、結果は分からないと思うんです。うちの近くの釜無川も、あと少しで氾濫していたかもですし。考えどきがきていると思います。

 

(※ ご意見)少しでも氾濫を遅らせると言う意味では無意味な事はないと思うのですが。仰る通り全てを均等に維持していく限界を考えると、居住する範囲を狭めていく等の方策が必要になる時期にはきていると思います。本の「撤退の農村計画」がそういった内容らしいですがまだ読めてません。

 

(こさい)ありがとうございます。おっしゃる通り、無意味ではないと思います。ただ、治水のためにそんなに金をかけ続けられるかな、と思います。自然災害を避けて通れない日本は特に、自然を制御する生き方には限界があるのではないか、と。書籍の紹介、ありがとうございます。読んでみたいです。(引用、終わり)

 

 

こんなやり取りでした。この方のおっしゃる通り、これまでの治水対策がなければさらなる被害拡大を招いていたかもしれません。これまでの治水対策の効果はあったものと思います。でも、今回の被害を見ていると、被害ゼロにするための治水対策はできるのか、私は大いに疑問を感じました。

 

私が問いかけたかったのは、「どこまでやればいいのか」「どこまでカネをかけるのか」「ダムや堤防を造り続けることが最善か」などといったことですが、この方とのやり取りを通じて、分かりやすく浮かび上がらせて下さった気がします。

 

この度の災害を通じて、自治体ごとに作成してある「ハザードマップ」の存在が改めてクローズアップされました。洪水が起きる可能性を示した地図、結果としてはかなり精度が高かったようです。日本の災害への備え、治水などのレベルの高さを示していると言えます。

 

私たちがこれから考えるべきことは、ダムや堤防をつくることで被害を食い止めることから、災害を避けて生きる、被害を受けないように自分たちが動く、そのような方向にシフトすることではないか、と強く感じます。

 

この方にご紹介頂いた書籍、「撤退の農村計画」、まだ読んでいませんが、読んでみようと思っています。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

 

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自然を抑え込むことはできるのだろうか(同時多発の大水害を目の当たりにして)

 

こさいたろうの視点・論点 0115

2019/10/26

 

 

自然を抑え込むことはできるのだろうか(同時多発の大水害を目の当たりにして)

 

 

大変な被害となってしまいました。この秋の台風襲来。我が家は土砂災害警戒区域内に所在しており、10月12日には念のため、近隣の指定避難所〈体育館〉で一夜を過ごしました。我が家も、田畑も、近隣の皆さんも被害はほぼありませんでした。

 

ただ、少し落ち着きを取り戻した後、テレビのニュースなどを見ると、関東から長野、東北地方に至るまで被害が広範囲にわたっており、しかも尋常ならざる洪水をはじめとした災害の様子を映し出していて、目を疑い、言葉を失うばかりでした。

 

そんな中、10月13日、ラグビー日本代表チームが予選突破をかけて強豪スコットランドと対戦する試合が行われました。結果は見事な勝利。日本チームは素晴らしいプレーをもって、私たちに勇気と感動を与えてくれました。私は、ゲームが開催されたこと、よかったと感じます。

 

ただ、この日のSNSを見ると、多くの政治家がこのゲームについての投稿をアップしていました。中には、日本代表ジャージを着てスタジアムで観戦する様子を投稿している人もいました。大災害が起きている地域が選挙区の人もいました。私の旧知の政治家でした。何だか残念でなりませんでした。

 

「それとこれとは違う」、とおっしゃるかもしれません。でもですね、報道からも、いや、現地の肌感覚として、抜き差しならない事態が起きるかもしれない、ちょっとヤバいぞ、っていうのはわかるはず。ラグビーの応援をすることは、どう考えても後回しの状況だったのでは、と私は強く思いました。

 

そんなふうに思った夜、Twitterに思うことを綴りました。昔、そういうふうに発信していたことを思い出して、書いてみました。今回の「こさいたろうの視点・論点 0115」には、その投稿をそのまま掲載してみます。

 

(以下、引用)山里にいるから思うんです。ラグビー日本の躍進嬉しいんだけど、昨日の今日、至る所で堤防決壊してる中、日本は大丈夫なのか、って。

 

日本の叡智を集めて、ダムを作り、堤防を整備し、100年に一度の洪水をも抑え込める河川管理をしてきたはず。でも、その想定はなんなくやぶられた訳で。

 

それも、局地的ではなく、極めて広範囲で。至る所の洪水の映像が生々しく、我々の信じてきた文明の限界を示しているように思えるのです。

 

では、昨日から続く災害を振り返り、さらにそれを抑え込むダムを作る、高い堤防を作る、ていうような従来発想で本当にいいのか、考え込んでしまうのです。

 

東日本各地で、生活の場所が水浸しになっていること。人命救助や当面の復旧を急ぐことは当然なんだけど、もっと根源的な何かを、我々に突きつけているように感じるんです。

 

少なくとも今日、ラグビー映像にかさなり堤防決壊の文字情報が流れ続ける中、政治に携わる人たちには考えてほしい。ラグビーのSNS投稿は違うんじゃないか。

 

これからあるべき日本の姿。真剣に考えなさいという、お天道様の思し召しかとも思う。ラグビーの日本代表選手たちがいろいろな国の人、っていうのも、新しい日本の姿ともいえるのではないか。

 

人間が自然を抑え込むことは、僕は出来ないのだと思います。それを受け入れることが、日本の生き方の柱の一つになるのではないかと、思います。

 

洪水の映像、あまりに衝撃的で、思うところを残しました。乱文ご容赦を。(引用、終わり)

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

     

 

 

 

 

 

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ああ、関西電力

 

こさいたろうの視点・論点 0114

2019/10/04

 

 

ああ、関西電力

 

 

その昔、私が衆議院議員の公設秘書となって議員会館に勤めた時、「デンジレンの人」が毎日のように部屋に来ていたことを思い出しました。今から26年前、1993年〈平成5年〉ごろのこと、私はまだ23歳でした。「デンジレン」が「電事連」ということすら全く知らない、無知な若造でした。

 

私が政治の世界に踏み出す決意をさせてくれた「新党さきがけ」。当時、自民党の劣化を憂い、新しい政治の流れを作るべく自民党を飛び出てきた若手政治家たちが結成した政党でした。後に師と仰ぐこととなった田中秀征氏も、今の私と変わらぬ年齢だったはずです。

 

あの頃、新党さきがけのメンバーは、規制緩和の実現に向けて力を傾けていました。各省庁が権限を持つ各種規制、特に経済的規制を緩和して、日本の活力を生み出すという方向に邁進していました。当時、各省庁の規制が一万以上もあることに驚いたことを覚えています。そのリストを作るのにも大きな抵抗があったようでした。

 

緩和すべき規制の中に「電力自由化」が入っていたわけですね。だから、それを強力に推進しようとしていた国会議員の事務所に「デンジレンの人」は情報収集に来ていたわけです。来ていた人はとても人のよさそうな方でしたが、国の規制という既得権に守られた電気事業を守るための重要な役割を担っていたわけですね。

 

あれから26年、発電部門の自由化の後、東日本大震災による原発事故という大災害をきっかけとして、電力小売も全面自由化となりました。2020年には送配電網の公平な利用を進める改革が進むようです。「選べる電力」、もっと深化してほしいと願うものの一人です。

 

でも、今回の関西電力の事件と発覚後の役員の対応を見ると、「既得権に守られた電気事業を、自分たちの会社を守る」という体質は全く変わっていないのだと感じます。残された「原発既得権」を守るためなら何でもする。死人に口なしとばかりに責任を押し付けて、自分たちに非はないと役員に居座ることも厭わない。

 

次のエネルギー基本計画見直しの際に、電事連は、原発の新増設、リプレース〈建て替え〉の文言を盛り込むよう求め、固定価格買取制度の原発版などの環境整備も訴えるはずだったそうです。あれだけの原発事故が起きてしまってなお、です。

 

札束をはたいて原発を作り、その札束を自らの懐に入れるという、今回の事件。日本のためでなく、自分たちのために原発を作りたい、動かしたい、ということが露骨に表れてしまったものと思います。私は、即時原発ゼロ派ですが、そこまででなくとも、日本に原発が必要か、国民が今一度考えるべき時なのではないでしょうか。

 

それにしても「菓子箱を開けると菓子の下に金貨が…」。水戸黄門じゃあるまいし。ただ、時代劇・水戸黄門では、渡す方ももらう方も、いずれも悪人。水戸黄門が懲らしめて両成敗。今の時代、水戸黄門は誰なのか。それは、主権者である国民であるべきだと思うのです。国民として、許してはいけない事件だと思うのです。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

     

 

 

 

 

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ああ、消費税10%

 

こさいたろうの視点・論点 0113

2019/10/03

 

ああ、消費税10%

 

9月30日、消費税が10%に上がる前日、スーパーに食材を買いに出かけてしまいました。いつもより余計に買ってしまいました。食料品は軽減税率適用で、翌日からも8%据え置きなのに。すっかり忘れて「今日のうちに」なんて、バカでした(笑)

 

軽減税率。私の商う品物は野菜やたまごなどの農産物なので、ほぼすべて軽減税率の対象です。でも、私の個人事業は売上1,000万円に満たないため、消費税の免税事業者です。商品価格も内税表示でやっています。なので、今回はこれといった対策はしませんでした。

 

ただ、ヤマト運輸の運賃をはじめ、梱包資材などの各種経費や決済手数料などは増税ということになるので、来年は商品価格の改定、若干の値上げをお願いしなければならない、と頭を悩ませているところです。そして、さらに気になるのが、数年後に導入が決まっているインボイス方式です。

 

今回の増税では、「区分記載請求書保存方式」というのが始まっているそうです。どの商品が消費税10%なのか、軽減税率の対象で8%なのか、明記することになっているそうです。「そうです」というのは、私は免税事業者なので、今のところ切り替える必要がないわけです。

 

ただ、この方式を土台にして、4年後に導入されるのが「適格請求書等保存方式〈インボイス方式〉」という仕組み。これは、消費税課税事業者にならないと発行できず、これを発行しないとお取引先は仕入税額控除ができなくなるそうです。つまり、課税事業者にならないと他人に迷惑をかけてしまうことになる訳です。

 

迷惑をお掛けするにとどまらず、インボイス方式の請求者を発行できない事業者とはお取引をしてもらえなくなる可能性が極めて高いですよね。私にも少数ですが、法人・事業者様向けの販売もあります。このお取引がなくなったらかなり厳しいので、考えざるを得ません。

 

軽減税率導入の裏側には、こんな仕掛けが仕込んでありました。言葉は悪いですが、「損して得取れ」っていうことでしょうか。たぶん、かしこいお役所のことですから、軽減する分がいくらで、インボイス導入によって増収分はいくら、って計算してあるのだと思います。

 

キャッシュレス利用によるポイント還元、低所得者や子育て世帯向けのプレミアム付き商品券の発行、レジシステムなどへの補助等、期間限定の補助事業に多額の税金を投入しています。私も、ポイント還元事業などは事業者としても消費者としてもその恩恵にあずかります。

 

ただ、これも、増税による社会変動を最小限に抑えるソフトランディング対策。いわば、さまざまな特典のある移行期間が終われば、増税という現実が残るのみ、ということになります。そこで、改めて思うのです。いったい何のために増税が必要だったのかということを。

 

私も漠然とは答えられます。高齢化による福祉や介護の費用が増えるから。子育て環境の整備、充実が必要だから、などなど。でも、今のままの福祉政策でよいのか、保育・教育政策でよいのか、今の政治からはその方向性がはっきりと見えてきません。何となく、惰性で「今よりも手厚く」っていう感じが伝わってくるくらい。

 

例えば、「教育費をすべて無償にする、そのためにはこれだけのお金が必要、ゆえにこれだけの増税が必要」、みたいな明快な提案と説明が全くなされていないのが、日本の政治の現状ではないでしょうか。何となく、増税。なぜ、消費税は10%なのか、真剣に説明してほしい、説得してほしい、一庶民として切実に思います。

 

そもそも、「国の財布にお金が必要ならば、まず支出を見直すべき」、これは大方の政治勢力の共通認識ではなかったでしょうか。ぞうきんを絞りに絞ってカラカラになって初めて、増税の検討をすべきだったはず。私は、今でもこの原点は忘れてはならないと思っています。

 

さらに、昨今は国民の格差が拡大し続けています。逆進性の強い消費税のあり方そのものも議論の対象とすべきだと、これは政治の現場を離れてから強く思うようになっています。

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

     

 

 

 

 

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あれから10年

 

こさいたろうの視点・論点 0112

2019/09/26

 

 

あれから10年

 

 

※ 読者の方からのお便りから

 

> 鳩山民主党が自民党から政権を取ってから、昨日で10年が経つんですね… あの時は大きな期待を集めたのにねぇ… 10年、一昔と言いますが、本当に月日のたつのが早いですね… 当時の政権をとった時の幹部連も、今は表舞台からは消えてますしねぇ…

 

※ 小斉太郎からの返信

 

> あれから10年ですか。すっかり遠い昔になりましたね。私は、期待を裏切った民主党政権、とりわけ旧さきがけの面々の体たらくを目の当たりにし、国政に挑む決心をしたのでした。見事に散りましたが。あの時の反省がなされないことが、安倍自民党一強の継続につながっていると私は思っています。反省とは、あの時、政権を担った政治家の退場です。表舞台から、ではなく、舞台から去るべきだと、私は確信します。野田、菅の総理経験者をはじめ、枝野、前原、玄葉、岡田、安住など重要閣僚経験者…。

 

 

お便りを頂くまで、そのようなことは全く思い浮かびませんでした。このところ、この先どんなふうに生きていけばよいのか、そんなことばかりを考えており、過去を振り返る余裕が全くありません。情けないことですが、現実です。ただ、このように思い返す機会を下さり、ありがたいです。

     

 

振り返れば、あの時やろうとしてできなかったこと、たくさんあるはずです。特に、徹底した行政改革、税金の使い道をゼロベースで見直す、徹底した情報公開、これらは、今でも実現すべき重要政策なはずです。しかし、あの時に政権を担いながらできなかった人たちは、それら政策を捨ててしまったかのようです。

 

そもそも、それほど重要性を感じていなかったのかもしれません。地方政治でもよくありました。改革の必要性を唱えて当選する議員が、役人の皆さんに懐柔されて骨が抜かれてしまうこと。そのような人々をよく見てみると、結局は「借り物の志」を選挙向けに掲げているに過ぎないということが分かります。

 

さて、立憲民主党は、参院選で思うように党勢を拡大できず、逆に新興勢力・山本太郎グループの躍進を許したことなどをきっかけとして「永田町の数合わせにはくみしない」という方針を転換し、旧民主党勢力の統一会派結成に動きました。

 

「永田町の数合わせにくみしない」ことが希望だった同党ですが、我慢できず、またぞろ「政権交代」「安倍政権打倒」が目的化され、数合わせに走りました。それも、相変わらず方針変更の詳しい説明はありません。あの時の「反省」をしなくても居座れているので、説明なしでも許されると勘違いしているのでしょう。

 

格差拡大に伴い、弱者救済的政策が必要であるならば、政治家・官僚が身を切る改革を断行し、税金の使い道を抜本的に見直すことを避けては通れないはずです。国民に権力を与えられ、大きな支持を受けながら結果を出せなかった政治家は退場しなければならないと、私は強く思うのです。

 

それによって、新たに有能な人材が政界に投入されるのだと思うのです。安倍首相の政権運営、うまくいっている点もあるものの、それにまして大きな問題もたくさんあります。でも、それに切り込もうとしても「民主党政権に戻るのか」と切り返されてしまいます。首相も首相で大人気ありませんが、それでもぐうの音も出ないわけです。

 

今、野党の会派統一の過程でよくテレビニュースに出てくる枝野さん、野田さんはじめ、旧民主党政権時代の中心人物は、少なくとも第一線を外れ、新しい人たちに道を譲るべきではないかと、私は強く思います。「政権交代」が目的化しているような古い政治家にご退場頂き、新メンバーで「日本の針路」を設定すべきです。

 

早速、新国対委員長として安住氏が出てきました。キンキン声を張り上げてしゃべっている姿をテレビで見ると、やりきれない気持ちになります。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

 

 

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超高層都市・東京の未来

 

こさいたろうの視点・論点 0111

2019/09/25

 

超高層都市・東京の未来

 

このところ、ネットニュースを見ていると、いわゆる「タワマン問題」についての記事をよく見かけるような気がします。今は年に数回しか行かなくなってしまった東京ですが、高速道路から見える街の眺望は、超高層ビルの林立です。何度か見ているうちに、違和感すら感じなくなってしまいました。

 

振り返ると、私が港区議に初当選したのが1995年〈平成7年〉。この時、港区にある超高層ビルは赤坂アークヒルズだけだったような気がします。この24年の間に、港区は超高層の街に変貌しました。港区にとどまらず、湾岸各区から内陸部、周辺都市にも超高層開発は拡がり、今に至ります。

 

さらに、この間には、超高層の再開発にとどまらず、狭小な敷地についても国策により容積率が大きく緩和され、必ずしも周辺環境とは調和しているとは言えない中高層ビルが、まさに「雨後の筍」といった様相で林立していきました。既存住民からの問題提起もありましたが、あっさりかき消される猛烈な勢いだったと記憶しています

 

当時、私は急激に進行する高層化に懐疑的な立場で論戦していました。数十年後の姿をどう想像すればいいのか、ゴーストタウンにはならないのか、次の更新期にはどのように対応しようとしているのか、開発者も行政も誰も真剣に考えていないこと、議論がなされないことに大きな違和感、危機感を覚えていました。

 

当時、共産党以外で超高層型の再開発や急激な容積率緩和に疑義を唱える議員はごくわずかで、私は当時の区長から「小斉は共産党だ」と喧伝されたことを思い出します。しかし、私としては、共産党と同じかどうかなどは全く問題ではなく、港区のまちづくりはそれでいいのかという率直な思いからの言動でした。

 

また、私が議会で超高層型のまちづくりへの懸念を表明し続けることを知った森ビルの創業社長(当時)が、段ボールいっぱいの資料、ご自身の著述などを、便箋10枚にも迫る直筆のお手紙とともに送ってこられたこともありました。そこには、超高層まちづくりが絶対に必要だ、という信念がありました。

 

しかし、信念は感じられたものの、私には明るい未来を想起できるものではありませんでした。空に向かって新しい地面を作り、そこから得られる利益を配分することで超高層ビルを建てているわけで、結局は金もうけ優先ではないかと。次にやる時は、さらに空に向かって新たな土地を作るのかと。この答えは誰も示せていないはずです。

 

最近目にするようになったタワマンに関するさまざまなルポなどを見ると、結局、そのような未来に目をつぶり開発が続いてきたことが分かります。目先の利益を追求し、今儲かることを優先し、後は野となれ山となれ、私にはそんなふうに見えてなりません。

 

すべてを否定するものではありません。当時から変わっていません。しっかりとまちづくりの計画を立てて、必要なところに超高層の街ができてもいいとは思います。新宿副都心とか、丸の内とか。でも、やりやすいからと言って、海岸沿いなどを超高層ビルで埋め尽くして本当によかったのか、検証が必要だと思います。

 

私は、メリハリのある都市計画、既存の街並みを尊重したまちづくり、未来を見据えた持続可能な開発、などを訴えてきましたが、実は途中から敗北感でいっぱいになっていました。多勢に無勢、大権力に抗うことできず、何の力も発揮することができなかった責任を痛切に感じています。

 

もともと一地方議員にそんな力はない訳ですが、それでも、今の景観を形づくった責任の一端を担っているのだと思います。海沿いに所狭しと立ち並ぶ高層住宅を見て、六本木を中心に至る所に聳え立つ超高層ビルを見て、その行く末をどうしても想像できない自分がいます。

 

今や、山河を眺めて生きる者として、山河の恵みを分けてもらいながら生きる者として、平成時代に憑りつかれたように進められてきた超高層型のまちづくりは、少なくとも持続可能とは言えないと確信します。この数十年のまちづくりを反省し、新たな日本の生きざまを模索する必要があります。

 

参考資料

2022年、タワマンの「大量廃墟化」が始まることをご存じですか(週刊現代)

https://news.livedoor.com/article/detail/17119357/

タワマンの「一斉老化」が止められない(現代ビジネス)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56992

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

     

 

 

 

 

 

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「政治を捨て白州の大地に生きることを選択した友人の生き方」… 先輩のブログより

 

こさいたろうの視点・論点 0110

2019/09/02

 

「政治を捨て白州の大地に生きることを選択した友人の生き方」… 先輩のブログより

 

先月、ある先輩から連絡が来ました。「ブログに農業のことを書くんですが、こさい君のことに触れてもいいですか?」という内容。断る理由もないので、「いいですよ」と返事をしました。後日、「水曜日にあげましたが、ブログみていただけました?」とのご連絡を頂き見てみると、農業のことでなく「私への叱咤・激励」の内容でした。改めて、自らの来し方行く末を考えさせられました。

 

森本尚樹さん。早稲田大学の先輩で、新聞記者生活17年の後、徳島県議を約20年務めた方です。私の地方議員歴とほぼ重なります。みんなの党所属時に、知り合いました。みんなの党に賭け、その後失望に至ったところも似ています。

 

さすが元新聞記者さん、の巧みな文章。気恥ずかしい部分あり、ちょっと事実とは異なるなぁというところも若干あるのですが(お届けしている野菜とたまごはほぼ私の仲間が生産したのもの、というところなど)、政治の世界で最初で最後の挑戦と決めた戦いに負け、山梨に来た原点を思い返させてもらいました。

 

二年前、農業生産を生計の中心とすることは諦め、農産物販売とそれが軌道に乗るまではアルバイトで補うという生活をしています。でも、今、もう一度、農業生産も拡大しようと考えるに至っています。無理なく、できるだけ楽しみながら、もう少し大きく、もしかしたらできるのではないか、そんなふうに思いを巡らせています。あとで森本さんの文章に出てきますが、「真っ直ぐなきゅうり」をつくらない生き方を模索できないか、という思いです。

 

そんなふうに考えている時に書いて頂いた文章なので、森本先輩の許可を頂き、今回の「視点・論点」に掲載させて頂くことに致しました。ぜひご一読下さい。

 

政治を捨て白州の大地に生きることを選択した友人の生き方

森本尚樹の”社会面の作り方” より

 

憧れるのはた易いが、素人の挑戦は跳ね除ける農業という仕事。

土に戯れ、太陽に戯れ、大自然を相手に仕事をするのが農業だ。

こんな生き方に憧れる人は多い。しかし一朝一夕にはいかないのも農業。

大人になってから初めて取り組んでも、苦労するだけかもしれない。

 

私の後輩の小斉太郎君は東京都港区で区議会議員をしていた … … …

 

http://bit.ly/2ZKTy2K

↑ 続きはこちらよりお読み下さい <m(__)m>

 

     

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

              

 

 

これでよかったのだろうか (*_*; 〈中一息子とシングルファザーの夏休み)

 

こさいたろうの視点・論点 0109

2019/08/31

 

 

これでよかったのだろうか (*_*; 〈中一息子とシングルファザーの夏休み)

 

 

息子の学校の夏休みは7月21日から始まりました。そして、9月1日に終わります。

 

7/21 〈父子〉テニススポ少の強化練習:親子ダブルスや親子対決もあり楽しみました。

7/24-29 〈父子〉ラジオ体操会:今年、父が子どもクラブ会長のため皆勤。子どもたちが夏休みでも朝きちんと起きるという点で、ラジオ体操の果たす役割が極めて大きいことを再確認。

7/31 〈父〉北杜市子どもクラブ連合会理事会:白州地区の副会長になったため(じゃんけんによる)、連合会の会議にも参加せねばならず。ただ、ふつうは経験できないことなので前向きに捉える。

8/2-3 〈父子〉神宮球場で野球観戦・おばあちゃんお墓参り・鉄道模型のショールームへ:結果はヤクルト敗戦。父の中高同期の親友たちと楽しい会食も。東京は酷暑で、父熱中症気味に。東京の夏はもう無理かも。

8/4 〈父〉地域の草刈り:地区の農業後継者会という組織の会計を今年から二年間任されることになり。まあ、財布を預かって、草刈り作業やお祭りなどの準備係ですが、頑張ってやってます。

8/5 〈父子〉ドッチビー大会の練習会 8/9 〈父〉ドッチビー大会の準備 盆踊りの教習会 8/10 〈父子〉北杜市子どもクラブのドッチビー大会:なんと3位入賞の結果に。チームワークがよかったです。

8/14 〈父子〉鳥原地区の夏まつり:地区最大のイベント。後継者会が運営を任されており、役員は特に、買出しやら準備がなかなか大変です。○×クイズや福引、打上花火、夜店、夏の夜の一時。盛り上がりました。

8/16 〈子〉北杜市スポーツ少年団大会公式テニスの部に参加:息子は初心者グループの対戦、3名の総当たりで二位でした。初めての公式的試合。僕は仕事で見ていませんが、楽しかったようです。8月上旬には、監督さんに声をかけてもらい、毎日歩いて練習に通った成果もあったようです。

8/21 〈父子〉友人宅でBBQ

8/24 〈父子〉鳥原子どもクラブレクリエーション〈釣りとBBQ〉:子どもと大人で総勢25名。今どきの子どもたちには、釣りも新鮮なアクティビティーのようでした。みんなで食べて、走り回って、見ていて幸せなレクになりました。 8/26 〈父〉就農者認定の面談:実は、認定就農者というのになるべく取り組んでいます。詳細はおって。

8/28 〈子〉東京・地下鉄博物館などに:鉄道好きな東京在住の友達たちと。朝6時の電車で向かい、夜9時半に戻ってきました。少しずつ大人に近づいていきます。夏休みの楽しい思い出になったようです。

8/30 〈父子〉棚づくりの買い物・バッティングセンター・映画など:夏休みにやり残したことを。息子が計画していた棚づくりは、秋に少しずつと言っています。映画は「天気の子」。

8/31 テニス練習:毎週土曜日の練習、再開です。9/2からは学校。いよいよ、いつもの生活に戻ります。

 

この夏の出来事、思い出しながら書かせて頂きました。「視点・論点」というより、ここまでは備忘録になってしましました。すみません。

     

 

でも、これでよかったのだろうか、との思いは常に頭の中にあります。「ひとり親家庭や貧困家庭の子どもはさまざまな体験の機会が少ない」なんて、ラジオなどから聞こえてくるとなおさらです。

 

イベント一覧表を書きましたが、もちろん、毎日仕事をして、今年の場合は息子がほぼ家にいたので三食を準備し、そのほかにも滞りがちですが掃除や洗濯も。僕の場合は、仕事は主に家か、近辺の田畑ということになるので、夏休みともなると、かなりの時間そばにいることになりました。ごはんを作るということだけでも結構なストレスを感じていました。

 

でも、息子といろいろと話をして、彼は自主的に、空いた時間を数学の問題を解く時間に充てることにしました。テレビを見たり、ゴロゴロしたりしてなかなか予定通りに進んでいないようですが、前進はしているようです。夏休みが終わったら、そのノートを数学の先生が見てくれるそうです。自分なりに考えて、自分なりに時間を有効に使おうと思ってくれたのかもしれません。

 

空いた時間、一緒にテレビを見たり、相撲をとってきたり、何か聞いてほしくていろいろ伝えに来たり、布団を並べて寝ることも、もしかするとこの夏休みが最後なのかもしれない。夏休み、ほぼずっと家にいることも、最後かもしれない。よく考えてみると、そんなふうに思うようになりました。

 

赤ちゃんの時とあまり変わらない息子の寝顔を眺めながら、今年の夏休みはもう二度とない息子からのプレゼントなのかもしれない、と考えるようになった、夏の終わりです。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

                                      

 

 

 

 

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一市民には何もわからない〈この夏、道の駅はくしゅうが突然閉鎖〉

 

こさいたろうの視点・論点 0108

2019/08/30

 

 

一市民には何もわからない〈この夏、道の駅はくしゅうが突然閉鎖〉

 

 

この夏、私の住む地にある「道の駅はくしゅう」(山梨県北杜市白州町)が営業休止になりました。おいしい湧水を汲んで持ち帰れる道の駅として有名で、夏は多種多彩な農産物が販売され、多くの観光客が訪れる人気スポットです。

 

冬は土が凍るほど寒く露地栽培が困難なはくしゅうの農家にとっては、たくさんの野菜を収穫し、たくさんのお客様の集まる夏は、まさに一年一度の大切な繁忙期になるわけです。だから、この道の駅の販売所は、少し大げさかもしれませんが、「命綱」という農家さんもいると思います。

 

全国ニュースにもなったようなので、ご存知の方もいらっしゃると思います。まあ、ひどいことです。指定管理者の幹部の方々は知っていたのかもしれませんが、道の駅に野菜を並べている一般の農民の皆さんに「一時休止」が伝えられたのは、なんと前々日の夕方だったそうです。

 

指定管理者を指定しているということは、施設は北杜市のものということです。だから、こんなにも唐突な「閉鎖」という対応も可能だったわけです。関係者にも直前まで伝えずに。であれば、他にもできる「力技」があったはず。

 

緊急措置として、一旦指定管理者による運営を凍結し、ゴタゴタが解決するまでの間、「北杜市直営」に切り替える。ちょっとしたお膳立て、事前準備は必要だったとは思いますが、休止・閉鎖してしまうよりよっぽどよかったと思います。内情に詳しくありませんが、JA梨北にでも時限的に運営委託すれば十分可能だったように思います。

 

私が東京で地方政治に携わっていた時、少しだけ似たような事例に遭遇したことを思い返していました。子育て施設の運営をある組織に任せる中で運営に問題が生じた際、緊急的に直営方式に戻して、施設運営を継続させたことがありました。今思えば、利用者に迷惑をかけない見事な緊急避難をしたと思います(その後少しごたごたしたのですが)。やればできるはずなのです。

 

何よりも、夏のシーズンに多くの観光客に来訪してもらうこと、そしてお金を使って頂くことが、北杜市と多くの北杜市民にとって何にも増して重要なことくらい、市長、市役所職員、わかっていないはずがないと思います。でも、8月1日に「道の駅はくしゅう」は閉鎖されたのです。「わかっていない」と言われても仕方ありませんね。

 

さらに言えば、市政のチェック役である市議会は何をしていたのか。情報によると、全員協議会は開かれたようではありますが、夏休みシーズンに、この北杜市で、道の駅が開かれない、なんてことがあっていいのか。いいはずがない、というのは総意ではないでしょうか。各地の市民の代表である議員で構成される市議会は、党派を超えて、体を張って、変更させる、開かせるのがその責務ではなかったでしょうか。20人もの議員がいて、なんとしてでも開かせなきゃならない、というふうにはならなかったのでしょうか。知恵を出せばのりきる方法があったはず。知恵を出し合うのが議会じゃないのか。きわめて悲しく、残念です。

 

市議会には、事後になってしまうとはいえ、今後のために、今回の「道の駅はくしゅう」一時休止の騒動について、詳細を調査し、責任の所在を明らかにし、今後の指定管理者制度運用に資するよう報告をまとめ、広く公表してほしいと思います。

 

そして、今回の事件で露呈した最大の問題は、市長から市民に対する説明が全くなされていないということです。記者会見もなければ、コメントもなければ、ホームページ等を通じた発表もありません。情報は、関係者からの発信、または報道のみです。

 

農民というステークホルダーに閉鎖が伝えられたのは前々日。これはこれで問題ですが、「道の駅はくしゅう」は北杜市の施設。納税者である北杜市民は全員ステークホルダー(関係者)と言えます。騒動からもうすぐ一か月。いまだに市民へ何かが伝えられる気配はありません。

 

おそらく、これが北杜市長と北杜市役所の当たり前。伝統的体質なのでしょう。時間がかかっても変える必要があるはずです。北杜市在住三年目、新米市民が感じた思いを書き残します。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

     

 

 

 

 

 

 

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「政治的素人」に国政を託すウクライナを見て考える

 

こさいたろうの視点・論点 0107

2019/08/29

 

 

「政治的素人」に国政を託すウクライナを見て考える

 

 

ウクライナの最高会議(日本の国会に相当)選挙の開票結果を伝える記事を、ネットニュースで目にした。4月に新大統領となったゼレンスキ―氏の率いる「国民の奉仕者」という新党が、なんと「現有議席ゼロ」から単独過半数を大きく上回る議席(定数450のうち254)を獲得したという。無血革命の様相だ。

 

ゼレンスキ―大統領はコメディー俳優。テレビドラマで、高校教師が不正や腐敗と戦う中で大統領に転身するという主人公を演じ、そのイメージそのままに、大統領候補に名乗りを上げたそうだ。そのようなシナリオが当初から用意されていたのかどうかは定かではないが、いずれにしても、政治経験はなく、いわば「政治的素人」だったことに間違いはない。

 

ウクライナ国民はまず、この「素人」を圧倒的票数(決選投票で73.2%)で大統領に選んだ。そして、続いて、いわゆる国会議員の選挙でも、「素人」が率いる議席ゼロだった「新党」に自国の舵取りを任せる決定を下したのである。

 

     

私は、ウクライナの国情を詳しく知るものではない。ただ、調べてみると、ゼレンスキ―大統領誕生の背景には、それなりの理由があったようだ。

 

「オリガルヒ」と呼ばれる新興財閥の領袖が政治・経済の私物化と、腐敗の拡大。政権幹部による軍備関連の汚職の露見。にもかかわらず、家庭用ガス料金の値上げという国民負担の増大。「一部のエリートだけが良い思いをして、我々の生活は苦しくなる一方だ」との不満が鬱積していたという。

 

さらに、国家の存立に重大な影響を及ぼす「ロシアとの距離感」について、ポロシェンコ前政権の、反ロシア・ナショナリズム一辺倒、ロシアを仮想敵と位置付ける国政運営に、国民の多くが危機感を感じていたようだ。

 

つまり、特権階級の不正・腐敗の追及、一掃にとどまらず、自国の針路、行き先という国政の根幹部分について、多くの国民は前政権にNOを突き付けたと言える。そして、それは、大統領という、いわばシンボルの交代にとどまらず、閣僚人事の承認や経済政策で強い権限を持つ議会においても過半数を与えることで、国民の意志を明確に示したと言えるだろう。

 

ゼレンスキ―氏が大統領選を制した後、識者の論評をネット検索してみると、「お笑いタレントは早晩馬脚を露す」「議会に足場のない大統領は何もできない」などと心配、というか悪口が散見された。しかし、実際には、大統領新党が議会の多数を握った。否、国民が握らせたのである。

 

ゼレンスキー大統領は議会選の勝利で政権基盤を固め、今後は紛争の解決に向けたロシアとの交渉や汚職対策を本格化させる、と報じられている。さらに、「古い勢力とは連立を組まない」と表明し、首相には過去に首相や議長などを経験していない人物で、経済の専門家から選ぶ方針を示している、という。

 

ウクライナという国では、2004年のオレンジ革命、2014年の政変、国民の怒りがうねりとなり大規模な体制転換が図られてきた歴史がある。それだけ、権力の不正、腐敗は根深いものがあるのだと思うが、ゼレンスキ―氏と氏の率いる政党という「政治的素人」の成功を、私は期待したいと思う。

 

わが国・日本には、「政治的素人」の登場が必要とされる局面は訪れるだろうか。権力の固定化が続くなら、そのような局面はやってくると思う。さらには、いよいよ日本の針路を国民自身が考えねばならない今、既存の人材に任せておくべきなのだろうかとも思う。

 

いずれにしても、私は、極めて有能な「政治的素人」は、日本にたくさん存在していると確信している。

 

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

 

 

 

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農夫 こさいたろう だより 19/08/02-

 

北巨摩〈きたこま〉の今

 

7月末、ようやく梅雨が明けました。

真夏の高い青空、八ヶ岳にかかるモクモクの入道雲。待ちに待っていました。昨年の梅雨明けは6月末、7月は異常な猛暑でした。人間の思い通りにはいきません。

GW明けに先に播いた大豆は、ようやく花をつけ始め、お米の花はまだだいぶ先になりそうです。

日照が少なく、野菜の生育も心配しましたが、ゆっくり、じっくり育って来ています。強いものです。

今年は子どもクラブや集落の役をやっており、気ぜわしい夏です。夏休みは昼飯に悩む毎日です (@_@)

 

〈実験農場〉 Kosai Farm

 

〈 農夫の備忘録 〉

お米。

7月、日照はかなり少なく、気温も上がらない日が続いたため、生育は例年にくらべてかなり遅くなっています。雑草は例年よりも少なく、除草作業の回数は少なく済みました。果たして、ここからどこまで挽回できるかどうか。まずは、無事の開花を待っています。

大豆。

先に播いた「あやこがね」の畑、かなり雑草を繁茂させてしまい、二日間にわたって、除草作業に入りました。だいぶきれいになったのですが、梅雨明けの酷暑で、こちらの体がバテ気味です。花をつけ始めているので、例年通り、まず「枝豆」の収穫までたどり着くように祈っているところです。

来年の準備。いろいろ思案中。方針が決まり次第、お伝えします。

 

N国党の議席獲得に思うこと

 

こさいたろうの視点・論点 0106

2019/07/29

 

 

N国党の議席獲得に思うこと

 

     

 

ちょっと驚きました、正直に言って。「NHKを国民から守る党」の議席獲得。選挙前、息子と話していて、参院選について学校で一番話題になっているのが「N国」と聞かされました。強烈な政見放送や関連の映像、子どもたちはYouTubeを通じて見ていたのです。

 

子どもの間で話題になることは、口コミで広がっていくきっかけになります。僕自身の選挙でも、他の人の選挙でも経験していますから、間違いありません。初めて区議選に挑戦した時、自転車に乗ってガッツポーズのポスターは、まず小学生たちの話題になりましたし、具体的政策を記した看板を掲げるポスターも、同様でした。遊説の時に子どもたちが集まってくるのです。ガッツポーズを真似たり、看板を掲げるポーズを真似たりして、だんだん大人に浸透していく感じです。

 

ただ、子どもたちの間で話題になったからとはいえ、参院選の全国比例選挙で、議席獲得まで得票を伸ばすとは全く想像できませんでした。98万票を超えています。得票率は1.97%になります。

 

参議院の全国比例区については、僕が関わった選挙として、1998年を思い出します。当時所属していた新党さきがけは、党の存亡をかけて参院選を戦いました。5年間、国政の中枢で与党の一角を占めてきた政党でしたが、得票は78万票余り、得票率1.40%に終わり、議席は獲得できませんでした。当時と今とでは、社会情勢も、選挙の制度も違い、一概に比較はできませんが、全国で100万もの票を獲得するということは並大抵のことではないと思うのです。

 

しかし、「N国」は、並大抵ではないことを実現させてしまいました。今までも、特定の政策課題の解決に特化したような政治団体が参院選に挑む事例はありましたし、今回もいくつかそのような団体が出ていましたが、「N国」は突出して得票しました。

 

どうしてこのような結果になったのか、いろいろな分析が成り立つと思いますが、既成政党に投票したくない人で、NHKのあり方に不満のある人が票を投じたのではないでしょうか。つまり、政見放送やYouTubeの動画が面白い、インパクトがあるといえども、訴えている内容に多くの人が共感を覚えなければ、これだけ得票が積みあがるものではないと思うのです。つまり、NHKの受信料制度を変えるという政策への賛同と、そのまま受け止めなければならないのではないでしょうか。

 

選挙運動について、ふざけた要素が濃すぎるように思うところもありますが、選挙の結果は厳粛に受け止めなければならないと思います。僕自身も、NHKの受信料制度は不公平感を強く感じてきました。代表・立花氏の個人的恩讐に端を発する主張に見受けられる部分もあるにせよ、目指しているワンイッシューの政策、NHK受信料改革は必要なことであり、ひいてはNHKのあり方そのものにもメスが入るべきだと思うのです。

 

一部では、「N国議席獲得という結果は、政治的常識の崩壊」という意見もあるようですが、改革が必要な特定の政策課題に特化して選挙に出ることは決して悪いことではないと思います。政策実現したら解党する、と言い切っているあたり、議席にしがみつく輩〈やから〉と較べても、潔いと僕は思います。

 

参議院の全国比例の選挙制度を使って、さまざまな政策課題の解決のために立ち上がる人たちがもっと出てきてもよいのではないかと思います。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

                                  

 

 

 

 

 

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参院選が終わり… 主権者は国民…

 

こさいたろうの視点・論点 0105

2019/07/28

 

 

参院選が終わり… 主権者は国民…

 

     

 

主権者である国民が参院選で示した方向は、安倍自公政権で概ねこれまで通りの政治を遂行せよということ。投票率が50%を割り込んでいるだの、自民党は全体の20%しかない得票数で半数に迫る議席を得ているだの、投票率が低いから得票数が激減しても組織政党である公明党の議席数が増えただの…。いろいろな論評はあるものの、投票への妨害があったわけでもなく、棄権という行動も主権者である国民の意志であり、主権者の示した選挙結果は厳粛に受け止めねばならない。

 

たしかに、野党がバラバラではどうしようもないとか、自民党に代わって任せるべき政党が見当たらないとか、誰がやっても変わりないんじゃないかとか、それは間違いないと私も思う。でも、不甲斐ない野党のせいにしても、政治家のせいにしても、政治も社会も変わるはずがない。なぜならば、議員は、国会議員にせよ地方議員にせよ、主権者である国民に選ばれているわけで、主権者の意志表示なくして、政治の方向性は決まらないからだ。

 

ゆえに、先の参院選の結果から導かれるのは、これまでの安倍自公政権への信任、基本姿勢・政策の継続となる。日米同盟により軸足を置いた外交・安全保障政策が展開され、場合によっては「有志連合」への参加の可能性も出てくる。辺野古移転は粛々と進められる。消費税率は10%となり、未就学児の教育保育や高等学校授業料の無償化などが行われる。国土強靭化と銘打った公共事業に7兆円が投入される。外国人材をさらに積極的に受け入れる。初めての憲法改正に向けた取り組みがさらに強化される。などなど…。

 

「いや、それを認めたつもりはない」と後から叫んでみても、なかなか通るものではない。選挙で結果が出ているから。自分が権力者の一員なのだから。

 

私たちは、日本国の主権者である私たちは、激動する国際社会の中に生きる者として、新興覇権国家と隣り合わせの国に生きる者として、急激に少子化・高齢化の渦中にある国に生きる者として、他国との軍事同盟を背景に自国の平和や安全を保つ特異な国に生きる者として、主権者である意識を、当事者であるという意識をもっともっと強くする必要がある。「誰か」に任せていても、究極、その結果責任を「誰か」はとってくれない。

 

たしかに野党は不甲斐ない。何かやってくれそうにも見えないし、失敗の責任をとらない面々がいまだに居座っているし、何より、日本という国が進むべき方向性を明確に示さない姿勢は、政治を担う資格すら問われる状況だ。

 

ただ、「だからダメだなぁ」というだけでは主権者としての責務を果たしているとは言い難いのではないか。自民党ではダメだという主権者は、ダメな野党を淘汰させ、国民の信頼に足る政治勢力を新たに構築させる責務があるのではないか。それが国民主権の国に生きる者の務めではないのか。

 

私は、日本国を船に例えれば、針路設定、目標の港を再設定するかどうか、厳しく議論すべき時のように強く思う。みんなが船長なわけで、みんなで議論し決めるべきものだと思う。しかし、今、そのような議論が行われているようには全く見えない。中途半端にお茶を濁していれば、真綿で首を絞められるように、破綻の招来に向かってしまうのではないか。無性に心配になる。

 

自民党にせよ、その他の政治勢力にせよ、日本がどんな国になるべく進むのか、そのための具体的政策は何か、できるだけ早期に、明確に示してほしい。

 

示さないなら、示させるのが主権者の役割、なのだが…。現実はそう簡単ではない。どうすべきなのか、今、私は答えを持ち合わせていない。

 

その上で、先の参院選で改めて感じとことは、「選挙を棄権することは現状への信任」、ということだった。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

 

 

 

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山本太郎氏が気になっている

 

こさいたろうの視点・論点 0104

2019/07/14

 

 

山本太郎氏が気になっている

 

 

正直にいうと、しゃべり方だとか、立ち振る舞いはどうしても好きになれません(はっきり言って生理的に受け付けにくいですが)が、この6年の言動や今回の参院選における挑戦、掲げている政策は無性に気になっています。山本太郎氏と、彼が創設した政党のことです。

 

政策について。既成政党、特に野党の面々が言いたくても言えないことを、しがらみを排し、逃げずに掲げている印象があります。あいまいでなく、具体的に示していると思います。意見の異なるところ、ツッコミどころもありますが、わかりやすいのです。

 

参院選立候補者の選定についても、目を見張っています。無名であっても、しっかりと議論ができる素地を持った人たちに感じます。いろいろな社会問題に当事者として関わっている人たち。解決すべき問題のありかを、普通の人たちよりもよく知っているはずです。

 

選挙公報で、立憲民主党の比例名簿を見れば、芸能人、有名人、労働組合などの組織代表の人たちが目に飛び込んできます。国民民主党の名簿にも労働組合の代表者が並びます。僕には、「不条理を感じて社会を変えなきゃ」という方向の人たちでなく、「今ある既得権を守る」方向の人たちに見えてしまいます。

 

候補者選定という意味では、以前から僕には、自民党と野党との間に違いがない印象がありました。有名人や組織の代表者にとどまらず、地方議員上がりや秘書上がり、すべてがダメではないにせよ、「社会を変えなきゃ」というふうに心底から思っている人が極端に少ないような気がしていました。

 

山本太郎氏の政党の候補者は、重度の障害を持つ方々、巨大コンビニに切り捨てられた人、派遣社員を続けざるを得なかった人、所属する宗教団体と支援政党の変節を憂う人、東電で原子力業務に従事していた人、金融業界の最前線でその不条理を感じた人、等々。これまでの政界進出予備軍とはだいぶ違う印象を受けます。

 

ネットのニュースの情報を簡単に調べるくらいしか術はないのですが、れいわ新選組に対する寄付の申し出は3億円を超え、東京・品川駅前の街頭演説では数千人規模にまでなっているとのこと。ここまで民衆の期待を集め始めると、もはや無視できない存在になりつつあるのではないでしょうか。

 

山里には山本太郎ブームはありませんが、それでも、県道沿いの畑や、民家の軒先に山本太郎氏の顔が大写しされたポスターをたまに見かけます。これは、田舎ではなかなかないことのように思います。都市部だけでなく地方にも多少波及し始めているのではないでしょうか。

 

昔、細川護熙さんが日本新党を立ち上げ参院選に挑んだことがありました。細川家の末裔で熊本県知事をしていたので多少の知名度はありましたが、山本太郎氏ほどではなかったような気がします。結果は、現職ゼロから、全国比例区で4人当選。その後の大ブームにつながっていきました。

 

今回の山本太郎ムーブメント、山里にいるので実際には見ていませんが、あの時の日本新党ブームに似ているのではないか、と感じています。既存の政治、既成政党への不満、不安、憤り…。それらをため込んでいる人がかなり多くいるような気がします。

 

消費税廃止やデフレ脱却給付金、国債発行と財政出動、これらの政策、過去の言動を見ると本当は安倍首相もやりたいことなのではないでしょうか。対等な日米同盟と真の独立国家を目指す、これも健全な保守勢力が目指す方向なのではないでしょうか。社会的包摂を基本とした福祉政策は、真のリベラル勢力が目指すべきところなはず。既成政党や政治家がしがらみで言えないところをズバリ掲げている彼らが、この参院選でどこまで伸びるのか、僕は注視しています。

     

 

それでも、冒頭述べたとおり、積極的に応援しようと今は思えない自分もいます。昔、師匠の田中秀征さんがある政治勢力を指して、「いいことも言っているんだけど『イエロー』な感じがするんだよ」といったことがあります。「青空の下じゃなく、暗いところでうごめいている感じがする」とも。今の山本太郎さん、そんな感じがするんですよね。手放しで信用していいのか、っていう感じの。背後に、表に出られない人が控えているような感じの。日本新党と似ていると書いたけど、そこがかつての日本新党との違いかな。気品というか、風格というか、そういう感じが出てきたら、これは大化けすることになると思うんですが。取りまきなどを見ると、期待できないのかな…

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

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