内閣改造を見て思ったこと

こさいたろうの視点・論点 0010

2017/08/07

 

安倍改造内閣について

 

先日の内閣改造をもって、「もりそば、かけそばは売り切れです」ということにはならない。大臣の交代で幕引きを図ろうという姿勢は許されない。今後の注目は世論の動向。目先を変えられてこの問題が風化するようなら、日本社会の劣化そのものを問題視せざるを得ない。

 

防衛省の問題も同様。自民党の国対委員長は「大臣を辞めて責任を取った」などと言っているようだが、辞めて済む類いの話ではない。なぜ、存在する文書を隠すようなことになったのか、大臣はその時どうしたか、大臣が変わっても明らかにする責務が政治にはある。

 

その上で、今回の内閣改造は、これまで強引な政権運営を続けてきた安倍首相の姿勢の明らかな変化が見られる。東京都議選の結果をはじめ、世論の厳しい視線が安倍首相の態度を変えさせたものだ。内閣が改造されても、首相は安倍氏で変わらず。国民の厳しい監視を続けねばならない。

 

今後は、お友達優遇と疑われる政治姿勢や防衛省問題に象徴される不都合な情報隠蔽などにとどまらず、安倍首相の政治思想や、それに基づく政策展開まで厳しく監視する必要がある。どんな日本の未来を目指すのか、国民自身が考え、政治を見極めることが必要だ。

 

その意味で、自民党の原発政策に異を唱え、情報公開に積極的な河野太郎氏、議論なき自民党に異を唱え、郵政民営化にも反対していた野田聖子氏の入閣に注目している。政権内部の意見の違いやその議論がどの位、明らかになるだろうか。少しでも見えるようになれば、今よりはまし。

 

 

「受け皿政党」論でいいのか…

 

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農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

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「情報公開は民主主義の根幹」

こさいたろうの視点・論点 0009

2017/07/31

 

 

「情報公開は民主主義の根幹」

 

 

森友の問題も加計の問題も、土地取得や特区認定に至る資料がすべて残っていて、どんな質問にも納得できる説明がなされれば、何の問題も起きません。

 

例えば、森友問題で言えば、8億円も値引きして国有地を売却するという案件なのですから、なぜそんなにディスカウントされるのか、疑問の声が上がることは容易に想像がつきます。だからこそ、その交渉過程、決定過程の記録はすべて残しておいて、いつでも堂々と説明できるようにしておくべきです。やましいところがなければ、言われなくても役人はそうするはずだと、僕は経験上思います。

 

加計問題でも、今治市役所の職員が首相官邸を訪れていることが、今治市側の資料から明らかになっています。しかし、政府側は確認ができないと言っています。こちらも、やましいところがないのであれば、今治市の職員が官邸を訪れたのか否か、訪れたなら何を話したのか、記録を残し、いつでも堂々と説明できるようにしておくべきです。というか、やましいところがないならば、役人は必ずそうしているはずだと思います。

 

資料がない。説明ができない。このことは、疑惑が永遠に晴れないことを意味します。

 

だからこそ、役所の情報は、原則全面公開であるべきです。主権者たる国民から税金を預かり、主権者になり代わって仕事をしているのですから、その仕事の情報は主権者のもの。水面下でやらなきゃならない仕事もある、という大人の意見もあるかもしれませんが、おおかたの国民は政治や行政に、そんな仕事をしてほしいなんて思ってはいません。公正で透明に、誰にでも堂々と説明できる、そんな仕事を求めているのではないでしょうか。そうでないのは、オレだけ、オレたちだけ特別扱いしてくれというごくごく一部の人たちで、そういう類いのヤカラは、たいがい政治家のまわりにたかっています。森友や加計の問題からは、そんなにおいがプンプンします。安倍氏が政権を取って以降、このような意味で時計の針が逆に回ってしまい始めているような気がしてなりません。

 

これらの事件を山里から眺めているうちに、昔のことを思い出しました。

 

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農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

 

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「最初が肝心、都政改革」

こさいたろうの視点・論点 0008

2017/07/25

 

「最初が肝心、都政改革」

 

都民ファーストの会の躍進により、古い慣例などで阻まれていた様々な改革を実現させる環境はできました。あとはやるか、やらないか、のみ。果敢に挑む中での多少の失敗は、変化を期待して投票した多くの有権者も納得してくれるはず。何もやらない、今までと同じ、が最も大きな失望を招くことになります。

 

最初が肝心です。今回の選挙結果から読み取れる東京都民の意思は、大改革です。そうでなければこんな結果になるはずがありません。したがって、冒頭から慣例を打ち破る覚悟と、都民に見えるような動きが絶対に必要です。僕の期待をいくつか記しておきたいと思います。

 

  • 正副議長や委員長ポストなどの選挙「見える化」を

 

よくあるパターンは、第一会派から議長、第二会派から副議長、これで思考停止しちゃうわけです。あとは、当該の会派の中で適任者を決めてね、となります。だから、新人議員などは何だかわからないうちに、本会議場で「異議ナーシ」という声とともに、議会のトップが決まることになります。また、水面下での調整が失敗すると「投票だー」ということになり、これまたよくわからないうちに紙が回ってきて、「この名前を書け」「字を間違えるな」と。僕はいつも、これじゃあダメだなぁ、と思ってきました。時に、議長に相応しくない人材であっても会派の都合で選ばれてしまうことがありますし、何より主権者である住民には全く見えないんですよね、選出の過程が。

 

だから、きちんと正副議長選挙を行う。選挙の前には、候補者はその意志を公表して、本会議場で堂々と所信を語ってもらう。議長として何ができるか、何をしたいか、明らかにするということです。それを確認した上で、全議員が投票して議長を選出する。民主主義社会では、当たり前のことではないでしょうか。

 

「水面下」「裏取引」、そういったものを取り除いていくことが、今回の選挙結果に応えることのはず。言うだけでなく、やってほしいです。開かれた議会の実現を。

 

  • 議員特権の返上を

 

だいたい、議会改革は全会一致が原則、とか言って、選挙が終わっても協議する検討会のようなものを作り、亀のような歩みで議論を進め、次の選挙が近づく頃に、申し訳程度の成果を見せる。都議会だけということでなく、多くの議会の改革実態ってこんな感じだと思います。だから、いつまでたっても、議員報酬を多すぎないか、政務活動費って第二報酬じゃないのか、費用弁償ってさらにお金もらうのか、といった住民からの不信感が払拭できないわけです。僕もその昔、地元の若い人と飲みに行くと「政務活動費でおごってよ」なんて冗談をよく言われました。

 

検討委員会を設置し議論、なんていう今までと同じ甘っちょろいことは、都民は求めていません。選挙結果からも明白。議会の構成を見ても、万が一反対しそうなのは自民党くらいです。反対するようなら、世論に問いかければいいだけです。

 

・ 公用車使用の完全自粛(のちに廃止制度化へ)

・ 登庁時の費用弁償支払い一時停止(のちに原則廃止制度化へ)

・ 報酬削減の継続

・ 政務活動費・使途を全面自主的公開(毎月1円単位で)

 

これくらいは、都民ファーストから各会派に呼び掛けてすぐにでもできるはず。反対する会派や議員があれば、公表して差し上げればよいと思いますよ。「条例を作ってから」なんて言い訳は、この選挙結果を受けてもう通用しませんよ~。

 

  • 知事附属機関等への議会選出の凍結

 

実は、改選後の議会冒頭で手掛ける、最も重要なテーマだと思っています。

 

知事や市長などの執行機関は、その事務について審査や調査などのために審議会や検討委員会といった組織を設けています。これらを附属機関と呼びます。附属機関等は、執行機関の諮問的な性格を有し、政策立案の一翼を担っています。

 

一方で、議会は条例制定権を有していて、独自に政策を具現化することができます。議会は行政事務の検査及び調査権を有していて、執行機関のチェック機能を果たすことが求められています。

 

知事や市長の政策立案過程に議員が参加するということは、議会の形骸化を招き、チェック機能の低下にもつながりかねません。議会は、議会の場で活動すべきで、そのための大きな権能も有しているわけです。

 

行政に取り込まれる議会からの脱却を図ることは、議会改革の大きな柱だと思います。附属機関の委員になって、好きに発言し、仕事をした気になっている。また、その立場を利用して影響力を行使する。そんな議員のあり方を変えるチャンスだと思うのです。「凍結」、ぜひ実現させてほしいです。

 

  • のり弁廃止や利権一掃に向けて

 

都民ファーストの会では、条例制定を公約にしていますが、すぐにできることがあると思っています。

 

のり弁とは、情報公開時の黒塗りのことですが、これを原則やめようというのは、知事も同じ方向を向いています。したがって、議会意思として知事に対して、都政情報の原則公開の徹底を公式に申し入れるパフォーマンスくらいすべきです。本会議場で、議事録に残る形で行うべきだと思います。

 

また、利権一掃に向けては、まずは議員と職員のやり取りをすべて記録に残し、公開するくらいのことはすぐにできるはず。これも、知事は同じ方向を向いていると思いますので、実施を知事に申し入れる。さまざまな相談や、打ち合わせ、すべて記録に残し、頼まれなくても公開する。これをするだけで、かなりの効果があると思います。その上で、じっくり条例づくりをすればいいと思います。

 

いかがでしょうか。

改選後初の臨時議会、秋の定例議会で真価が問われると思います。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

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「急進改革の派閥を作れ」

 

こさいたろうの視点・論点 0007

2017/07/16

 

 

「急進改革の派閥を作れ」

…かつての同志に期待している

 

 

都議選で大勝利した小池さんの「都民ファーストの会」。

 

選挙が終わったら小池さんが代表辞めて、また野田という人が代表に戻りました。そして、幹事長には元民主、政調会長には元自民、総務会長は自分の秘書、みたいな人事になりました。議会側から本気の改革ができるのか、ちょっと不安を覚える人事だと僕は見ています。側近重用、選挙の論功行賞、的にも見えなくはないので。小池さん自身が、グリップをきかせられるかがカギですね。

 

僕は、議長などの役職を決める「臨時議会」が行われるまでのお膳立てが、これからの都議会改革・都政改革の試金石だと思っています。そして、その後の「定例議会」で、都民ファーストの会の公約を具現化させる条例案をいくつかでも提案できるか、が次の勝負になると思います。秋の議会で、「小池さんの演説、鳴りやまぬ拍手」的な絵面が出てきて、議会としての動きゼロみたいに終わったら、アウトだと見ています。

 

民主党政権発足時、安倍政権発足時、最近の日本、実はこのパターンなんですよね。はっきり言って、どこかの全体主義国家のようで本当に気持ちが悪い。小池さんを礼賛するんじゃなくて、小池さん、改革のスピード遅いよ、って引っ張っていくくらいじゃなきゃ、今回の勝利の意味がない。僕はそう思います。

 

そこで、重要な役割を果たせる、いや、果たしてもらわなきゃならないのが、ファーストペンギンの皆さんですよ。また改めて荒海に飛び込んでもらわねばなりません。彼らが三役人事から漏れたのには、運命的な意味があるのではないかと思います。三役になって寄り合い所帯的組織のまとめ役として徒労するよりも、自由にどんどん動けっていうこと。「誰がやるか」じゃなくて「何をやるか」という原点を重視しろっていうこと。

 

はっきり言って、新三役の顔触れ、政治家としての経歴を見ても、大胆な改革を志向するタイプじゃないように見えます。周辺との協調重視、できれば全会一致的な考え方を持っているように見えます。全く知らない人たちなので間違っていたら謝りますが、少なくともファーストペンギンの皆さんとは違う気がするのです。

 

本稿の最後に、僕の拙い経験に基づく私案を載せたいと思いますが、改選後議会のスタートをどう切るかが本当に重要です。そのために、ファーストペンギンの皆さんに期待したい。

 

・ 初当選議員の中から、志を共有できる人を仲間に引き入れて、いい意味での派閥を作る

・ 派閥っていうと古臭いが、党内に行政改革研究会のような勉強会組織を作るでいいと思う

・ そこを根城にして、条例案などを矢継ぎ早に作って、新三役を突き上げる

・ 新三役が四の五の言ったら、小池さんをけしかける(必ず同じ方向を向いていると思う)

 

もうすでに動いているかもしれませんが、今すぐにでも動いた方がいいと思います。党の組織に合わせて、とか、政調会の下に、とか、そんなこと言ってる場合じゃないし、そんな立派な組織でもないでしょう。都民の圧倒的な期待を受けている今やらなくて、いつできるのか。

 

絶大なる期待をしているファーストペンギンは、上田令子さん(江戸川区)、両角穣さん(八王子市)、音喜多駿君(北区)。かつての僕の同志。議会改革、行政改革の旗を党内に立てて暴れてほしい。というか、この三人が暴れられないような組織は、早晩既成勢力に絡めとられるものと僕は思っています。

 

ちなみに、新人議員も、地元まわりなんてしている場合じゃないですよ。臨時議会が終わったら、たっぷり時間がありますから。今、向こう4年間の議会運営のために何が行われているのか、しっかり見るべきです。一部の幹部に任せて、呼ばれたときに行くのじゃダメです。毎日何をしているのか、党内全議員への情報共有を求めるべきだと思います。敵のみならず、身内ほど「新人議員は何もわかっていないから蚊帳の外で大丈夫」と高を括っています。毎日議会に登庁すべき。愚者の経験に基づく助言まで。

 

最後に、これは臨時議会までにやらなきゃ、ということを具体的に列挙したいと思います。各項目の具体的な私見は次回に載せたいと思います。

 

・ 正副議長選挙の見える化 …正副議長候補者の所信を確認する場を公式に設ける

・ 常任委員会正副委員長の選任も本当の互選で …ポストを会派の人数に比例して配分し、およそ適材とは言えない議員が役に就くというやり方を変える

・ 知事付属機関等委員の議会選出の凍結 …議員は議会で政策の具現化を図り、都政をチェックすべきであり、知事に取り込まれるような仕組みは不要

・ 議員特権の廃止について …例えば、公用車使用の完全自粛なんて、すぐにでもできる

・ 「のり弁」廃止に向けた知事への申し入れ …新議長が議会の意志として公式に

・ 「利権一掃」に向けた知事への申し入れ …新議長が議会の意志として公式に

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

 

 

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「責任を取らない政治は信頼を得られず」 …〈こさいたろうの視点・論点 0006〉

こさいたろうの視点・論点 0006

2017/07/07

 

 

「責任を取らない政治は信頼を得られず」

 

 

嵐のような東京都議選の結果が出ました。

 

小選挙区制であれば、これほどもオセロゲームもあり得ますが、中選挙区が主体の都議選でこれほどの結果は、ある種革命的といっても過言ではありません。ほとんどの選挙区で都民ファーストの候補者がトップを占め、複数擁立区でも複数当選、追加公認も含めて56人中55人当選という驚異的結果に。逆に自民党は、下位当選もできない候補者が続出し、過去最低を大きく更新し23人当選にとどまり、国政第二党の民進党は候補者すら揃わず、当選者は5人と激減しました。さまざまな論評はありますが、僕は、民意を鏡のように映し出して劇的に表れた結果と確信します。そのまま受け容れるべきだと思います。

 

あまりにも独善的で聞く耳を持たず、説明も尽くさず、驕ってしまった安倍自民党政権への強烈な批判の結果であることは論を待ちませんが、それだけでしょうか。僕は、既存の政治家、政党全体に対する失望の意味も多分に込められていると受け取っています。自民党はもとより民進党なども含めて、既存の議員や政党の特権的ありようへの批判、そのくせ、社会に横たわるさまざまな問題の解決や将来の不安の払拭への本気度が見えないことへの憤り、これが爆発したのだと思います。

 

何しろ、数多くの東京都民は、政治的実績をほとんど持たない「新しい人々」を議会に送り込む決断をしたのですから。この流れは、米国大統領選挙やフランス大統領選挙やその後の国民議会選挙などと同じ世界的なうねりのようにも感じます。新しく当選させる議員たちが4年間のうちに結果を出せるかどうかは全くの未知数だが、少なくとも今までの政治家たちに継続させるよりも新しい人々に期待するしかない、と多くの都民は考えたに違いありません。それほどに既成政治への信頼は地に落ちているということです。安倍自民党のみならず民進党をはじめとした野党も一括りなのです。

 

僕は東京で約23年間、政治の世界に身を置いていました。1993年の都議選は、渋谷区選挙区の日本新党候補者の選対事務局長をしていました。公認候補22人中20人当選、当時の選挙を振り返ると「既成政党には期待できない」と、大応援の渦が幾重にも生じていたことを今でも鮮明に思い出します。

 

酷暑の中、街頭演説をすれば、無名の候補でも聴衆が囲みました。「冷たいものを飲んで頑張って」と、僕の手に福沢諭吉の札を握らせるご婦人まで現れました。また、候補者とは一面識もない人が「日本新党の党員になった」と電話してきて、ボランティアとして次々と戦列に加わっていきました。私の住んでいた港区では、告示日直前に手を挙げた候補者が、拡声器も持たずに、2-3人で自転車に乗って走り回るだけで当選に至りました。

 

今回の都民ファーストの選挙も、あの時と同じような景色だったのではないかと想像していました。否、結果を見ると、それをはるかに超える都民の期待があったに違いありません。残念ながら、24年前と較べてもさらに、政治は停滞し、そして劣化していると言わざるを得ないのだと思います。

 

小池百合子さんの政治家としてのスタートは、この日本新党でした。僕は一候補者の事務方であり、参議院議員となった小池さんとは全く立場は違いましたが、同じような空気を肌で感じていたはずです。ただ、今回の選挙結果とこれまでの結果の間には、大きな違いがあると僕は思っています。

 

1993年の都議選では、1989年に36人を当選させた社会党議員が14人に激減し、さらに4年後の1997年にはなんと1人になりました。8年で、36人→1人です。

 

その後、時を経て、2009年の都議選では、民主党が54人の議員を擁するに至りますが、2013年には15人に激減し、さらに4年後、今回5人になりました。8年で、54人→5人です。

 

政治の大刷新を期待されるものの、既成の政治から脱却を図ることができず、逆に既成の政治にどっぷり漬かってしまい、有権者に見捨てられた結果です。特に民主党の顛末は、僕も政治の最前線にいたので、裏切りを肌で感じていました。

 

一方、自民党はこの間、時々の浮き沈みはあるものの、一定の支持を受け、安定的な評価を保ってきたといえます。日本新党躍進の1993都議選では2議席増の44議席、民主党54人当選の2009年選挙でも10議席落とすものの38議席は得ていました。しかし、今回とうとう、過去の既成政党が歩んできた道に足を踏み入れてしまったように思います。これまで「お灸をすえられる」ことはあっても、「やはり日本政治に自民党は欠かせない」という長年積み重ねた安心感や信頼感のようなものが、今回崩壊したように僕には見えてなりません。

 

都議選を前にさまざまな疑惑が表面化し、説明と議論を尽くさない強権的姿勢が鮮明となり、さらには「人としてどうか」というような所属議員の言動も次々と明らかになる。政治の劣化を眼前にした東京都民の判断は、当然の結果なのだと思います。

 

そして、選挙を終えて、安心感や信頼感の崩壊の根本原因が露呈していると断ぜざるを得ません。痛烈に批判しなければなりません。それは、「都民の意志表示を直視せず、何ら責任を取ろうとしない政治のありよう」です。これは、自民党のみならず、民進党も同罪です。国民からは「一括り」に見える「既成政治」の姿です。党首の安倍氏も蓮舫氏も、幹事長の二階氏も野田氏も、同じ穴の狢。一地方選挙なのだから中央は責任を取らないなど有り得ない。都議選の最大の争点の一つは、既成政党か新しい勢力かだったのは誰が見ても明らかで、自民も民進も有権者から鉄槌を受けたのですから、この敗北の責任を党首や党執行部がとらずして誰がとるのか。反省は言葉だけだと厳しく糾弾せざるを得ません。これでは信頼される政治が実現するべくもなく、子どもたちにも全く説明がつきません。自らの行動の結果に責任を持つ、なんて教えられないじゃないですか。

 

これから、全く新しい人材が都政の中心に座り、都政を担うことになります。先述したとおり、24年前の日本新党、8年前の民主党も同じような結果の後、当選議員の多くは「せんせい」と呼ばれることに象徴される特異な政治の世界に染まってしまい、結局ほとんど成果を上げられず、都民の期待に背き、消滅していきました。しかし、これも先述のとおり、今回の選挙結果は「もう自民党にも戻らない」という、東京都民の不退転の意志表示のように思います。同じ轍を踏んでしまっては、もはや行き場がありません。

 

僕は、都民ファーストで当選した議員の中に、徹底的な情報公開に本気で取り組める、議員の特権的待遇をすすんで返上できる、天下りをはじめとした役人天国に容赦なくメスを入れられる、政官業の癒着があれば身を挺して対決できる、そんな昔の仲間が何人かいます。

 

逆に、これらに本気で取り組むか疑問の、もっと言えば、役人に取り込まれてしまう恐れのある、さらには役人を懐柔して利益誘導を図る、あるいは特権的待遇にあぐらをかいてしまう、そんな当選者も紛れてしまっているようにも、正直に言って感じています。心配しています。

 

昔の仲間には、改革を牽引する圧倒的な力を発揮してほしいと思っています。そして、東京都民の、ひいては国民の期待に応えてほしいと思います。それだけの力を、選挙を通じて得ています。自信をもって進んでほしいと思います。今回の選挙結果の意味を忘れてしまったような議員は、容赦なく切り捨てて前進してほしいと願っています。

 

僕は、1991年自民党都議の秘書となり、1992年日本新党第一号都議の選挙を手伝い、1993年日本新党都議候補の選対事務局長を務め、同年新党さきがけの最年少代議士の秘書になりました。ここまでは、借金を抱え、4年で大学を卒業できず、就職もできない、ダメ大学生の社会勉強でした。しかし、新党さきがけと出会い、武村正義さんや田中秀征さんと出会い、自民党を出てきた意味とその情熱に触れ、共鳴し、このさきがけの一員として政治に参画したいと初めて思いました。そして、1995年港区議会議員選挙に挑戦し、当選させて頂きました。以来、社会主義者ではない、保守政治の末端に自ら身を置き、本当の保守政治が目指すべき改革を志向し、地方政治に取り組んできました。さきがけなき後は、無所属で地方議員を続け、2004年には自民・民主相乗りの役人出身候補と区長選挙を争いました。この時、自民党と簡単に相乗りし改革を拒む民主党の本質を目の当たりにし、民主党では改革はできないと見切りました。しかし、2009年の衆議院総選挙、かつてのさきがけ同志が民主党執行部に就き、徹底的な行政改革を成し遂げると公約したことを信じ応援。政権交代がなされたものの直後に挫折。国民の圧倒的支持がありながら役人の軍門に下る姿に、愕然としました。そんな時、改革の志を曲げないみんな党に共鳴して入党。この党ならば、地方議会で行政改革に取り組んできた自らの経験を生かせると確信し、今しかないと最初で最後の挑戦と心に決め、区議会議員を辞して国政を目指しました。しかし、衆参ともに落選。23年身を置いた政治の一線から離れました。私が所属した政党は、ともに徹底した行政改革なくして日本の未来なしと旗を掲げてきた新党さきがけとみんなの党。ともに国民の大きな期待を受けながら、我慢できない党内事情により自ら崩壊していきました。

 

繰り返しになりますが、今回の結果は、これまでの有権者の期待とは異質の、いわば最後の期待のような気がしてなりません。これでダメだと絶望につながってしまうような、崖っぷちの期待といいましょうか。だからこそ、そつなくこなしてきた自民党議員を退場させ、政治的な実績はないが新しい人材を多数議会に送り込む選択をされたのではないかと思うのです。当選した都民ファーストの新議員の責任は極めて重大です。

 

過去のしがらみや慣習に全くとらわれず、内部にいるかもしれない守旧的政治家をも振り切って、次々と新機軸を打ち出して下さい。都民ファーストのみならず、国民ファーストな政治の幕を開く役割と責任を担っていることを常に自覚して、ひるまず、恐れず改革して下さい。都民の意志表示である今回の選挙結果とこれだけの議席数があれば、直近の議会から、条例提案をはじめとしたさまざまな制度改革の着手・実現が可能なはずです。一期4年で仕上げる決意で、誤解を恐れず言えば、選挙区の地盤固めを捨ててでも、目に見える改革を切れ目なく続けてほしいと願っています。都知事の顔色をうかがう必要はありません。向いている方向は同じなはず。逆に、都知事を引きずり込むような大きな嵐を起こしてほしいと願っています。

 

心より期待しています。七夕の短冊に願いを込めて。

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

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「稲田防衛相発言の本質」

こさいたろうの視点・論点 0005

2017/07/01

 

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「稲田防衛相発言の本質」

 

 

稲田防衛大臣、単なる失言で済ませていいのでしょうか。言い間違えとか、誤解を招く表現とか、本当にそういうことなのか。僕は、深く疑いの目をもって稲田氏を見ています。

 

弁護士であり、何期も国会議員を務め、自民党の政調会長も務め、大臣も二回。こんな華麗なキャリアを持つ人が、日本国憲法下において大臣の立場で投票依頼することがいかに重大なルール違反か、知らない訳がないと思うのです。知ってはいるけれども、心の中がつい表面に出てしまったのではないか、そう疑っています。本音は、一党独裁あるいは官僚独裁的な社会が望ましいと思っているのではないかと。

 

例の、右翼的思想を理念とする森友学園ともかなり親しい関係にあったようですし、要職に就く前の稲田氏の言動からは、東京裁判を否定し、教育勅語復活を念願する戦前回帰、明治礼賛を感じます。

 

戦前、明治維新以降の国家体制は、天皇の下の官僚政治であり、議会は協賛機関に過ぎない位置づけでした。国民が主権者であり、国会が国権の最高機関であり、国会議員は主権者である国民による選挙で選ばれ、多数を形成した勢力が政権を担う、という現体制とは真逆ともいえる時代への憧憬・礼賛の思いが稲田氏の心の奥底にはあるのではないかと疑わずにはいられません。

 

そう考えると、今回の稲田防衛大臣の発言は、稲田氏の本心に基づくものと思えてなりません。自らは、一強多弱の環境にある自民党政権の重要閣僚、防衛大臣。その任命権者である安倍首相から最も目をかけられている部下の一人であり、そんな自分が「防衛大臣として」「防衛省・自衛隊を代表して」、自民党候補者の応援をすることに何の問題があるのか。稲田氏の、問題発覚後の態度、上から言われたから発言撤回はするが謝罪はしないという姿勢、これらを見るにつけ、そのように思わざるを得ません。さらには、この発言を受けて菅官房長官も「撤回したのだから、全く問題ない」という主旨の驚くべき発言をしています。

 

僕は、日本国憲法を支持しています。国民主権、戦争放棄、基本的人権尊重という憲法理念は、普遍的な価値と捉えています。国民が主権者としてその代表者を選挙で選ぶ議会制民主主義システムも、現段階では最善と思っています。主権が天皇にあった明治憲法に戻ってはならないと思っています。その立場の者として、今回の稲田防衛相発言は一大臣の問題にとどまらず、安倍政権そのものの基本姿勢の危うさを強く感じています。

 

安倍首相は自身の政治信条を巧みに隠しながら政権運営を行っているように思えてなりません。僕は、常々そう思っていました。

 

・ 本当は、長州が成し遂げた討幕クーデターを経て成立した天皇親政を装った官僚国家を理想としているのではないか

 

・ 本当は、満州・朝鮮をはじめとした過去のアジア諸国への進出(侵略)を反省することはなく、むしろ現代においても積極的に進出できる国を目指しているのではないか。

 

・ 本当は、森友学園よろしく、すべての子どもが教育勅語を暗唱するような、上意下達の統制社会を作りたいのではないか。

 

・ 本当は、ある程度の「パンとサーカス」で国民を懐柔し、権力者の意のままになるような国を作りたいのではないか。

 

少々、想像がたくましすぎるかもしれませんが、第一次安倍政権以降、安倍氏やそれを取り巻く人々の言動を見てきて、率直に感ずるところを述べました。特定秘密保護法も、新安保諸法も、テロ等準備罪処罰法という名の共謀罪の強化も、そして、今回の稲田氏発言も含めて、国民の自由が奪われ、一部特権階級による独裁的政治につながる危うさをどうしても感じてしまいます。真綿で首を絞められるがごとく、気が付いたらこんなはずじゃなかった、ということだけはどうしても避けなければなりません。だから、必要以上に疑いの目をもって権力者を見つめる必要があると思っています。

 

時、折りしも東京都議会議員選挙。東京都民しか投票できない選挙ではありますが、全国が注目する準国政選挙の側面も少なからずあります。選挙結果は、東京都の政治の行方を左右しますが、この先の日本の行く末にも大きな影響を与えます。

 

幸い今の日本では、政治の行く末について、自らの意志表示が可能です。国民の意志が明確に示されず、現状是認の空気が社会を支配してしまうことを、僕は今、最も恐れています。

 

少なくとも、大臣の立場を利用し選挙運動を行い、謝罪もなく、発言撤回でお茶を濁し、内閣としても全く問題なし、と言い切る危うい政権には、「それは到底受け入れられない」という意思表示をすべきだと僕は思っています。さらには、安倍首相や取り巻く人々の心の奥に潜んでいる本音についてもぜひ考えてみてほしいと思っています。

 

 

農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)

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「持ちつ持たれつ、が改革を拒む」

こさいたろうの視点・論点 0004

2017/06/25

 

※ 今の社会や政治に対して思うことを書き、発信する活動「こさいたろうの視点・論点」を始めています。

※ 現在、数十人の皆様にご購読料(発行協力費)を頂いております関係から、公式サイトには冒頭部分のみ掲載させて頂きます。誠に恐縮に存じますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

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「持ちつ持たれつ、が改革を拒む」

 

 

これまで、数度にわたって「政治家の関与」、行ってみれば「口利き」に関する僕の思い出話を綴ってきました。政治家が、お友達や支援者だけに対して特別な扱いを役所に求めること、またそのような疑いをかけられることだけでも、公正な社会を著しく歪めます。さらには、「行政に対する厳しい監視」という、議員に課せられた重大な使命を果たせなくなってしまいます。なぜなら、役所に「借り」ができてしまうから。

 

これまで政治家側の問題を語ってきましたが、役所にだって指摘しなければならないことがたくさんあります。政治家の関与があろうがなかろうが、公権力と税金を使って、自分たちに都合のよい仕組みを作ることができますし、一部の人だけに有利に働くような仕掛けも巧妙に構築することもできてしまいます。

 

おりしも、東京都議会議員選挙が始まりました。

 

山梨に移る前までの25年近く、僕は一般の方々よりも比較的近いところから東京都政を見てきました。僕のフィールドは港区で、区議会の議員ではありましたが、区政と都政は切り離せない関係であり、行政の様々な問題点を探っていくと、都政と深く関係することも少なからずあったわけです。そして、いわゆる役所の組織益のために形づくられる組織や仕組み、その中で民間との癒着を疑わせる事例、お目にかかっていました。例えば…

(以下、ご購読の上、読み進めて頂ければ幸甚に存じます)
(ただ、今回は重要な東京都議会議員選挙期間中ということもあるので、後刻すべて公開しようかとも考えています)

 

「政治家の関与 3」

こさいたろうの視点・論点 0003

2017/06/17

 

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「政治家の関与3」

 

 

「与野党のかけひき激化」「世論の動向が焦点」「内閣不信任決議案の提出か」…

 

通常国会の会期末であるこの時期、毎年同じような報道で賑わう。しかし、僕が関心を寄せて本稿で取り上げている「政治家の関与」案件は、民主主義社会の最も重要な基盤である「国民と政治の信頼関係」を築く意味で、駆け引き材料とか選挙に有利不利とか、そういうちっぽけなことでなく、本質的に徹底究明を尽くしてほしい。国会が終われば終わり、ではない。

 

一方で、元TBS記者による性的暴行疑惑の事件に関して、自民党を離党した元検事の若狭勝代議士が、「逮捕状の執行をストップすることは、通常は絶対あり得ない」と声を上げている。これも、種々の状況を鑑みると、政治権力の関与、介入が疑われる。裁判所が発付した逮捕状の執行を止めたのは、警視庁の本部刑事部長とされている。警視庁は、東京都公安委員会管理下の東京都警察本部である。今、時は東京都議会議員選挙直前。この事件に少しでも疑念を感じる都議候補者は、この事件の真相究明を公約すべきだ。警視庁という行政機関のチェックは、まさに東京都議会の重要任務の一つなのだから。

 

さて、山里で毎日のようにこんなニュースを聞いていると、僕が政治の世界に足を踏み入れた頃のことを思い出す。

(以下、ご購読の上、読み進めて頂ければ幸甚に存じます)

「政治家の関与 2」

こさいたろうの視点・論点 0002

2017/06/10

 

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「政治家の関与2」

 

 

今国会で明らかにされている「政治家の関与」にまつわるさまざまな疑惑。これらの報道に接しながら、自ら経験してきたことをいろいろと思い出している。

 

前号をお届けした後、こんなご意見を頂いた。「昔から権力者に利権の濫用はつきもの」であり、世界中で頻発するテロを憂う文章に続き、「与党も野党もそんなことをやっている場合じゃない」とあった。

 

お気持ち分からない訳ではないのだが、この方が思うような「大切なこと」を議論し、決定するのが政治の役割だ。その土台には、国民と政治家との間に信頼関係がなければならない。その意味で、今表面化している森友問題や加計問題の真相究明は、避けてはならない重要なこと、と僕は思う。

 

さて、今から8年ほど前になるだろうか。僕が港区議会議員として活動しているとき、区立認可保育園の入所選考にかみついたことがあった。当時は、認可保育園への入園は「プレミアチケット」と呼ばれるくらい、預けられるどうか、希望者にとっては切実な状況だった。今もあまり変わらない様子だが…

(以下、続きます:ご購読の上、読み進めて頂ければ幸甚に存じます)

 

「政治家の関与」

こさいたろうの視点・論点 0001

2017/06/04

 

「政治家の関与」

 

僕が最近、山里から注目している政治の話題。

 

森友学園問題、加計学園問題、それに元TBS記者による性的暴行事件も加わった。これらはいずれも、政治家の関与、政権中枢の関与、いやはっきり言うと安倍首相の関与が疑われている。

 

僕は自らの経験から、疑ってかかるべき案件だと思っている。

 

首相夫人は、森友学園の名誉校長まで引き受けていた。加計学園の理事長は、安倍首相の腹心の友。首相夫人は、加計学園の運営する子ども園の名誉園長もしていたそうだ。元TBS記者は、その著者や言動からかなりの首相の信奉者と思われる。何か手心が加えられたのではないかと国民が感じてしまうのは当然だ。

 

疑いをかけられた政治家は、それが誤りというのであれば、理解を得られるまで丁寧に説明を続けなければならない。それは、政治家の責務である。もしも誤りであったとしても、疑われた状況を招いてしまったのは自らに端を発するもので、自らの責任と受け止めねばならない。

 

たとえ、安倍首相自身が何らかの働きかけをしていなかったとしても、首相夫人との浅からぬ関係にある学校法人の案件、首相が腹心の友と言って憚らない人物が理事長を務める学校法人の案件であれば、役所にとっては「特別の案件」になってしまうのは間違いない。

 

実は、これらは単なるスキャンダルの類ではなく、自由と民主主義の社会の根幹にかかわる重大な問題だと、僕は思っている。政治家と懇意であれば、優遇される、オイシイ思いができる、悪事も揉み消せる、さらには、一国の首相とお友達ならば、そのスケールは想像を絶するものになる。これではどこかの独裁的社会主義国家と変わらない。

 

果たして、大多数の国民は心の底で、どのように思っているのであろうか。「何かの裏があるだろう」、そう思っているのではないだろうか。ただ、おかしさを感じてもどうすることもできないので、「またか」とあきらめているだけではないだろうか。

 

数年前まで政治の現場にいた僕は、「あきらめては政治は変わらない」と訴えていた。でも今、「何かおかしいけど、仕方がないか」、自ら生きていくことに精一杯で、あきらめかけている僕がいる。多くの人は、今の僕と同じような心境だったのではないかと、今さらながら実感しながら生きている。

 

だから、安倍さん。「ご指摘はあたらない」「「働きかけているというのなら、証拠を出してください」というのであれば、自らが、僕らを納得させられるような事実関係の開示と説明を尽くしてほしい。大切なので、繰り返し言いたい。自らの疑惑を晴らすには、政治家の責務である。「権力者のそばにいればオイシイ思いができる」、その疑惑を晴らしてほしい。このままでは、子どもたちに示しがつかない。心から願っている。

 

ただ…

 

ちょっとやそっとのことでは、納得に至るものでないことは言うまでもない。

 

今回の事件ほど大規模なものではもちろんないが、「政治家の行政への関与」に僕は、たくさんお目にかかっている。自分自身、一線を越えそうになった誘惑もなかった訳ではないし、役所に問い合わせる、或いは紹介するというだけの行為にも相当の気を使っていたことを思い出す。問い合わせるだけで、ある種の「忖度」をしてくれてしまったのではないか、というようなこともあったような気がする。これから数回にわたり、そんな経験を思い出しながら、「政治家の関与」について綴ってみたいと思う。

 

お友達が関わっている案件だからこそ、「誰が見ても公正だと判断できるような手続きをすること」「行政手続きの過程を包み隠さず全て公開すること」、そのような指示を厳しく役人にできる政治家が、いつの時代にも求められている。

 

農夫・こさいたろう

 

《 ご挨拶 》

 

こんにちは。小斉太郎です。

 

先にもお伝え致しました通り、山梨でも最西北部の北杜市白州町の鳥原という山里に居を移し、はや二か月が経ちました。畑には、土壌改良を目的として主に大豆を播き、夏に枝豆を収穫してビールを呑むことを楽しみにしているような毎日です。新しい野菜・たまごの販売も、5月下旬から開始し、お客様を増やす努力を続ける必要はあるものの、大過なく順調に滑り出しました。野菜やたまごの集荷、子どもの送り迎えと、一日100km以上運転しておりまるで車の運転が本業のようですが、何とか元気に暮らしております。

 

さて、これも先にお伝えしたかと思いますが、転居、新事業の開始を契機として、今の社会や政治に対して思うことを書き、発信する活動を始めてみようと思い立ち、この度スタートすることに致しました。「こさいたろうの視点・論点」と銘打ち、これから、以下のように発信していくつもりです。

 

  1. ご購読(発行協力費)を頂く皆様にあてて、毎週一回、メールにて「こさいたろうの視点・論点」をお届けする
  2. FAX・郵送をご希望の皆様には、毎月一回、まとめてお送りする。
  3. 初回と、当面毎月一回は、ご案内も兼ねて、ご購読頂く以外の方々にも配信する。

 

政治の現場を離れて4年、内容的に皆様にご納得頂けるものが書けるか、いささか不安ではありますが、これまでの自らの政治活動を思い返しながら、頑張ってみようと思います。また、いずれは、ご購読者の皆様に見える形の双方向のやり取りができるようなプラットフォームも作れればと思っています。今、オンラインサロンといった呼び名で流行っているようなものを考えています。

 

つきましては、「こさいたろうの視点・論点」発行にあたりまして、ご購読・発行ご協力という形で、皆様のご支援・ご協力を賜れば大変有り難く存じます。何卒、よろしくお願い申し上げます。

 

  • 銀行・ゆうちょ振込(一年一括お支払)年額6,000円

以下の口座へお振込をお願い致します。お振込みいただきましたらば、お手数ですが私あてにご一報下さい。

 

・ みずほ銀行青山支店 普通預金 2391143 小斉太郎(コサイタロウ)

・ 郵便貯金 振替口座 00170-7-278836 小斉太郎事務所(他行からの場合:ゆうちょ銀行〇一九支店 当座預金 0278836 コサイタロウジムショ)

 

  • クレジットカードご利用をご希望の方は、お手数ですが、私あてご連絡ください。

 

 

皆様からのご批評や、こんなことについて述べよ、といったお声をドシドシお寄せ頂き、ブラッシュアップしていければと考えております。

 

末筆ながら、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

 

小斉 太郎

 

こさいたろうの子育て日記 「ピカピカの一年生(6)」 政治家として(教育や保育の環境を自由に選べるという事)

こさいたろうの子育て日記 「ピカピカの一年生(6)」

政治家として(教育や保育の環境を自由に選べるという事)

 

僕は政治家として、「選べる教育」「選べる保育」を常に提唱してきました。

 

憲法・教育基本法・学校教育法・児童福祉法など、今の教育や保育の環境を規定する様々な法令があり、もちろん一朝一夕に実現させることは出来ませんが、人々が「行かせたい」と思う学校や幼稚園・保育園を選べる社会に、ひいては、人々が「作りたい」と思う学校などを自由に作り提供できる社会に変えていきたいと思っています。学校などを「作る自由」と「選ぶ自由」が必要だと思っています。

 

今の公立学校中心の制度のまま(役所が箸の上げ下げまで指示する制度のまま)では、多様な教育は生まれず、多様な人材は育ちません。国が決めた教育方針に問題点があれば、すべてにその影響が及んでしまいます。「一斉・画一」と言われる日本教育の弊害です。多様な教育スタイルがあれば、その中で多くの方が普遍的価値を認める教育内容は、自然と広く採用されていくはずです。もはや、役所に任せるべきものではないと思います。

 

地域の特性に応じて教育が行われる学校があってもいいし、ある理念に従って教育が行われる学校があってもいい、と思うのです。選ぶのは親であり、子どもであるべきです。今のところ大きな課題として取り上げられませんが、僕は、取り除かれるべき社会的規制と思っています。各家庭の経済環境で選択が出来なくなることは避けねばなりませんから、僕は、具体的政策として「バウチャー制度」が望ましいと考えています。税金の使い道を、教育を受ける主体者に委ねるという事です。選んだ学校などに、お金の代わりにバウチャーを渡すという制度です。このことによって、学校などは選ばれることになります。どんなことがあっても存続するという事にはなりません。選ばれる教育をする必要に迫られるわけです。

 

成熟した日本社会の中で、お上(おかみ)から与えられた教育内容で、均質な成人を育てることはすでに妥当性を失っています。多様な教育で、多様な能力を有した人材が、それぞれ連携して社会の発展を目指すことこそ、これからの日本社会に求められているものと確信します。おそらく、多くの方がそれに気づいているからこそ、比較的経済的に余裕のある都市部で、私立中学校に進学させるご家庭が増えているのではないでしょうか。

長くなるので、改めて、この問題については論じたいと思います。とにもかくにも、今回、僕自身が子どもの教育を「選ぶ」ことと致しました。理事長・校長の堀さんが仰るように、「子どもの村小学校」は「変わった学校」です。でも、僕は「一斉・画一」教育に収まらない学校と捉えています。「いろんな学校」があっていいと思うんです。一つの価値観で人々を、特に子どもを覆ってしまう事は決して豊かな社会を創り出さないし、はみ出たものを排除する暗い社会に繋がってしまうと思います。何より、その価値観に万が一誤りがあった時、全く修正が効かない社会になってしまうと思うのです。みんなが「選べる」社会をつくるためにも、今回の決断を活かしたいと、政治家・こさいたろう(小斉太郎)として密かに決意しているところです。

 

 

さまざまなご感想、受け止め方があると存じますが、是非とも僕たち家族の決断をご理解頂ければと念願しています。「変わった学校」については、今後も折を見てお伝えしたいと思っています。「変わっている」ことが「まずいこと」か、皆さんとともに考えていければと思っています。

 

また、こさいの拙い文章を補足するものとして、作家の高橋源一郎さんの取材記事があります。併せてお読み頂ければ、かなりイメージをつかんでいただけるものと思います。

http://bit.ly/Yr5Pqu(高橋源一郎の「南アルプス子どもの村小学校」訪問記:GQ JAPAN 2013/04号)

 

何卒今後ともよろしくお願い致します。

最後までお読み下さり、誠にありがとうございました。

ご意見やご感想もお気軽にお寄せ下さい。

 

こさいたろう(小斉太郎)

 

絶対高さ制限を定めよ

 

小斉太郎、一般質問より。

昨今、天空率を採用した建築物に関わる建築紛争が多い。

私のゆかりのある地域でいえば、日赤通り商栄会の真ん中に12階建ての建物が計画されている。これも天空率採用物件。既存のスカイライン、町並みからは突出した高さ。既存の最高高さは7階程度。しかも、商店街の真ん中の計画でありながら、1階部分に商店が入るスペースはない。それでも、各種法令にはかなった建築物であり、これまで町を形成してきた周辺住民は結局、その意向のほとんどを反映させられず、ほぼ計画通りの建物が出来上がる。これが、現実。

 このような事例を数多く目の当たりにする時、港区という地域、さらにその中のそれぞれの地域にふさわしい、「町のルール」が必要なのだ、との思いを強くしている。でも、「町のルール」を作るにあたって、区長の言うような「地域住民の発意と合意」を住民自身で行うのは、率直に言って困難。できる地域もあるかもしれないが、極めてレアケース。このような問題こそ、区長が音頭を取るべき。積極的に働きかけるべき。そうでなければ、事態は改善しない。

 この10年来、港区各地では、地区計画制度の活用や総合設計制度による許可を受け、さらには天空率という仕組みを受けて、まちの高層化が進んだ。はっきり言って、行き過ぎ。そう感じているのは私だけではない。だからこそ、所属を問わず、ほぼすべての会派の議員が、絶対高さ制限に言及するようになっている。

この間にも、高層ビルは増え続ける。そして、一度建ったら、実質的に何十年も更新不可能。もはや、考えている余裕はなく、決断の時。天空率採用の物件を規制するには、今のところ、「絶対高さ制限を定める高度地区」を指定するしかない。総合設計制度の物件についても、特に例外規定を設けなければ、同様。

 

質問 現時点の調査・検討状況は。

答弁 昨年度、実施自治体の調査、本年度は既存建築物調査を行い、庁内検討委員会で検討中。

 

美しいまちなみを将来世代に

 

質問 天空率採用物件をはじめ、行き過ぎた高層化が進んでいる。一度経ったら何十年も更新不可能。もはや、考えている時でなく、決断の時。絶対高さ制限導入の決意や如何に。

答弁 高層建築物が住環境や街並み景観に及ぼす影響が顕在化。高さ制限導入の必要あり。検討深める。また、区民発意による良好な景観形成が進むよう積極的に取り組む。

《制度の廃止を決断せよ》地方議員年金について

2009/11/13公開

地方議員年金について
《制度の廃止を決断せよ》

港区議会・みらい 幹事長 小斉 太郎

地方議員年金はこの数年、給付に充てる財源が大幅に不足し、2011年度(平成23年度)に積立基金が枯渇することが避けられない状況にある。現制度を維持しながら破綻危機を回避するには、以下のような対応策が必要になると考える。

・  現職議員の掛金負担を大幅に増やす

・  自治体の公費負担を大幅に増やす

・  給付金額を大幅に減らす

・  国に財政支援を求める

しかし、いずれの対応策をとるにしても、極めて厳しい決断を迫られることになる。以下、それぞれの対応策について簡略に考察する。

【現職議員の掛金を大幅に増やす】

平成15年、平成19年とこの数年の間、二度にわたり掛金を増やす制度改正が行われている。現職議員の活動実態や生活実態からみても、さらにこれ以上大幅に掛金負担を増やすことについて理解を得ることは、相当困難である。

【給付金額を大幅に減らす】

掛金の引き上げと同時に、二度にわたり給付金額が引き下げられており、さらにこれ以上大幅に給付金額を引き下げることについて理解を得ることは相当困難である。

【自治体の公費負担を大幅に増やす】

議員年金については現状でもすでに、他の公的年金制度と比較しても「特権的待遇」が問題視されている中で、さらなる公費の投入拡大は住民の理解を到底得られない。

【国に財政支援を求める】

自治体の公費負担拡大と同様、国費とはいえ投入する公費の原資は税金であり、広く国民・納税者の理解は到底得られない。また、国が進めた市町村合併が財源不足に陥った原因の一つであることは間違いないが、各自治体の公式な手続きに従って合併が推進されたことは事実であり、国のみに責任を求めることはできない。

上記のとおり、掛金を納める現職議員、給付を受ける議員経験者に、今以上に大幅な負担増を求める制度改革は事実上不可能だと考える。それ以上に、破綻が必至の地方議員制度を救済するとの理由によるさらなる公費の投入拡大は、国民・住民の理解を到底得られるものではない。

地方議員年金制度の発足当時は、公的年金制度は構築の過渡期であり、国民年金制度は存在していたが、あくまで任意加入の制度であった。したがって、当時、地方議員が自らの掛金を原資とする互助年金制度を創設したことは理解できなくはない。

しかし、1986年(昭和61年)、全国民が基礎年金としての国民年金に加入するという制度改正がなされて以降は当然、地方議員もその対象となった。つまり、地方議員は、公的年金である基礎年金以外に、別制度の公的年金を受け取れるしくみになったといえる。

見方によれば、基礎年金に上乗せされる厚生年金や共済年金と似通っているが、財源の半分が公費負担となっている極めて特殊な年金制度といえる。しかも、受給資格が12年であることや退職一時金制度が存在すること、遺族年金の受給資格者に孫や祖父母が含まれることなど、特権的待遇とも指摘されている。

現在、地方議員であってもいずれかの公的年金に加入しているという実態を踏まえ、さらには、我が国の公的年金を存続させるための厳しい環境を考慮すると、地方議員年金を存続させるために巨額の公費(税金)を投入することは住民に理解されるものではなく、住民と議員との信頼関係にも大きく影響を及ぼさざるを得ないことになるのではないかと危惧するものである。

よって、地方議員年金の財源が枯渇し、破綻が目前に迫っている今、地方議員年金制度の廃止に向けた検討を始めるべきである。

実際に廃止に向けた検討を始めるとなると、これまで支払った議員の年金掛金について、現受給者への給付金について等、極めて厳しい決断を要することになる。しかし、残念ながら、今般の状況を予測できなかった責任、また事態解決に向けた努力が不足していた責任は、当事者である我々地方議員にある。その責任を十分に痛感し、多大なる痛みを引き受ける覚悟をもって、制度廃止に臨まねばならないことを申し添えたい。

 以上

参考記事:時事通信 http://www.jiji.com/jc/zc?k=200909/2009092200306

首都高速道路をはずして空のみえるまちに


首都高速道路をはずして空のみえるまちに

首都高速道路(以下首都高速)は昭和30年代、急速に増大する自動車交通に対処するため、計画・建設された。

その際、昭和39年の東京五輪開催に間に合わせるために、既存の公共空間のストックを食い潰すこととなった。具体的には、河川や公園、皇居内堀など、都市に豊かさや潤い、品格を与えていた空間が、高架式高速道路で覆われることとなってしまったのである。加えて、既存の空間を使えない地域では強引な道路拡幅が行われ、その上部を高速道路としたため、既存のまちがそれによって分断されてしまった。

一方、首都高速は当初「都市内交通」の円滑化を目指した連続立体交差道路として建設された。しかし、東京中心市街地外周の環状道路が未整備だったことにより、「都市間高速道路」(東名道や東北道等)が首都高速に接続された。これにより、「都市内交通」の一環だった首都高速は新たに、「都市間高速道路」の一部としての役割を付与されることになり、膨大な通過車両がとめどなく流入する現在の姿となってしまった。

これらの経緯を踏まえた上で、今後の首都高速のあり方について、以下に私見を述べたい。

前述のように今や、「都市間高速道路」へのアクセスが首都高速の主たる任務となってしまっている。一日46万台の車両が首都高速都心環状線を通るが、そのうち60%が都心に目的地のない通過車両とされる。このことから考えれば、中央環状線、外郭環状線、圏央道という周辺部の三環状道路が完成すれば、現在の首都高速の役割の大部分が新環状道路に移行することとなる。つまり、現在のかたちの首都高速道路網を維持する必要性は極めて低くなるはずだ。

一方で、完成から40年以上経過した首都高速は経年的劣化等により、早晩再構築(大規模改修・更新)が必要となるのは明らかだ。一説には、都心部の首都高速の再構築には約5兆円の事業費が必要とされている。このような巨額投資をしてまで首都高速道路網を維持する必要は本当にあるのだろうか。三環状道路ができれば、都市計画に基づいた一般道路の拡幅、新設等を行うことで、都市内交通の円滑化を図ることは十分に可能なのではないだろうか。

また、冒頭述べたように、首都高速は公共ストックを食い潰し敷設され、それによって分断され、空のみえなくなったまちがたくさんある。首都高速をはずしても深刻な交通問題が発生しないとするならば今こそ、真に豊かな生活環境を実現するまちづくりへ舵を切るべきではないのか。

港区というエリアで考えても、古川上空に架かる首都高速がなければ、古川の親水化や河岸の緑化の機運は急速に高まり、東京を代表する散歩道となることだろう。六本木交差点上空の首都高速がなければ、空のみえる明るいまちに変貌し、環境悪化が進む六本木のまちの再生に資するだろう。溜池から谷町に架かる重層構造の高速道路がなくなれば、一般道路の再整備や緑化が促進され、東京を代表するブールバール・アベニューとなるだろう。そしてなにより、機械的に分断されてしまったまちを一体化する新たなまちづくりの契機にもなるはずだ。

もちろん港区だけでなく、首都高速がなくなることにより各地で同様の効果が期待できる。新たな公共空間の創出によって、豊かで潤いある生活環境を生み出すことは間違いない。

今、日本橋上空の高速道路を地下化する議論が活発だ。でも、日本橋だけが特別であっていいのだろうか。日本橋上空の高架式高速道路が景観的に劣悪で、河川という公共ストックの利用を阻害し、環境を悪化させている、というのであれば、それは都心部の首都高速道路沿線のほとんどにあてはまる議論なのである。私は、日本橋のプロジェクトが進行し局所的に巨額な投資が行われる前に、東京・首都圏の高速道路網について、全体の視点から改めて考えねばならないと思う。そして私は、首都高速の高架をはずし、その上で東京のまちづくりを考えるべきだと強く思うのである。