こさいたろうの視点・論点 0174
2021/02/11
児童手当と収入の関係
児童手当。私も頂いております。毎月1万円。年3回、40,000円ずつが振り込まれます。お金に行き先は書いていないのですが、私の感覚としては、主に食費に充てさせてもらっています。率直に、大変助かっています。最低限の生活を支える貴重な財源になっています。
息子が生まれた時は、区長選落選時の浪人、4年間区議に戻り、その後2年半は国会議員を目指し浪人、落選後は、ほぼ最低賃金の労働者となり、農産物販売業・新規就農者として今に至ります。つまり、息子が生まれてから多くの期間はいわば低所得者であり、児童手当によって助けられてきました。
つまり、私にとっての児童手当は、福祉的側面を強く感じるお金でした。しかし、一方で、「そもそも児童手当は子どものためのもの。親の収入に関係なく、平等にして欲しい」という声があることも事実です。たしかに、そういう考え方もできます。問題は、児童手当を給付する目的は何か、ということになります。
10年ほど前の民主党政権の時は、子ども一人ひとりに平等に支給するとして、所得制限を外し、すべての子どもに「子ども手当」を支給したと記憶しています。しかし、自民・公明などの反発により、所得制限付きの現行制度に変更された経緯があります。自民党のホームページには、今でも以下の記載があります。同じ手当でも、その目的が大きく変容したわけです。
『所得制限を設けることにより、民主党の「子どもは社会で育てる」というイデオロギーを撤回させ、第一義的には子どもは家庭が育て、足らざる部分を社会がサポートする、という我が党のかねてからの主張が実現した。』『所得制限を年収960万円程度とすることによって、高所得世帯の給付を制限するとともに、子育て支援がより必要な世帯への重点配分が実現された。』
現在の児童手当。中学校卒業までの子ども1人につき原則月1万円(第1子・第2子は3歳未満、第3子以後は小学校卒業まで月1万5000円)を支給するもの。所得制限があり、「夫婦のうち高い方の年収」が960万円程度を上回る世帯には児童手当は支給されず、代わりに「特例給付」として年齢・人数にかかわらず子ども1人につき月5000円が支給されています。
このうち、高所得者向けの「特例給付」について、年収1200万円以上の世帯は廃止する方針を盛り込んだ児童手当法などの改正案が閣議決定されました。ただ、世帯主の年収で判断する制度だそうで、夫婦がそれぞれ1000万円の収入の場合は至急が継続されるなど、早くも制度の不備が指摘されているようです。
私は、現金給付は低所得者を下支えするために活用されるべきで、子どもを持つことを理由にした高額所得者の所得移転は不要だと思います。共働きでも子育てしやすい社会をつくるには、現金給付が得策ではないように思います。もっとシンプルに、安心して子どもを育てられる社会を作る仕組みを考えるべきだと思います。
農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)