こさいたろうの視点・論点 0173
2021/02/10
河井案里という人
河井案里氏が参議院議員を辞職しました。ようやくと言っていいかもしれません。でも、辞職した日に発表された書面では有罪判決について「納得しかねる」と記されているそうで、そうであるならば最後まで裁判で争い、真相をすべて明らかにする努力を最後まで続けるべきだったのではないでしょうか。
書面では、「これ以上争いを長引かせ、混乱を生じせしめることも本意ではない」と控訴見送りの理由を語っているようですが、争いが長引き混乱するのは果たして誰なのでしょうか。多くの国民は混乱などせず、むしろ真相究明を求めているはず。本当のことを言って大混乱が起きるのは、配った金の出どころである自由民主党ではないでしょうか。
なぜ、河井案里氏にのみ1億5千万円もの政治資金が自民党本部から交付されたのか。もう一人出たベテラン現職議員には1500万円だったそうで、報道によればその額の方が一般的とのこと。いずれにしても、このうちの1.2億は税金が原資の政党交付金だそうで、自民党本部、つまり菅首相や二階幹事長は党支部のカネの流れを説明する責任があります。
しかし、河井夫妻同様、全く説明する気はないようです。河井夫妻は、検察当局に関係書類を押収されたことを理由に、政治団体収支報告書の収入総額、支出総額、寄付などを「不明」と記載しているそうですが、私の記憶では、党本部から交付された党支部の資金の使途は党本部にも報告しているはず。ですから、自民党本部は部分的であっても説明できるはずです。
世論の多くは、これまで長きにわたり議員を辞めず、再屋や手当をもらい続けたことへの非難が渦巻いています。私も同様に憤っています。しかし、それ以上に、他人事のようにふるまっている自民党本部の姿勢がおかしすぎます。河井案里氏が控訴を断念し、国会議員を辞めたとしても、公党として、元所属議員の犯罪について説明を尽くすべきです。
議員も、議員が集まって構成される政党も、公僕であります。特権階級の人間ではありません。議会という言論の府で、国民に対して説明を尽くし、どんな質問にも答える義務があるはずです。捜査や裁判を言い訳に口をつぐむのは、自らの有利・不利しか考えていないということ。そういう政治家が一掃される社会はいつ来るのでしょうか。
農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)