こさいたろうの視点・論点 0014
2017/09/02
政務活動費は廃止すべきだと思う
今井絵理子参議院議員との不倫疑惑で夜を騒がせた橋本健氏、神戸市議会議員を辞めました。その原因は不倫疑惑ではなく、「政務活動費」。印刷物を架空発注し、不正な交付を受けた疑惑。辞めても、説明はなし。本当ならば、開いた口が塞がりません。
神戸市議会では、橋本氏以外の元市議3名も政務活動費の不正受給で在宅起訴されているそうです。そして、神戸だけでなく全国で、地方議員による政務活動費の使い道が問題視される事例が後を絶ちません。これは、僕が地方議員になった20年以上前からことあるごとに出てきます。
また、地方議員にとどまらず、国会議員にも似たような問題があります。文書通信交通滞在費という名の使途報告不要でもらい切りの交付金。原資は税金。何に使ってもわかりません。議員一人あたり月額100万円。これも、少なくとも20年以上前から問題視されるも、未だ改革なし。
いずれにしても、地方議員だけでなく国会議員まで、使い道のチェックが必要ない、あるいは甘い、国民がチェックしにくいお金を税金から受け取っているということです。そして、疑惑が後を絶ちません。僕の知る限り、20年以上。マスコミに報道され、忘れられたころに、また別の場所で。
正直、うんざりです。現職議員は「もらうことを前提」にした改革しか行わないので、ルールを厳しくすれば納得が得られると思い、ルールはどんどん細かくなりますが、チェックが追い付かなくなります。なので、たまに、チェックの目の届かない神戸のようなことが発覚し大ニュースになるのです。
細かいルールを定めた政務活動費の使い道を厳しくチェックするには、膨大なエネルギーがかかります。時間も金も。普通の人がちょっとおかしいな、と思っても事実上困難です。だから、架空に印刷を発注しても「よもやバレないだろう」と思ってしまうのだと、僕は思います。
「政務活動費」、きっぱりやめればいいと思います。長い間議論しても使い道の公開も実現できない、逆に、使い道に細かく制限をつけ続けなければならない、そんな税金の交付は主権者の納得を得られるはずがありません。議員自らが「もらう前提」の改革議論はもう無駄です。
地方議員は任期中、報酬を受け取ります。政務にはこの一部を充てるべき。不足なら何に必要か明示し、自ら集めるべき。寄付を募るということ。事業なら当たり前のことですよね。そして、その結果を、主権者が次の選挙で判断すればよいのです。
僕は地方議員の時、報酬を多少上乗せしても政務活動費は廃止すべきと主張してきました。これが見事に誰も賛成してくれない。当時、共産党まで難色を示してました。まさに孤立無援。主張するだけに終わり、実現させる糸口も見出すことができませんでした。
余談になりますが、共産党や公明党の地方議員は、議員報酬から定率で上部組織等に上納しなければならないから、議員報酬以外の活動費を必要としていると、当時聞いたことがあります。真偽を確かめる術はありませんが、そんなことも影響していたかもしれません。
ちなみに、僕が港区議の時には、月額15万円の政務活動費が交付されていました。僕は熟慮の末、その大半を広報費に充てていました。議会での活動や区政の問題点をできるだけ詳細に区民に報告し、ご意見等を頂き、区政に反映させる。これならば納得頂けるのではと考えて。
今でも、政務調査費を会議の弁当代に充てる、新年会などの会費に充てる議員たちが後を絶たないようです。僕の頃から変わっていないんです。というか、本質的に悪いと思っていないから変われないのだと思います。だから十年一日、同じことが繰り返されるのです。
大きな期待を受けて東京都議会第一党になった都民ファーストの会。先の報道では都議会で、議会改革の議論を始めるとのこと。でも、もう20年以上議論はしているんです。いろいろやってもよくならない。だから、大きく変えろと意志表示が都民ファーストの会圧勝だったはず。
もう議論は煮詰まっています。早く結論を出してほしい。飲食への支出禁止なんてルールも生ぬるい。つい数か月前まで一般の生活者だった新人議員にはわかるはず。多くの主権者がどう思っているのかを。政務活動費は制度をやめるしかない。皆さん、いかがでしょうか。
農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)
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