こさいたろうの視点・論点 0023
2017/10/29
討幕の薩長連合が必要だったのではないか
衆議院総選挙が終わりました。安倍首相の解散の意向が示された後、小池都知事による新党結成の表明、民進党の小池新党への丸ごと合流が決まったものの、丸ごとは受け入れないという排除表明と続き、排除された勢力による新党誕生。結局は野党分裂により自民党圧勝。
小池新党は民進党と合流したことが大失敗でした。合流により数を確保し、一気に過半数、政権を目指すと息まきましたが、数合わせは国民に受け入れられるはずはありませんでした。当初からの急激拡大など志向せず、明確な旗を掲げて、数より質で勝負すべきでした。
一方で、枝野さんたち、一定層の受け皿にはなりましたが、そもそも丸ごと合流は民進党全会一致で承認していたところ、排除されてできた政党です。旧民主党政権の戦犯が揃い、左派寄りの思想は僕としては全く相容れませんが、分かりやすい固まりができたとは思います。
そもそも、自民党から権力をはがすために、それ以外のところがなるべく大きな固まりになる、ということそのものが間違っていると思っています。信念と志、理念と政策に基づきいくつかの政党ができればいい。その上で、安倍一強政治に大きな弊害があるから、立場を超えて団結して倒そうと、そうなればいい。
今回で言えば、小池さん、枝野さん、ここに共産党の志位さんあたりで直接会談し、今回は、思想信条を超えて多くの問題を抱える安倍政権を打倒しよう、とやればよかった。できるはずです。かつてチャーチルが、ドイツ・ファシズムを倒すには悪魔とでも手を結ぶ、といって大嫌いなソ連共産党と手を結びました。
そういう仕掛けができる人、いないんですよね、たぶん今の永田町には。どうなんでしょうか。若いときからぬくぬく永田町的な人には無理なのかもしれません。言ってみれば、薩長同盟のときの坂本龍馬的な人。
とにかく、自民党という与党であることが目的の政党を敵にして、政権交代させるための受け皿を作る、政権交代が目的の、頭数だけがたくさんの政党を作ってもダメだということに、もうそろそろ気付かなければなりません。
だから、今回の野党分裂再編は、今後の布石として一定の評価をしつつも、安倍政権を終わらせるための動きがあまりにも幼稚だった、と捉えています。
選挙が終わって、またぞろ負けた野党が「バラバラでは勝てない」などといって右往左往し始めています。そんなことに国民が期待しているのではないこと、この結果を受けてもまだわからない様子です。この点、永田町の数合わせに与しないと公言する枝野さんは見えているのかもしれませんが。
幕末期の我が国、長州も薩摩も当初はいがみ合っていました。しかし、幕藩体制を打倒しなければ日本の将来は拓けないという点で一致し、明治維新は成し遂げられました。
これに重ね合わるとするならば、自由民主党の存在を前提とした政治体制そのものを終焉させ、新しいいくつかの政治潮流を新たに生み出していくことが、真に新たな時代を拓くことにつながるのではないでしょうか。
そもそも、社会党の左右合同による社会主義革命勢力の伸長を危惧して、保守合同による自由民主党が結党されました。世界は冷戦真っ只中。アメリカかソ連か、自由主義か社会主義か、今とは世界情勢が全く異なる中の二大政党誕生でした。
したがって、冷戦構造の崩壊とともにその役割は終えたともいえる存在だと、自民党のことを僕は見ています。現に、もう一方の社会党は社民党と名前を変え、もはやあの時代の社会党は消滅したといってもよいのではないかと思います。本来なら自民党もそうなって然るべきです。
自民党と、自民党の受け皿として政権を担えるもう一つの大きな政党、政権交代可能な二大政党が必要という考え方は、自民党という政党の存在を認めることに他なりません。ぼくは、このそもそもの考え方が誤っていると思わざるを得ないのです。
自民党という政党の存在を所与のものとしない、全く新しい政治的潮流を作り上げていく。先の見えない今の日本の未来を拓くための、明確な針路を示す、いくつかの新しい政治勢力の出現。既存政治家の本性丸見えとなった今回の野党分裂劇でしたが、民進党の分裂によって、かすかな期待も感じます。
しかし、今までと同じような野党の「数合わせ劇場」が続くようなら、国民の願いむなしく、日本は極めて厳しい茨の道に進んでしまう可能性が高いと、残念ながら悲観せざるを得ません。
今の政治家に任せられないならば、主権者である国民は、新しい政治の担い手を送り込まねばならないと思うのです。思うのですが、どんなふうにすれば、それができるのか。雲をつかむようなことを、空を見上げながら考えたりする今日この頃です。
農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)
※ 今の社会や政治に対して思うことを書き、発信する活動「こさいたろうの視点・論点」を始めています。
※ 現在、数十人の皆様にご購読料(発行協力費)を頂いております関係から、公式サイトには原則冒頭部分のみ掲載させて頂きます。誠に恐縮に存じますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
※ ただし、時勢や内容等によっては全文公開する場合がありますこと、ご購読者の皆様にはご了解賜りたく存じます。
※ ご購読下さる方は、こさい宛てご連絡ください。月額500円(一口)をお願いしております。電子メールにて全文お送り致します。
※ 政治の現場を離れて4年、内容的に皆様にご納得頂けるものが書けるか、いささか不安ではありますが、これまでの自らの政治活動を思い返しながら、頑張ります。また、いずれ、ご購読者の皆様に見える形の双方向のやり取りができるようなオンラインサロンのようなものの立ち上げも考えています。