こさいたろうの視点・論点 0063
2018/09/03
東京都心の摩天楼化を見て思い出すこと
先日、旧知の方より連絡がありました。港区西麻布の再開発に関して調べているとのこと。当該地周辺に住んでいる人で今も付き合いがある人があれば紹介してほしいとのことでした。私も山梨に移りすでに丸5年。振り返ってみれば、港区で生活していた日々は遠い昔のこととなりつつあります。
そんな話があったこともあり、今の港区の開発動向はどうなっているのか気になり、ネット検索をかけてみました。相変わらず、続いていますね。新橋・虎ノ門・赤坂の港区北部と、新橋駅から品川駅付近までの東海道線沿いは「再開発促進地区」に指定され、多くの開発が進行中です。
都市計画決定による街づくり地区位置図(PDF:943KB):港区役所公式サイトより
都市計画による街づくり地区の一覧は、以下の表にまとめられています。完了しているもの、進行中のものを含めて、全部で50地区あります。この中には有名な、六本木ヒルズや東京ミッドタウンももちろん入っていて、最近ニュースになっている品川・田町間にできる山手線の新駅を核とした開発も含まれています。
都市計画による街づくり地区の一覧(PDF:108KB):港区役所公式サイトより
私が港区議会議員に初当選させて頂いたのは平成7年(1995年)。そのころは13番目くらいまでが完成していました。その後、汐留、品川駅東口、泉ガーデンなど、続々と大規模な開発が完成していきました。この20年余りで、港区の街並みは大きく変貌したのです。
私は、大規模な再開発に必ずしも反対する立場ではありませんでした。時代に合わせ、防災上の観点や経済の進展も見据え、開発が必要な地域はあります。森ビルや三井不動産などは総じて、開発後のソフト面のまちづくりも見据えて手掛けていたように思います。
大手デベロッパーが大規模再開発を手掛ける一方で、主に経済政策的意味合いから建築関連の規制緩和がなされ、小さな敷地に異常に背の高いビルが建てられるようにもなっていきました。総合設計制度やら天空率やらという制度で容積率が緩和された結果、周辺のまちなみに合わないビルが立ち上がりました。
私は当時、良好な住環境を長期にわたり維持・発展させるためには、良好なまちなみ、景観を保つための仕組みが不可欠だと主張していました。背の高いビルが計画されると、周辺住民が反対するといういわゆる「建築紛争」が頻発していました。
法令上建築可能となれば、事業者はなるべく高く立てて、儲けを多くしたいとなります。まあ、やむを得ないですよね。だから、いくら反対運動を起こしても実のある結果は得られません。時には、ゴネにゴネて金で解決させようとする住民が、議員がいたことも事実です。
いろいろ勉強しまして、これは「絶対高さ制限」というルールを設定しない限り、まちなみの維持・保全はできないな、という自分なりの結論に至り、議会で強く取り上げることにしたのです。でも、あの当時の区役所は動きがかなり鈍かったんですよね。
以下のような質問を何度もしたのですが、まあケンモホロロ、と言いますか。正直、真剣に取り上げてくれるような雰囲気はありませんでした。
絶対高さ制限を定めよ(小斉太郎一般質問要約):https://wp.me/p8PEo8-qE
建物の高さ規制を早急に(小斉太郎委員会質疑要約):https://wp.me/p8PEo8-u7
でも、この機会に港区役所の公式サイトを見ましたら、実現させてくれていました。なかなかしっかりした形で。すでに、港区議をやめて7年になりますが、わずかながらも政策決定に影響を与えることができたように感じ、今更ながら勝手に喜んでいます。
絶対高さ制限を定める高度地区の概要(PDF:563KB):港区役所公式サイトより
https://www.city.minato.tokyo.jp/toshikeikaku/documents/koudo_summary.pdf
政治・行政の世界では、「都市計画は国家百年の視点で」とも言われます。老朽マンション建て替えを検討する関係者などには「資産価値が下がる」と評判が悪いようですが、長期的視野に立てば絶対に必要なルールだと私は今も確信しています。
こんなことを思い出しました。昔話にて恐縮ですが、「少数でも、主権者の賛同を得ることにより、言論で政治を動かせる」いうことを現役の政治家各位に今特に伝えたいと思います。
農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)
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