こさいたろうの視点・論点 0072
2018/11/18
消費税増税。一部軽減も、商品券配布も、すべておかしい。
安倍首相が来年10月の消費税率上げを明言し、導入予定の軽減税率は、テレビのワイドショーの格好のネタになっている。
コンビニの買い物の際、持ち帰れば8%だが店内で食べれば10%だとか、回転すしやで店内で食べようと思っていたものを持ち帰りに変えたらどうなるか、とか。正直、こういうことで導入が既定路線になっていくのだなぁ、と感じた。安倍首相に近い政治評論家も、国民は時間がたてば慣れてくる、というようなことを言っていた。悔しいが、同じような予感がしている。
そもそも軽減税率、一部のものの税率だけ下げるなんて言う制度はわかりにくすぎるし、どう考えてもあらゆる事務が複雑で煩雑になっていく。日本人はそれをこなすだろうが、その無駄は計り知れないものになるはずだ。現に私のような零細個人事業主にも、わかりにくい案内書面の第一陣が送達されている。正直、どのようになっていくのかいまだ理解できない。
そもそも消費税増税の前に歳出構造を見直す改革が必要であったというのが僕の持論だった。足りないから負担せよ、だけではどうしても納得がいかない。さらには、軽減税率という分かりにくい仕組みを入れて、国民に配慮している的なポーズをとる。またぞろ出てきた「商品券を配る」発想も、国民が慣れるまでの目くらましと言わざるを得ない。
低所得者対策であれば、給付付き税額控除という妙案もあったはずだが、検討すらされた形跡がない。これなら、将来のベーシックインカム的政策につながる可能性もあったのに。
私たちは今だからこそ、何が軽減税率の対象になるのか、商品券が配られるのか、などという些末な議論に巻き込まれることなく、本当に必要な行政サービスは何で、そのためにはどれだけの税負担が必要なのか、という骨太の議論をすべきではないだろうか。権力サイドが「軽減する」とか「配布する」というようなことを言うときは、その裏側には大きな負担が待っているということが多いように思う。
いずれにしても、今のところインボイスも出せない零細個人事業主、零細農家はこれからどうすればよいのか。売上1000万円を超えなければ心配は無用なのか。途方に暮れる今日この頃である。
農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)