こさいたろうの視点・論点 0101
2019/07/04
投票先が見当たらない
この原稿を書いている今日、7月4日は参議院議員選挙の公示日です。山梨県は改選数1議席。自民党現職に野党統一候補が挑む、事実上の一騎打ちです。
「自民党が政権を担い続けるのはどうかと思うけれど、社会党で本当にいいのか」、僕が子どもの頃の日本政界の姿、いわゆる「55年体制」が亡霊のようによみがえってきているように僕には見えます。
自民党の候補者は県議会議員出身のたたき上げ。野党統一候補は東京・杉並区議出身の落下傘で、もともと社民党に所属していた女性です。
野党統一候補の市来さんの公式サイトを見ると、忍野村で福島の子どもたちのキャンプをやったことがあり、その時に山梨の人の人情に触れた、という主旨の記載がありました。なぜこの人なのか、何をやってきたのか、公式サイトのみならず、いろいろググってみましたが、これというものは見当たりませんでした。ちなみに検索結果の多くは、「立憲民主党引き抜き、社民党激怒、結果無所属で」みたいなものばかりで。
批判を恐れず率直に言います。この方は、安倍自公政権を批判する以外、何ができるのでしょうか。批判するだけにも能力が求められますが、どうなのでしょうか。短い選挙戦を通じて、山梨県民に伝えてほしいと思います。
そこで、立候補者のホームページを比較するとむしろ、自民党候補者の方に任せる気持ちになってしまうのは皮肉です。山梨県都留市の生まれ育ちで、幼児教育の専門家であり、県議会議員として地元に精通。さらには、同じ自民党でも安倍晋三さんとは流れの違う宏池会の所属。宏池会はリベラルに寛容でハト派的政策を志向しており、これら情報だけを見れば、若干の安心感すら覚えます。少なくとも、昔を引きずる旧来の左翼陣営よりは。
でも、安倍自公政権の政治を継続させていいかと言えば、それは違うとも思います。
安倍晋三さんが首相になってからすでに6年以上が経ちますが、目も当てられなかった民主党政権に代わり、金融政策や労働政策を通じて経済をある程度立て直した成果は率直に認めねばならない部分があるかとは思います。しかし、一方で、それ以上に看過できない問題点を積み重ねてきたと僕は捉えています。例えば、「モリカケ問題」への向き合い方は、政治家が責任を取ろうとしない姿を露呈してしまいました。そのなれの果ては、財務省の公文書改ざん・廃棄という民主主義の根幹を揺るがす問題の発覚となりました。これだけでも、大変な問題です。統計不正問題も同じ流れだと思います。また、政策的にも、特定秘密保護法に始まり、安全保障関連法、出入国管理法の改正など、これからの日本の針路を決定づけるような法律を、国民に十分な説明をせずに成立させてきました。こういう政権に「これからも白紙委任します」とは、僕には言えないです。
かといって、「アベ政治を許さない」以外に結合の旗印のない野党共闘も、共闘の上、勝利した場合どんな政治を形づくるのかの説明が十分でない限りは、簡単に「お任せします」とは言えません。
なので、そういう意志を選挙で示したいのですが、公示日当日、「投票先が見当たらない」というタイトルの通りの心境です。よほどのことがない限り、投票日まで環境が変わることはないのかな。投票するっていうのは、本当に難しく、責任が重いものだと改めて痛感しています。さて、どうしましょうか。
農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)
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