こさいたろうの視点・論点 0135
2020/03/16
五里霧中な日々3 スポーツのこと
大相撲。無観客興行が決まり、中日(なかび)まで来ました。主にラジオ中継を聞いていましたが、多くの方の指摘の通り、「音」が際立っています。いつもはほとんど聞こえない音です。手を打つ音、四股を踏む音、力士同士があたる音、土俵下に落ちる音、時には怪我につながっているような鈍い音も(これは聞きたくありませんが)。呼び出しや行事の声、節回しも、はっきりと耳に届きます。相撲はスポーツという範疇にはなく、神事に端を発しているというふうに思っている私は、それらの「音」を通じて、その思いを強くしています。
春場所初日、八角理事長は恒例の挨拶をしましたが、その内容は異例なものでした。
『古来から力士の四股は、邪悪なものを土の下に押し込む力があると言われてきました。また、横綱の土俵入りは五穀豊穣と世の中の平安を祈願するために行われてきました。力士の体は、健康な体の象徴だともいわれます。床山が髪を結い、呼出が拍子木を打ち、行司が土俵をさばき、そして、力士が四股を踏む。この一連の所作が、人々に感動を与えると同時に、大地を鎮め、邪悪なものを押さえこむのだと信じられてきました。こういった大相撲のもつ力が、日本はもちろん世界中の方々に勇気や感動を与え、世の中に平安を呼び戻すことができるよう、協会員一同、一丸となり、15日間、全力で努力する所存でございます。』
こんな時こそ、無観客であれ、仮に中継ができなくても、大相撲を挙行し、大地を鎮めんとすべきだったのだなぁ、としみじみと思います。これは、大相撲とスポーツと捉えると理解できないかもしれませんが、そうではないということを改めて認識する機会になったものと思っています。力士が健やかに取り組みを進めてくれることを祈っています。
一方で、野球についても大きな話題になっています。プロ野球は、コロナウイルスの感染が終息に向かうまで開幕を延期するということになりました。学校でさえ一斉休校されている中、やむを得ないと思う反面、職業野球でもあり、終息の方向が見えるなら、まずは無観客での開幕が検討されてもいいような気もします。テレビやネットでの中継が可能であり、閉塞する社会を元気づけることになると思うのです。これは他のプロスポーツにもあてはまると思います。
実は、うちでは、父子の数少ない楽しみヤクルトスワローズの応援で、開幕シリーズ、神宮球場に行く予定でチケットを準備していました。息子がおじさん応援仲間を募り、自分で初めてチケットを買った記念すべき観戦だったので、中止となり二人で悔しがっています。早く終息して、再度観戦に行ける日を楽しみに過ごしています。
もう一つの野球、高校野球、春のセンバツです。高野連は中止を決定しました。ネットでの発信を見ても、賛否両論渦巻いています。これは、有無も言わさず高野連の決定以外にないと私は思います。NHKで全試合生中継されていることをはじめ、日本では特別な扱いにはなっていますが、高校生の野球大会なんです。そして、いま日本では、小中高校は全校休校状態なんです。開催の選択肢はないはずです。プロのオープン戦に準じて無観客で、などという意見もあるようですが、甲子園までの移動、宿泊なども生じるわけです。私はこれを機に、特別扱いの日本の高校野球のあり方を改めて見直してみることが必要だと思います。特別扱いの恩恵を受けている多くは、大人だと思うので。
スポーツに関しては、皆さんの中でも様々なご意見があるものと思います。何が正しくて、何は間違いか、一つの答えを導くのは容易ではないと思います。したがって、異論の決定であっても、スポーツのことですので、口汚く罵ることなく、早くいつもの姿に戻ることをまずは願うことが大事ではないでしょうか。この有事を経て、平時の時にこそ、喧々諤々の大議論をして、改革すべきところを改革しなければならないと思います。
農夫 こさいたろう(小斉太郎;元 港区議会議員)
今の社会や政治に対して思うことを書き、発信する活動「こさいたろうの視点・論点」を始めています。
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